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05#常時ブラックスマイルorツンデレへたれ?

「さて、貴女の気が変わらないうちに行きましょうか」


 リウナスさんはそう言って笑う。勿論、ブラックスマイルで。

 何だかリウナスさんの笑顔は全て黒い。うん、黒すぎる。


 ――それに比べて…


「ガルロっていいよねー」

「……っは、?」

「あたし、ガルロって好きかもー」

「なっ!?」


 ガルロはあたしの言葉に顔を耳まで赤く染める。

 うーん、可愛い。何ていうか…『純情少年』って感じ?

 最初のイメージとは随分違うけど…常時ブラックスマイルの腹黒魔術士より、純情でツンデレなへたれ(勝手なイメージ)騎士の方が誰だって良いに決まってる。

 前者は、地雷を踏んでしまった時、自分の命があるか分からないし。


 あたしは無言で差し出されていたリウナスさんの手を無視して、ガルロの腕に自分の腕をからめた。

 顔は大して良くないあたしだけど、この純情少年なら、効果あるかなー?

 あたしにしては珍しく、人にちょっかいをかけてみた。


「ねぇ、馬車乗ろっか」


 無意識(というか身長の差で仕方なく)でガルロに上目遣い。その上、首をこてっとこれまた無意識で傾げてしまった。

 すると、面白いようにみるみると染まっていくガルロの頬。

 その様子に、やっぱりガルロは純情少年だと確信し、くすくすと笑うとガルロはあたしを赤い顔のままで睨み付けた。


 その時、ガルロが何を考えていたのか、差し出した手をスルーされたリウナスがどんな風に思っていたのかなど、あたしには知る由もない。










「もうすぐ着きますよ」


 リウナスの声でぼんやりとしていた頭が覚醒した。

 ただ今あたし達は馬車の中で、城を目指して驀進中。


 馬車に乗る前に、自分の事は呼び捨てで呼んで下さい、とリウナスが言った為、もう敬語と敬称は止めた。お偉いさんなんだろうけど、あたしはこの国の人間じゃないから、関係ないし。

 寧ろ、魔術団隊長よりも、救世主であるあたしの方が何千倍も偉い立場の人間なのだから、敬語や敬称など、間違っているのだ、とはリーの弁。


 リウナスが魔術を使ってあんまり揺れないようにしてくれたものだから、とっても快適で、いつの間にか隣のガルロに寄り掛かって寝てしまっていたらしい。

 ガルロをまだ開け切らない目を擦りながら見上げると、ガルロは顔をやっぱり赤く染めてた。

 純情少年に寄り掛かって寝るっていうのは悪かったかな。酷なことしてしまった。ちょっと反省。


「…ガルロ、ごめんね…寝ちゃってた…」

「…っ、い、いや。…構わない」


 ガルロは優しい。馬鹿(のような気がする)は優しいと、決まっているんだ(と私は思っている)。 


 因みにあたしの右隣には言うまでもなくガルロが座っていて、リウナスはガルロの向かい側の席。リーはあたしの膝の上で熟睡中。

 ……にも関わらず、結界はそのまま。私を護り、リーを隠す。

 魔術っていうのは術者が寝ている時にも使えるものなのか…。


「後どれ位ー…?」

「そうですね…首都には入りましたから、あと20分程でしょうか」


 ……20分かぁ…眠い。

 ――うん、寝よ。

 あたしはガルロにまた寄り掛かって『おやすみ』と呟いてから、寝た。

 先程の反省なんかちっとも役に立ってない。

 ガルロが慌ててあたしを離れさせようとしているのが分かったけど、もう既にあたしは夢の中。

 それに、もしまだ寝ていなかったとしても、あたしは起きて何かやんないよ?


 だってガルロに寄り掛かって寝るの、案外悪くないんだもん!





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