18 学生生活8(ホーン山)
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
なろう投稿する第2作目です。
シャドウクロウの大軍を一瞬にして消滅させた後、騎士ボーンは彼らの方に振り返った。
「君達はここまで、かなり早く登って来たんだな。士官学校の1年生がここまで来るには、もう少し時間がかかると聞いていたんだが。」
ランスロが答えた。
「進級試験が始まった瞬間すぐに登り始めて、できる限り全力で登って来ました。その後、空気が薄くなり体を慣すためにここで休憩していたのです。」
「すぐに登り始め、しかも全力で。その意気込みはとてもすばらしいね。私は騎士ボーンです。」
「僕は士官学校の学生ランスロ、こちらは同級生のザラ、そしてフィリップです。」
それぞれが、騎士に一礼してお礼した。
その時、騎士が何かを感じた。
「フィリップ君は初対面だと思うけど、ランスロ君とザラ君は前にどこかで会ったことがあるのかな。」
「いいえ、始めてお目にかかります。」
「前に会ったことはないと思う。」
「そうか、きっと気のせいですね。それでは、無事に進級試験をクリアーできますように。」
騎士はそう言うと、登山道を下って行った。
「剣圧でシャドウクロウの大軍を一瞬に消滅させるとは、すごい騎士ですね。」
「私もそう思うぞ。最強といわれている騎士ホークに引けをとらないな。」
3人は、少しその場に留まった後、再び登り始めた。
ただ、薄い空気に体がかなり慣れていたので、あまり苦しくはなかった。
そのため、すぐに頂上にたどり着けるような気かしてきた。
しかし、ホーン山の頂上にかなり近づいた時、様子が急変した。
頂上までの道がそこでぷっつりと途絶えた。
そして、ほぼ直角に近い切り立った岩の断崖が彼らの前に現れた。
フィリップが言った。
「わーすごい断崖だ。どうやって登ればいいのだろう。皆目検討もつかないな。ランスロ、どうしよう。」
「もう日暮れが近くなっています。ひとまず今日はここで野営しましょう。」
それから3人は分担して食事の支度をしながらテントを張った。
支給された食糧は干し肉などの保存食だった。
食事をしながらザラが言った。
「学校が試験場所にこの山を選び、山頂にあるブルーオパールをとってくることを条件としているということは、山頂まで登ることが全く不可能ではないということだな。」
「僕もそう思います。切り立った岩の断崖しか見えていないと、不可能だという気持ちになりがちです。しかし、森林に隠された他の面はどうでしょうか。明日、調査してみましょう。」
ランスロが提案した。
フィリップも賛成した。
「ランスロの言うとおりだ。確か学校の授業でも、1つのことに捕らわれず、多角的に物事を見る重要性について教わったね。」
次の日の朝になっても、他の学生達の姿はまだ見えなかった。
3人は岩の断崖の側面に回り込んで、森林に入り込むことにした。
森林の中は薄暗く、上に登る道を見つけるのはとても難しそうだった。
しばらく歩き続けて3人はとても不安になってきた。
そんな時、フィリップがある音に気がついた。
「あれ、水の音が聞こえる。水は高い所から流れるから、流れさえ見つけることできれば、頂上にたどり着けるかもしれないね。」
他の2人も耳をすました。
「確かに聞こえます。」
「そうだな。あれは水の流れる音だ。」
慎重に歩いていくと、少しずつ音は大きくなってきた。
そして、目の前に小川の流れが現れた。
フィリップが提案した。
「ここから登ろう。」
それから、流れ沿いの道を3人は登り始めた。
非常に狭いスペースしかない中を、木の枝をかき分けながらゆっくり進んだ。
かなりの時間が経った後、それは急に現れた。
木が全く生えていない森林限界で、開けた場所に出た。
3人がその場所に出ると、激しい突風に吹かれた。
頂上だった。
「やった――」
3人は手を取り合った喜んだ。
「さあさあ。ブルーオパールを探さなければいけないな。ところで、ランスロとフリップはブルーオパールを見たことがあるのか。」
ザラが重要なことを指摘した。
ランスロが首を振った。
「僕は森林の中で育った裕福でない平民の子供です。だから、宝石類を全く見たことがありません。ましてやブルーオパールなんて……」
ザラがフリップに聞いた。
「フィリップは見たことがあるな。なんといっても最高位のグロスター公爵家だ。」
「いいえ。僕の家は公爵だけどゴード王国に全てをささげるため、質実剛健を家訓としてるんだ。だから、自分を飾るための宝石なんて全く持っていないよ。僕の母様なんて地味な服装しかなく、舞踏会の時はかえって逆に目立ってかわいそうなんだ。」
最後はザラだけになって、2人はザラの方を黙ってじっと見た。
「私か。ロスチャイルド家はさまざまな商売をやっていてな。その中でも宝石の売買は、私の家で最も重要な商売だ。世界最高の宝石鑑定人と言われている父様が、誕生日のプレゼントとして世界で最も高価なこれをくれた――」
ザラが首にかけていたネックレスを取り出して2人に見せた。
大変美しく青色に輝く宝石がついていた。
「これがブルーオパール、幸運の石だ! 」
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