第5話 わくわく冒険
くまさんリュックを奪還したあたしは早速準備に取り掛かった。
水中メガネ、散弾水鉄砲、縄跳び、鈴、ホイッスル、膝掛け。虫かごはももにあげたからさようならした。
あたしは持ち物を磨きピカピカにした。
後はお弁当。うん?まだ朝ごはん食べてない。
グゥ〜
「ママお腹すいたぁ」
ママはまだベッドの前で何かやっている。リビングに行くとご飯が並べられていた。
「頂きま〜す」
目玉焼き、ブロッコリー、人参の甘煮。別のお皿に焼き魚がある。一口摘む。
美味しい
どんどん手を付けるとあっという間に焼き魚は終わった。目玉焼きとブロッコリーにマヨネーズをたっぷりかけ、頬張る。
うん。甘くて美味しい。
「ご馳走様でした」
ベッドに行くとママはまだ何かやっている。
「ママぁ、お弁当ぉ」
「すみちゃん、ご飯食べたの?」
「うん。牧場行くからお弁当」
ママは振り向くと口と目だけが笑っていてキモい。
「わかった。ちょっと待ってて」
ママは箱の中身を片付けるとキッチンで料理をはじめた。
美味しそうな香りがする。
「すみちゃん、これでいい?」
「お〜」
さっき食べたやつ!
焼き魚にくまさんおにぎり。
な、何と。餃子が入っている。
「ママありがとう。行って来ます」
「気をつけね」
ママはベッドの前で先ほどの箱を開けていた。
あたしはたんぽぽに乗り走った。
もものお家に着くとライオンさんの輪っかを3回叩いた。
「は〜い」
ママさんだった。
「おはようございます。すみちゃんです」
「すみちゃんおはよう」
「ももはぁ」
「まだ寝てるよ。上がる?」
あたしは頭を振り
「また来ます」
そう言うとたんぽぽを走らせた。牧場を駆け上がり柵の前へ。
たんぽぽは柵を飛び越え、あたしは柵の下をよちよちくぐる。
「たんぽぽ行くよぉ」
あたしはたんぽぽに飛び乗り手綱を強く引いた。水中メガネが無くてもお目目痛くない。
柵をくぐった辺りから狼さんが話しかけていた。
『すみちゃん、おはよう。よく来てくれたね。その蜂の巣を右に曲がって』
うん?右?
あたしは両手を出してお箸こっち。お箸の方を向いてたんぽぽから降りた。くまさんリュックから指し棒を取り出して草をぺしぺし
。進んでいく。
お〜
草が短くなり指し棒はいらなくなった。くまさんリュックにしまい散弾水鉄砲を取り出して構える。右左を見る。
怖いものいない。
手綱を引きゆっくり進む。
『すみちゃん、そこを右』
また狼さんだ。
あたしはお箸の方に向きゆっくり歩く。小川に出た。
小川!
お洋服を脱ごうとすると
『すみちゃん、小川はまた今度』
狼さんに怒られた。
狼さんの言う通りに進むとたんぽぽくらいの穴があった。
お〜
あたしが先に入りたんぽぽが次に入ると
真っ暗
「すみちゃん見えない」
『ちょっと待ってて』
暫くすると小さな光りがたくさん集まって来た。たくさん。たくさん。
お〜
前見える!
「狼さん。これ何?」
『これは蛍だよ』
「ほたる?」
ほたる知ってる。寒いところでお父さんが「ほたる。ほたる」って言ってたぁ。
あたしも真似してる。
「ほたる。ほたる」
なんか違う。もっと口を窄めて言ってみる。うん。これこれ。
『何やってるんだい。先を急ごう』
あっ!そうだった。
更に進むと洞窟が広くなった。そして海。
「うみ〜」
あたしは今度こそお洋服を脱ぎパンツ一枚で海に飛び込んだ。
ぺっ!ぺっ!
「しょっぱい。うみしょっぱい」
『海は塩水だからね。塩っぱいんだよ』
「辛いの次に嫌いなやつ」
海からでて草むらにごろん。寒くないし瞼が重い。
「すみちゃんおねむ」
はっ!
かなり寝た。ぐぅってお腹がなってる。
「お弁当♪ お弁当♪」
くまさんリュックからお弁当とたんぽぽの草を出して、たんぽぽに草を上げ、あたしは餃子をパクリ。
う〜ん 美味しい。
くまさんおにぎりとブロッコリーを一緒に。美味しい。クマさおにぎりは焼きおにぎり。表面を醤油で焼いていておにぎりに醤油が染み混んでいる。中に鶯豆が入っていた。
醤油のしょっぱさが鶯豆の甘さでなくなっている。
美味しい。ご馳走様でした。
お昼の後はお休み。たんぽぽと狼さんに挟まれぐっすり寝た。
夕方、
狼さんが途中まで送ってくれて、蜂の巣からたんぽぽと二人で帰った。
夜ご飯はもものお家で食べた。
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次回は「ももと狼さん」だよぉ。
次回をお楽しみに♪