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女神の選定
「あのね...」
南は少しためらいながら、北斗を見た。
胸を寄せるように手を前に組み、手紙を持っている。
ーーまさか告白か?
北斗は息をごくりと飲んで、長い長い1秒の中で成り行きを見守っている。
「いいの、やっぱり...」
南は髪を指でそっと耳に掛け、左下に顔を向け、『いいの』と言いながらその場を動かない。
「なっんっだよお」
ーーげー!声が上ずっちまった。ダサイ、究極に。俺のバカやろう。
「……実はね……これ」
封のされていない白い封筒に入った手紙。
南を前に冷静を装うも、手を打ち震わせながら手紙を開けた。
そこにはーー
「……あなたが…死の女神に選ばれました。……?」
血を流し、木に吊るされた女神の描かれたカードだった。
地面には骸骨がひしめき合って手を伸ばし、女神の足を掴もうとしている。
地獄絵図、といったところだろうか。
「このカードは一体……」
戸惑う北斗に、南は上目遣いでこう言った。
「そう、ゲームのはじまりなの」
ーーこんな風に南は、
いつだって俺を
振り回すんだ。