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作者: 森くん

初めから分かっていた事だったのに、慣れてしまって欲が出て、どんどんダメになっていく。先生が私を必要ないと思う日が来ることを怯えて過ごす毎日は、とても精神をすり減らす。


解決策などはない。初めからこうだったから。先生が変わったのか、私のほうか。

とてもじゃないけど耐えられなくて、あぁ多分、次に会うのが最後なのだろうと考える。約束などしたくない。そんなものはいらない。惨めになるだけで、幸せではない。

先生は私になにを求めているのだろう。私は先生になにを期待しているのだろう。


悲しい歌を聴くことが増えた。幸せな歌はもうこりごりだったから。

好きでいることがこんなにも辛く苦しいのなら、辞めてしまいたいのに。


一日中ホテルの部屋で過ごした日を思い出す。キスをして、抱き合って、たくさん話をした。夕方には電車に乗りワインを飲んで、また部屋へ戻って抱き合う。こんな夢みたいな一日を先生は私にくれたのだから。もうそれでじゅうぶんな気がしていた。


それなのに、愛されたことを思い出そうにもどうにもあやふやで、なにがなんだか分からなくなる。夜中だというのにまだ連絡を待っている自分がいる。バカバカしくて嫌になる。


先生には、先生に愛されていることを信じて疑わない人がいて、私はそことは交わることのない世界にいるから。先生からもらう愛を慎重に汲み取って、だけどそれを信じれなくて、こうして1人うずくまっている。この頃はもう、泣くこともなくなった。


先生でできた穴は先生でしか埋めることはできなくて、それなのに埋まるどころか次から次に私の心臓には穴が作られてゆく。向き合うにはあまりにも痛々しいその穴たちは、誰にも気づかれることなく確かに存在している。

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