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私の勇者ならワンチャンあれば十分です~全く問題ありません!  作者: ゆきちゃん
第1章 プロローグ
4/72

4 最後の時3

一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。

なろう投稿する第2作目です。

 魔王ザラは、騎士ランスロが自分と(つい)になり、この世界に生まれてきた勇者だと気がついた。

(しかし、とても不思議なことだが、この勇者は私に絶対勝てない。ノーチャンスだ! )

 直感でわかった魔王は、今まで使っていた剣を(さや)に納めた。


「ゴード王国最後の戦士よ。あなたは、私、魔王ザラと戦うためにこの世界の人間の中に生まれてきた勇者だな。魔王と勇者は普通の剣だけで戦うべきではない。それぞれ究極の力を秘めた宝剣を持っているはずだ。私には『魔王の剣』業火(ごうか)がある。」


 魔王はそう言うと、空間に異次元の穴を出現させ、そこから「魔王の剣」業火を引き抜いた。

「勇者よ。あなたも『勇者の剣』を抜くがよいぞ。」


 ところが、騎士ランスロは今まで持っていた普通の剣での構えをくずさなかった。

 その様子を見て、魔王が言った。


「どうやら、今日まで『勇者の剣』を持てなかったようだな。回りの助けがなければ、どこにあるのかもわからないだろう。もっとも、さらに運がなければだめだがな。あなたは剣技や精神の力では、たぶん私を上回るだろう。見ている人間達にあなたの強さを知らせよう。」


 魔王はいきなり騎士長の時の数倍早い速度で、魔王の剣「業火」の連撃を繰り出した。

 その連撃を騎士ランスロはことごとく打ち返し、さらに反撃して魔王に一撃を加えようとした。

 その時のことだった。


 魔王の剣を受け続けていた騎士の剣が、2つに折れてしまった。

 瞬間的にそのことに気がついた魔王ザラはとても悲しそうな顔をした。

(「勇者の剣」を待たない勇者、ほんとうは私より強い! )

 

 魔王の剣は暗黒の業火を放出し、騎士を絶対高温で包み瞬時に消滅させた。

 苦痛を全く感じることなく、騎士は命を落した。

 

 それを見た後、魔王ザラは王都イスタン中に鳴り響くように叫んだ。

「終わりだ! さあ――今からゴード王国は滅亡する! 」




 天上界の入口の門の前で、グネビア王女は涙を流していた。

 騎士ランスロが優しく王女に声をかけた。

「さあ、王女様。やり直しましょう。同じ結果には絶対になりません。」


 検査神が言った。

「そろそろ、時を巻き戻し新たに進ませなければなりません。お2人とも準備はいいですか。」

 涙をぬぐいながら、グネビア王女が決意を秘めた声で言った。

「はい、準備はできています。」

 騎士ランスロも続いて言った。

「私も、準備はできています。」


「お2人とも、後ろを見てください。」

 2人が後ろを向くと、グネビア王女の後に列を作って並んでいた人々が全てひざまずいていた。

 それははるか遠くまで続き、どこまで続いているのかわからなかった。


「ゴード王国の人々ですね! こんなに多くの命が奪われたとは! 」

「王女よ、この人々も生き返るのです。」


「……ランスロ、ワンチャンを大切にして必ずやりとげましょう。」

「はい、王女様。必ず、必ず――」


 その瞬間、グネビア王女と騎士ランスロ、ゴード王国の多くの人々の姿が天上界の入口の列から消えた。




 気がつくとグネビアは、5~6歳の姿で広い草原の中にいた。

 両方の足首がずきずきと痛み、草の中に座り込んでいた。


(想い出したわ。侍女達と一緒に花摘みにきて、とても楽しすぎて走り回ったわ。そして、侍女達とはぐれてしまった。あげくのはてに私はころんで、両足をくじいてしまった。すると、この後に何が起きるかというと………………)


 草むらの中から小さなヘビが出てきて、グネビアに近づいてきた。

 それを見て、大きくなってもヘビが苦手なグネビアは大声で泣き出してしまった。

 その時、何者かがグネビアの目の前に飛び出し、ヘビを素手でつかむと遠くへ投げた。

「レディ、大丈夫でしょうか。」

 5~6歳のランスロだった。

 その姿を見てグネビアは思った。

(かわいい――まだ幼いから、くせ毛と大きな目が強調されるのね。)


「身分の高いレディがなぜこのような場所にいるのですか。」

「侍女達と一緒に花摘みに来たのですが、はぐれてしまいました。」

「侍女達を探さなければなりませんね。おや、足をくじいている。僕がおぶりましょう。」


 ランスロは両足に注意して、優しくグネビアをおぶった。

 草原の中をあちこち、かなりの距離を歩いた後、遠くにグネビアを探している侍女達を見つけた。

 グネビア王女が勇者ランスロに助けてもらった最初の時だった。

 

 侍女達が急いで走ってきた。

「グネビア王女様。お探ししました。ご無事でよかったです。」

「ランスロに助けてもらいました。」


「王女様。なぜ私の名前を御存知なのですか。」

「……直感です。あてずっぽに言ったのが当たったのですね。」

「それでは王女様、失礼します。僕はこれで。」

「何か褒美を与えます。今考えるので待っていてください。」

「いいえ、褒美はいりません。」


 その時、グネビアは想い出した。


(そうだ。私を助けるのに時間を使ってしまって、ランスロは病気のお父さんのために摘みにきた薬草を採れなかったんだわ。確か、その後お父さんの具合が悪くなって亡くなってしまった。そのせいで家がひどく貧乏になって、ランスロにとって過酷な人生が始まってしまった。)


「ランスロ、今日、あなたは何をしに草原に来たのですか。」

「あっ! 忘れていました。お父さんの薬草を摘みにきたのです。」

「それでは褒美を与えます。私の侍女達が今から薬草を探す手伝いをします。」


「はい。お願いできればありがたいです。」

 それから、10人ほどいた侍女達は薬草を探し始めた。


 しばらくして侍女の声がした。

「ありました。ここに薬草がたくさん生えています。」


 ……誰も気がつかなかったが、四葉のクローバーも1本近くに生えていた。

お読みいただき心から感謝致します。


※更新頻度

土日祝日の午後です。

もしかしたら、ウィークデーの夜11時までに更新するかもしれません。お許しください。


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