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??#夢現(ゆめうつつ)

45万HITありがとうございます!

番外編です。


随分前に出来ていたのに、すっかり存在を忘れてましたorz

ちなみに内容はタイトル通り?…あれ?意味違う?


10月になったら多分次回更新しますので気長にお待ちくださいね!

 夢を見た。とても懐かしいようで、実はたった数日前の日常。

 あたしはまだ異世界なんてものについて真剣に考えたこともなく、ただ何となく毎日を過ごしていた。


「せーちゃん」


 声がかけられて後ろを振り向く。あたしをそう呼ぶのは一人しかいないことをあたしは知っていた。


「いっくん」


彼の名前は水城樹(みずきいつき)。正真正銘血の繋がった兄である。


「おはよう」


 ニコッと笑ったいっくんに『おはよ』と返す。いっくんは某有名企業のエリートサラリーマン。しっかりセットしてある黒髪、黒ぶち眼鏡をかけ、ピシッとしたスーツ姿。整っている顔立ちに優しそうな甘いマスク。

 そんな兄に惚れる馬鹿な女は絶えないが、相手にされてない。もっと言うと兄に特定の女性はいない。作ろうとしないからだ。いつだったか理由を聞いたことがあった。えーと…何て答えてたっけ…?あぁ、確か…『そんなこと、決まっているだろう?せーちゃん以上の素晴らしい子がいないからだよ』。

 ――女を虜にするあたしの兄はシスコンだった。


「瀬奈」


 またもや声をかけられて、視線だけそちらに向ける。


「はよ。瀬奈、朝御飯さっさと食べないと学校遅れんぞ」

「うん、おはよう。直ぐ行くよ、しーくん」


 水城静夜(みずきしずや)。あたしの弟。彼も又…。


「まぁ遅れたら遅れたで、俺が何とかしてやるけどな」


 優しく微笑む弟に撃沈。…はい、こんな弟もシスコンです。因みにいうと、しーくんはあたしの一つ下。

 『炎天(えんてん)』という名の暴走族の副総長をやっているらしい。機械に強く、頭の回転が速いためか、参謀の位置につき、話によると喧嘩も出来るんだとか。でも、基本的にしーくんは手を出さないので、怪我をして帰ってくるということはまずない。

 しーくんは副総長という地位といつきに良く似た王子様顔で他校生まで知っている程有名でモテまくっている。だが、当の本人は女嫌いを自負しているためか、女があからさまに寄ってくることはないという。

 因みにしーくんの後輩(暴走族)に聞かされた事だが、しーくんはいつも溜まり場では無口無表情で笑う顔は皆無に等しいんだとか。あたしといる時は、無口どころか、あたしを退屈させないよう色んな話をしてくれるし、常に笑顔だから信じられないんだけどね。


「瀬奈、行くよ」


 あたしが朝御飯を食べ終わって数分。そういって席を立つしーくんに倣って席を立った。

 しーくんは毎日自転車であたしを送り迎えしてくれる。バイクも勿論乗れるのだけど、あたしがあんまりバイクに乗るのが好きじゃないと言ったら、次の日から普通の自転車になってたのだ。バイクのことも暴走族のこともイマイチ分からないけど、暴走族では珍しくマフラーを改造していないらしく、しーくんのバイクは静か。それもあたしの為だったらしい。

 しーくんは何でもあたしを主体に考える癖がある。髪の色とか。別に明るい色に染めちゃっても良いのに、一緒にいるあたしが変に目立つのを嫌って染めないまま。いっくんだって茶髪(というか焦げ茶色)なのに。


「せーちゃん、静夜、いってらっしゃい」

「いってきます」

「……」


 例え血の繋がった兄であっても無愛想に振る舞うらしいしーくんは、実はいっくんよりも優しいことを知る人は少ない。

 いっくんは周りに優しく見せてるけど、本当は群れるの嫌いだし。自惚れじゃなく、あたし以外の女は虫けら以下に思ってるし。多分、何かあったら他人を容赦なく、冷静に切り捨てられる人だし。上辺だけじゃない顔で付き合ってるのは、いっくんの長年の親友である刹那(せつな)くんだけだし。

 それに比べればしーくんはとっても素直。女は嫌いだから寄り付かせないけど、女や年寄に暴力とか奮っているのは見過ごせない質だし。基本冷静だから、周りを良く見てて自然に手を貸せられる子だし。口には出さないけど、仲間を信頼してるし。その仲間がたぶん大好きだし。


 似てるようで全く違う兄弟だ。でもそんな彼らが好きだった。


 毎日繰り返される日常。退屈なんてことは考えたこともなかったけど、こんな日常に何の意味があるのかも知らなかった。ただ毎日、同じような日を繰り返して繰り返して、意味もなく時間だけが過ぎていった。

 確かに幸せだった…と思う。でもその幸せはなにがなんでも手放したくないというものでもなかった。

 兄弟とは違って世界を何処か他人事のように見つめ、冷めているからだろうか。あたしの世界はいつも微かに灰色がかっていた。




「……セナ?どうかしたか?」

「……ううん。懐かしい夢、だったから」

「…ふむ、そうか……」


 この世界はあたしにとって手放したくなくなる程のものだろうか。

 血の繋がった家族であっても無言で切り捨てられるあたしを満足させるだけのものがあるのだろうか。



「星は夜空に、雨は雲に、光は闇に」



 存在する場所がある。還る場所がある。


 ――では、あたしの還るべき場所は何処でしょう?

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