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サバイバル5 熊

刀術とは、刀を使う技術だ。結刀で戦っていたので生えて来たのだろう。

ただ、これらの技能は魔力依存なので、現状魔力ゼロである以上、意味があるのかは不明だ。

まあとにかく、俺の刀を使う戦いがこの世界に認められたと前向きに考えておこう。


今や角兎や山犬らは何匹いようが脅威足り得ない。

熊は、分からないがやれそうな気はする。


おれは領域の拡大を続けることにし、ヒグマの存在を確認した方角を避けることをやめ、本拠樹中心に螺旋状に移動を再開した。


接敵する獲物を蹴散らしながら領域を拡大すること3日目、黒熊に遭遇した。

風向きが悪く、匂いで気付かれたようで、黒熊はゆっくり接近してくる。



この3日間で、新たなスキル(という名の認証)を二つ獲得している。


一つは投擲術。これは現状、石に結界を纏わせて投げる技。

結界だけだと重さがないので速度が出ない。

それでも現在の結界移動速度時速約50キロに投げる速度若干がプラスされる程度は出るが。

これが、石を結界で包んで投げると、投石速度約120キロに結界移動速度が加算されて170キロになる。

結界の位置は調整可能なので、目標に必中する。

さらに、結界を尖らせたり棘を付けたりすると、かなり凶悪な投石となる。


もう一つは槍術。これは刀術の槍版で、槍状に形成した結で主に刺突する。

現状10メートルくらいまで伸ばせる。最後は腕力を乗せて突く。


投擲と槍の合わせ技で、槍投げも使える。

これは適当な木の枝を槍に見たてて結を纏わせ投げる技。

投石よりも貫通力に優れる。



壁にして防御に、刀にして近接、槍で中距離、投石で遠距離。

頑丈で形状が自由、固着も速度を出しての移動も、位置の調整も可能。

重さは無く(これは一長一短)、透明で、端や角は鋭利。

結、すごく使い勝手が良い!


そして展開速度や長さ広さ、移動速度などは徐々に進歩している。

練度上昇と出力アップの賜物だ。


なお、探は現在半径50メートルに拡大。

最大半径で強敵を探知する広域と、半径10メートルで詳細を表示する狭域を常時2重展開している。



話を黒熊に戻す。

茂みに身を隠しつつ接近してくるが、もちろんお見通しなので、結投石2発。

黒熊は急所をかわしたが、脇腹と背中をかすって、それなりに深い傷を与えたようだ。


手負いとなった黒熊は全力で向かって来る。

大型犬くらいのサイズだが、丸々としているので、体重100キロは軽く超えているだろう。

それが全速力でまっしぐらに向かってくると中々の迫力だ。


この辺りは樹はまばらで森林というよりは草原に近い。

直進してくる黒熊との間に遮蔽物は無い。

真正面から結槍を伸ばして迎撃する。

熊の突進速度プラス槍の伸びる速度、さらには刺突直前には俺の膂力を乗せて、刺突!


熊の頭部は頑丈そうだったが、ガツンと一瞬の手ごたえはあったものの、槍はすんなりと黒熊の体を、頭から尻まで縦に貫通。

黒熊は少し身じろぎした後、煙化した。


「意外にあっけなかったな。どうやら熊は単独行動のようだし、こんなものか」

黒熊撃破!



次の獲物を求めて螺旋移動を再開する。

徘徊すること数日、ヒグマの気配を捉えた。


攻撃範囲まで接近されたときの用心として、結界のほかに結の鎧を準備してみた。

俺の体から数センチ浮かして全身を結の膜で覆う。

関節部分は切れ目を入れた上で、更に数センチ離してリング状に結で保護する。

頭部は空気穴を小さく開けた上で、球状に2重の結膜。

結のフルプレートアーマーだ。重さはなく、透明なので視界を遮ることも無い。なんて優秀な!



ヒグマは不穏な気配を感じたのか、立ち上がって周囲を警戒している。

でかい。体高3メートル。体重は500キロはありそうだ。


この辺りの主と思われるヒグマに敬意を表して、総力で相手をしよう。

まずは結投石。む、察知して、回避しつつ前足で叩き落とした!

だが前足怪我してるじゃん。指が2本プラプラしてる。


ヒグマは用心しつつ、のそのそと接近してくる。

結槍の射程に入った。

が、体を傾けて槍の直撃を避けている。

毛皮もその下の筋層も硬くて、表面を滑って傷は付けるものの、対してダメージは入っていないようだ。


5メートルまで接近。ここで結盾で迎撃。

おっと移動盾と正面衝突したが、盾を跳ね飛ばしたぞ。

続けて固定盾。

ガシーン。盾は耐えた。


ヒグマに取り不可解な障害物に対して、前足を振り下ろしての攻撃。

しかしそれは悪手だ。

結盾の鋭利な端に振り下ろされた前足の手首から先が切断されて、くるくると宙に舞う。


グァォォォ!咆哮一発まだまだやる気だな。

総力で相手すると決めていたので、盾も結界も解除して(ただし鎧はそのまま)、接近戦に持ち込もう。


ヒグマは立ち上がり、両前足を交互に振り下ろしてくる。

でかいな。まるで壁だ。


無事な方の前足を結刀で切り上げて、こちらも手首から先を飛ばす。

これで前足の爪という最大の脅威は退けられた。


おっと、壁が崩れるかのように覆いかぶさってきた。

ヒグマの体が大き過ぎて、回避できない。

俺の頭突きがヒグマのあごにヒットするも、手首のない前足で薙ぎ払われて、吹き飛ばされる。


うん、結鎧のお陰でノーダメージだ。ただ、攻撃の勢いは殺せないので、体は吹っ飛ぶ。

逆に結固定して耐えると、なんらかの衝撃を受ける恐れがあった。


地面を転がった後に立ち上がって身構える。

ヒグマは、好機とばかりに突進してくる。頭と肩での全力チャージ。

飛ばして抑えつけて、噛み砕こうというつもりだな。


真横に身を投げ出して、なんとか突進を躱す。

ヒグマは前足不全のため、停止も方向転換もままならずもたもたしている。

すかさず背後に回り込み、接近。両後ろ足の膝裏とアキレス腱を攻撃。手ごたえあり。


ヒグマはしりもちを突いた態勢となるも、なお大口を開け、鋭い牙を見せつけながら咆哮して威嚇する。


その大口に結槍を突き入れる。口蓋から後頭部に突き抜ける感触。

槍の柄を刃に変形させて、斜め下に切り下げる。

ヒグマの顎から首にかけての半分が切り裂かれる。


グゴォォー!ヒグマはなおも牙を突き立てようと、覆いかぶさるように攻撃してくる。

俺は数歩後退して、ヒグマの、のしかかりを回避。


ズゥン。振動を伴って地べたにうつぶせになるヒグマ。

俺は追撃に備えて、結刀を正眼に構えて待ち受ける。


両者静止したまま、数秒経過。

と、ヒグマの輪郭が揺らぎ、次の瞬間、ボフンっと煙化。


ふー強かった。



む?魂の器が満杯になった感触あり!


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