プロローグ&1話 ヒビの始まり
初めまして、春野刀夜です。
今日から「小説家になろう」で、投稿を始めさせていただくことになりました。
完全に趣味の範疇ですので、投稿頻度も低く、完成度も高くないと思いますが、温かい目で見ていただくと、嬉しいです。
それでは、本編をお楽しみください。
プロローグ
「大切な人は最後まで守り通すんだぞ。
今の俺が言っても説得力はないが。」
「灰十が、いつか私たちの希望になって。」
それが、5歳のときに聞いた、
俺の両親の最後の言葉だった。
あの日から、11年が経った。
俺は今、青秋高校の2年だ。
特に何かやりたいことがあるわけでもなく、
平凡な学校生活を送っている。
ただ、他の人間と違うところがあるとすれば、
カキーン!
「そこにいるやつ、避けろー!」
俺の視界に飛んできた野球ボールが入ると、
不自然に減速し、俺の手の中にゆっくりと収まった。
そう、これが他の人間と違うところ、
俺には、視界に入った物体の時間を操れる能力があった。
一話
4月20日、始業式や、実力テストが終わり、
部活も新入部員が参加し始める頃だ。
他の人が、これからの学校生活に胸を躍らせ、
さまざまなことをスタートさせるこの時期に、
「黒野ー!ちゃんと日直の仕事をしろー!」
俺は学級委員長の怒りを買っていた。
今日は俺が日直の当番だったのだが、
それを忘れてボーッとしていたため、この状況になっている。
「はいはい、わかったよ。」
「はいはい、じゃないわよ!あんたのせいで、
次の授業が始まるのが遅れたらどうするの?」
「大丈夫だよ、黒板くらいすぐに消すから。」
さっきから、俺に怒りをあらわにしているのが、
学級委員長の黄桜玉音だ。
いつも真面目で、きっちりしている、
まさに学級委員長らしいといった感じのやつだ。
俺は、黄桜に言われた通り黒板を消し、席に着いた。
そして、今日も何気なく学校生活は過ぎていく。
だが、放課後になれば俺の生活は、普通の人間とは違う。
学校が終わり放課後になると、
俺は真っ直ぐ家に帰らず、ある場所に向かう。
路地裏の階段を下った所にある何も無い空間、
しかし、そこである言葉を言うと、
「能力を日常に」
何も無かったはずの空間に、どこからともなく
扉が現れた。
この場所は、俺のような能力者が集まる場所、
いわば、能力者の組織のアジトだ。
「おっ、黒野か、RAYに動きはあったのか?」
今話しかけてきたのは新谷人志、この組織の幹部で、
幻を作り出す能力の持ち主だ。このアジトを隠していたのもこの人の能力だ。
「いえ、RAYの奴らに動きは見られませんでした。」
そして、話に出てきた『RAY』というのは、
「Team.reject ability」の略で、
この組織と対立関係にある、能力者から人間を守るという名目で、能力者を排除しようとしている組織だ。
「そうか、最近急に奴らの動きが無くなったな。
戦いがないに越したことはないが、不気味だな。」
「そうですね、俺は他の場所に動きが無かったか
知るためにここに来たんですが、この様子では、
有益な情報は得られなさそうです。」
「何にしろ、まだ調査を続けてくれ、頼んだぞ。」
新谷さんと少し話をしたあと、俺はアジトを出た。
外はもうすっかり暗くなっており、街灯が着き始めていた。
家に帰っても、「お帰り」を言ってくれる人はいない。いつも誰もいない暗い部屋に帰るはずの俺は、すぐに異変に気がついた。
なぜか、家の電気がついているのだ。
俺は、警戒しながら玄関の扉を開け、
物音がするリビングに進むとそこには、...
「おー、お帰り灰十。なんか鍵開いてたから勝手にお邪魔させてもらってるぜー。」
エプロン姿で料理を作っている親友がいた。
「おい赤霧!鍵が開いてたからって勝手に家に上がって
飯作ってる友人がどこにいる!?」
こいつは赤霧大也、同じ高校の同級生で、
俺の親友だ。
「先に風呂とか済ませてこいよ。あと10分ちょいで
飯できるから。」
「お前はやっぱり破天荒だよな。」
少し混乱はしたが、お言葉に甘えておくことにした。
風呂から出て服を着替えると、食卓には料理が
並んでいた。
「なんでお前みたいな奴が料理できるんだよ。」
そう言いながら、料理を口に運ぶと、
「うまっ。」
そう、思わず口にしてしまうほど美味しかった。
最近冷凍食品しか口にしていないからかもしれないが、それは高級レストランの料理と錯覚してしまうほどのものだった。
「そうだろ、料理は自信があるんだ。」
赤霧は自慢げにそう言っていた。
夕食を食べ終え、テレビを見ていると、
時計はすでに午後9時を差していた。
「お前、家に帰らなくてもいいのか?」
俺がそう尋ねると、
「...そうだな、もうそろそろ帰るか。」
赤霧は一瞬何か口ごもっていたが、どうやら帰ることにしたらしい。
赤霧を見送ったあと、俺は寝ることにした。
少し予想外のこともあったが、概ねいつも通りの日常だった。
どうだったでしょうか。
と言っても、
こんな序盤では感想なんてないでしょうが笑
これからもゆっくり投稿していこうと思いますので、よろしくお願いします。