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私の勇者ならワンチャンあれば十分です~全く問題ありません!  作者: ゆきちゃん
第1章 プロローグ
7/72

7 士官学校への入学3(剣術大会)

一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。

なろう投稿する第2作目です。

 士官学校の入学者を選抜するために剣術大会開催が、ゴード王国全域に知らされた。

 全ての町のメインストリートに大きな看板が立てられ、その前には常に人だかりができた。


「それにしても、不公平だな。」

「入学を許可する条件がひどい。」


「王族、貴族の子供は参加すること。大金持ちの平民の子供は、国にできる限りの寄付をして参加すること。それらに比べて、寄付ができない貧困の平民の子供は、剣術大会に優勝することだとは……ほとんどチャンスがないということだな。」


 大人達の話を真剣に聞いている子供がいた。

 ランスロだった。

 彼は出場して優勝することで、士官学校に入りたかった。


 自信はあったが、それ以上に大きな不安が彼の心に芽生えていた。

 剣術大会は、ゴード王国最大のイベントになるに違いなかった。

 派手な場所で負けてしまい、両親を大いに失望させることを恐れていた。


 決心が定まらないまま、彼は町の外に続く道を歩き、森の中の家まで帰ろうとした。

 下を向きながら歩いていたランスロの背中を、誰かがポンとたたいた。


「ランスロ! もう決心した! 」

 グネビア王女だった。

 王女だということを隠すかのように、フードをかぶって目立たない姿をしていた。


「王女様。何のことをおっしゃっているのでしょうか。」

「剣術大会のことよ。今、そのことを考えながら歩いていたでしょ――」

「正直いうと、参加しようかどうか大変迷っています。」

「自信がないの。」

「負けてしまい、両親を失望させることが恐いのです。」


「自信を持ちなさい! 絶対大丈夫だから! 」

「……」


「ゴード王国中で、あなたに勝てる子供はいません。毎日毎日真剣に木の棒を振って、何百年間も育った大木(たいぼく)を切り倒すことができたあなたには、特別な力が宿っているのです。」

「……」


「あなたを愛している御両親は、例えあなたが負けたとしても決して失望しないわ。あなたの未来にある成功を絶対に疑わないでしょう。」

「……」


 そう言った後で、王女はランスロの顔をじっと見つめて目を合わせた。

 王女の大きな美しい青い瞳に、彼の姿が映っていた。


「ゴード王国のグネビア王女が騎士ランスロに命ずる。あなたは勇者ランスロとなって、魔族からこの国を救わなければならない宿命があるのです。だから、わずかなチャンスしかなくても必ず未来を切り開きなさい。」


「王女様、わかりました。剣術大会に出場して優勝し、士官学校に入学します。入学して何倍も何倍も自分を高めて、ゴード王国の騎士、勇者になってみせます。」


 彼は王女にために、なにがなんでも実現したいと思った。




 剣術大会が開催される日になった。

 国中から、その年に7歳になる数百人の子供達が集まった。


 予想どおり、ほとんどが王族、貴族の子供、その他は大金持ちの平民の子供が数人、貧困の平民の子供はランスロ1人だけだった。

 彼をばかにして嘲笑(ちょうしょう)する声が、あちこちから上がっていた。


「おい見ろよ。汚い姿だな甲冑も着ていない。剣術をばかにしているな。」

「そうだ。そうだ。今日使う木剣もあんなに不格好なものを持っているぞ。」

「身分の高い我々は、良い先生に剣術を長い間学んでいる。勝てるわけない。」


 大会に参加する不安を紛らわすために、みんなひたすらランスロを徴収していた。

 そのような時だった。

 嘲笑する声がピタリと止り、雰囲気ががらりと変わった。


 黒い甲冑をつけた全身黒ずくめの騎士が、子供達の集団に分け入ってきた。

 背は高く周囲に不思議なオーラをまとった格好いい騎士だった。

 その騎士がランスロに近づいて、その前に止った。


「きみはランスロだね。」

 騎士は面を外したので、その顔を見ることができた。

 目は小さいがとても鋭く、髪をオールバックにしていた。


「ホーク様! ナイトグランドクロス! 」


 子供達から歓声が上がった。

 ゴード王国最強の騎士、その名前は国外にも鳴り響いていた。

 ホークは木剣を取り出し、ランスロに渡した。


「今日は木剣での戦いだが、良い木剣を使うことも必要です。さあ、持ってみて――」

 ランスロは驚いたが、丁寧におじぎをして木剣を受け取った。

「構えてみて、戦うつもりでだよ――」


 ホークにそう指示されたので、ランスロはもらった木剣を持って構えた。

 その姿を見て、最強の騎士ホークは全てを悟った。


「全身の気を一瞬で、人間の限界を超えて最大限に集中させている。その年でそこまでできるとは、神のギフトを受けている。その木剣は私が自分の練習用に作ったものだ。君に献上するよ。」


「え―――――っ!!! 」

 見ていた子供達が大変驚いた。


 ホークが言った。

「君達、今日ランスロ君と戦う時は、攻撃しない方がいいよ。彼は攻撃には容赦なく反撃するはずだ。大けがをしないように十分に注意したまえ。」


 高い所に設置されている観覧席にホークは戻った。

 王女の席の前に行き、ひざまずきながらホークは報告した。


「王女様。確かに確認しました。ランスロ君は神のギフトを受けた人間です。努力を重ねれば必ずこの国を救う勇者になるでしょう。」


「ナイトグランドクロス、ホーク様。ランスロは戦うために神のギフトを受けているかも知れませんが、チャンスは1回しかない与えられていないのです。もっとも、1回のチャンスを必ず生かすことができますが。」

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

土日祝日の午後です。

少しずつ頻度を増やし、計画的に更新できるようにがんばります。


ウィークデーは不定期ですが、夜11時までの時間に更新させていただく場合があります。




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