32 3年次生2(偽勇者候補)
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
なろう投稿する第2作目です。
休日のある日、ランスロとフィリップは寄宿舎の部屋にいた。
「ランスロ、この頃ゴード王国の広い範囲、さまざまな場所に魔族が出現していることをどう思う。あまり強くない低級魔族ばかりなのに大群ではなく、少ない数にまとまった現れるそうだ。当然、2~3人の騎士がわずかな時間で討伐している。」
「少なくとも、人間に勝利することを目的としているのではないと思います。戦術の講義の時、『威力偵察』ということを習いましたが、彼らは人間の騎士団がどのように配置され、それぞれに所属する騎士がどのくらいの実力なのか調査しているのではないですか。」
「なるほど、将来の本格的な侵攻のためにゴード王国の軍事力を調べているのか。だけど、勇者のことはどう考えているのだろう。人間の戦闘に立って魔族と戦い、最強の魔王と一騎討ちする勇者の候補の力は調べなくでもいいのかな。」
「僕も、魔族側にとって最も必要な情報だとは思います。」
「……そうか、だから士官学校に魔族を出現させているんだ。魔族は、ランスロが勇者の候補だと認識し始めているんじゃないのかな。」
「もし、そうだとすれば僕は毎日もっともっと努力して、勇者になった時どのくらいの力をもつのかわからないくらい成長する必要があります。相手にわからない底知れない力をもてば、戦いを有利に進めることができ、最後には勝利につながります。」
その時、2人の部屋の扉がノックされた。
「コンラートです。中に入ってもいいでしょうか。」
「どうぞ。」
ゴード王国最高の鍛冶師の一族、ゾイゼンのコンラートが入ってきた。
彼はその背に、布に包んだ長い物を背負っていた。
「今日は、前にランスロさんとお約束した者をお届けに来ました。」
その後、背負っていた長い物を机の上に置き布を取り外すと、きれいな鞘に収まった剣だった。
その剣は、大人が使う剣より若干小ぶりの、子供にも使いやすい大きさだった。
「最新の注意を払い、細部に神経を集中させてこの刀を打ちました。まだ完全とはいえませんが、剣を振る使い手の神聖な力が純粋であれば純粋であるほど、その力を何倍にも増加させ助ける刀です。勇者の候補、ランスロさんに使ってほしいのです。」
「コンラート君、ありがとう。とてもうれしいです。僕はこの剣と一緒に毎日鍛錬して、最強の勇者になれるよう努力します。」
「伝説の『勇者の剣』聖剣『希望』にはまだまだ遠く及びません。だけど、我がゾイゼンの一族の技術の究極の目的、純粋で美しい金属の結晶が刀を形作っています。だから、少しずつ成長していくかもしれません。」
「楽しみです。ところで『勇者の剣』に『希望』という名前があるように、この剣にも名前をつけてあげたいのですが。この剣の作者であるランスロ君は、何か思いつきませんか。」
「実はこの剣を打ち上げた時、思いついた名前があったのです。『リトルウィン』という名前です。小さな勝利という意味ですが、僕はこの剣を打てた自分に満足していて、これから『希望』を打つために必要な足がかりができたと思ったからです。」
「『リトルウイン』ですか、とてもすばらいい名前ですね! 小さな勝利はとても価値があると僕も思います。『リトルウイン』にしましょう! 」
ちょうどその頃、チャールズ辺境伯の城に、最高位の魔女サバトが多くの家臣を引き連れて来訪していた。
豪勢な四頭立て馬車が止り、そこからサバトがゆっくり降りてきた。
背が高く、その容姿はぞっとする完璧な美しさだった。
出迎えた辺境伯と多くの家臣達は、心を完全に奪われ何もしゃべることができなかった。
ようやく我に返った辺境伯が、たどたどしく話し始めた。
「最高位の魔女と名高いサバト殿、今日は我が城に遠くからお越しいただき心から歓迎します。」
そう言った後、またサバトのとても美しい顔に見とれてしまった。
「ふふふふ、チャールズ辺境伯様、私には夫がおりますのよ。ロスチャイルド家の当主ゲールは、ゴード王国だけではなく世界屈指の大富豪。大実業家。そして、美形でもありますわ――ほんの少しだけ、チャールズ辺境伯様に勝るだけですけど。」
「失礼しました。さあ、我が城の中にお入りください。マリ様もどうぞ。」
応接室にサバトが通されて座った。
その横にはマリが控えていた。
辺境伯が家臣に命じた。
「アルフレッドをここに連れてくるのだ。」
しばらくして、辺境伯の息子のアルフレッドがおずおずと扉を開けて入ってきた。
それを見たサバトは勢いよく立ち上がってアルフレッドに駆け寄り、抱きしめながら言った。
「なんて美しい方でしょう。私にはわかります。この方が真の勇者の候補です。」
突然、ものすごい美人に抱きしめられたアルフレッドは顔を真っ赤にした。
その様子を見て、サバトはアルフレッドを手から離し元の席に戻った。
「誠に申し訳ありませんでした。レディとして失格ですね。――マリ、出して! 」
マリは持ってきた長いケースを机の上に置き、それを開いた。
そこに収納されていたのは、黒い色が強く光る刀だった。
お読みいただき心から感謝致します。
もし、よろしければブックマークや評価していただけますと、作者の大変な励みになります。
※更新頻度
土日祝日の午後です。
少しずつ頻度を増やし、計画的に更新できるようにがんばります。
ウィークデーは不定期ですが、夜11時までの時間に更新させていただく場合があります。




