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第6話 移動1 異能 星3

カチリ、脳内に響く大きなクリック音、駆け巡る衝撃波。

成長来たー!


ヨルク:ハイヒューマン、17才

異能:空間使い★★★ 探 結 斬

スキル:刀術 槍術 投擲術


新たに発現したのは斬。

空間の断層を瞬間的に発生させて、断層面に存在する全ての物質を切断する。

空間の位相変化により、断層面を挟んで別空間に存在することになった物質は、断層面がずれることにより必然的に存在中の各々の空間とともにずれ、つまりは切断される。


これは…純然たる攻撃用の異能だ。これまで本来防御向きの結を攻撃に転用して来たが、斬は一味違う。

空間を固めた結刀による斬撃は物理攻撃だが、漸は空間の位相変化という次元の異なる斬撃であり、基本的に防御不能である。

物理的な防御力は、漸に対して意味をなさない。


そして斬は範囲攻撃である。

範囲指定することで、その範囲内において空間断層に触れた全物質を切断する。

広域殲滅が可能ということだ。


うーん、強い!


試し撃ちしてみよう。

うむ、大木でも岩でも、何の抵抗も無くスパスパ斬れる。

範囲は、異能の出力によりその面積が限定される。

現状は、自分を中心に半径3メートル、一方向に限定すると5メートル四方、細長くすると最長有効距離25メートル幅1メートルというところだ。

地面に水平に発現させると使い勝手が良さそうだが、縦にも斜めにもできる。


連射性はどうか。

現状、最大面積だと次に撃つまでに10秒程度、面積を絞ると相対的に早くなる。


出力及び練度の向上により、これらの性能はどこまで上がって行くのか。

楽しみだ。



さて、移動を再開しようか。


周辺を見ていた中で最強だったヒグマも倒せた。

斬という、より強力な力も手に入れた。

結を利用すれば、どこでも安全に休息できるだろう。


もはや本拠樹にこだわる必要はない。

サバイバル卒業だな!

取り敢えず、現在地から朝日が昇る方向、すなわち東に向かって進んでみよう。


二日ほど東進すると、小高い岩山があり、そのせいで北から東に流れを変えた川に突き当たった。

幅5メートルほどの大きくも小さくもない川。

丁度良いので、川の流れに沿って進んで行こう。生物も多そうだ。


川の周辺は、枝葉の密度の高い灌木やつる植物が繁茂し、ジャングルの様相を呈している。

鳥や猿、馬に鹿、ネコ科イヌ科の肉食獣らと頻繁に遭遇するが、今のところ脅威となる魔物はいない。


そうこうするうちに、珍しい魔物にであった。

背丈は50センチ~1メートル程度。色は緑や青の寒色系。2足歩行の人型。

顔は日本猿とチンパンジーを足して2で割ったような感じ。頭に小さな角が1本または2本。


脳内知識によると、こいつは矮鬼。

まあ、ファンタジーあるあるのゴブリンって感じだな。通称ゴブリンでいいや。


数人で集団行動を取っている。

無手の者もいるが、こん棒や石という原始的な武器を持っている者が多い。


性質は狂暴。ぐぎゃげぎゃ言いながら襲い掛かってくる。

脅威度は、個々は山犬未満。群れとしても、同数なら山犬未満だな。

速度がない。力はそれなりだが、武器の扱いも未熟で連携もなってない。

ただ、群れの数が増えれば、山犬や熊より危険になることも…あるかも知れない。


接敵したのは5匹の群れだったが、何の工夫も無く、正面からまっすぐ向かってくるだけ。

射程に入ったので、練習がてらに斬発動。一瞬で5匹のゴブリンの体が上下に分断されて全滅。

うーん、あっけない。


現在、探の有効半径は100メートルにまで伸びている。


川下方向に進むにつれて、ゴブリンとの遭遇頻度が増えて来た。

基本、5匹前後の集団行動を取っている。

探の範囲内に、複数集団がいることもたびたび。


ただ、戦略も何もなく、弱い。

試しにわざと殴られてみたが、結鎧の防御で完璧に防げるので、100発当てられてもびくともしないな。


時折、50匹程度の集団が一か所にとどまっていることがある。

粗末な小屋が建てられており、ゴブリンの前線基地という感じかな。

ガタイの良いのが一匹混じっている。リーダーのホブゴブリンだ。


50匹いようが、ホブゴブリンが混じっていようが、戦略の無い烏合の衆であり、ホブゴブリンも黒熊未満の強さしかないので、全く脅威ではない。

斬で鎧袖一触。時々趣向を変えて結で相手取る。なんならこん棒で戦っても楽に勝てると思う。


更に進んでいくと、趣の違うゴブリンが探知された。どことなく揺らめいている感じがする。

接近して、肉眼で視認すると、少し背が高く、杖を持っている変わり種のゴブリンがいた。

かすかに揺らめくオーラのようなものを纏っている。


そいつは、俺を見つけると、杖を俺に向けながら、むにゃむにゃ口を動かした。

待つこと20秒。お、小さな火の玉がゆらゆらと向かっている。遅い。

結盾に当たって、何事も無く消えた。


しかし、これが魔法か。揺らめいているように感じたのが魔力だろう。

むにゃむにゃと準備をしているときや、火の玉を発射した時、明らかに魔力の様子が変化した。

飛んで来る火の玉にも魔力を感じた。

脅威には全く感じなかったが。


斬で対処してみると、仮称ゴブリンメイジは、他のゴブリンと何の差異もなく、あっさり煙化した。

いや、煙の量は多少多いかな。


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