内密に!ですよ
彼以外の皆さんは公務や事件についての調査やらで多忙である為、彼に任せて部屋を出て行かれた。
彼はまず私の素性と人物関係から話を進めてくれた。
私の名前はクレア・シャーロット・ホーキンズ
ウィスタリア王国の第一王女。
現国王であるアルヴィン・イーサン・ホーキンズが黒髪の男性、私の父であり、王妃であるノエル・マーガレット・ホーキンズがプラチナブロンドの女性、私の母である。
歳は十七。一週間前に何者かにより、怪我を負わされ、また呪縛魔法を受けたことで脳にもダメージがあり、記憶障害が起こっている。中庭で倒れているところを侍女が発見した。
そして、説明をしてくれているプラチナブロンドの髪をした彼は
レオ・アリエス・ホーキンズ
五つ年上の兄であり、ウィスタリア王国の第一王子である。
抱きしめられた時、彼に対して感じたものは家族の暖かい愛、故に湧き出た安心感であったのだろう。
ウィスタリア王国というのは多くの国々がある中で唯一、多種族国家を築いている。個人の権利を尊重することを中心とした特色を持つ王国。元は、人族のみだったのだが、今では、人族、エルフ族、獣族、魚人族、機械族の五種で構成されている。
私達、人族は人間の見た目をしており、十五歳までに個人にあった適正魔力を一つ持つ。人口規模が一番大きい。
対して、エルフ族は長寿であり、人口規模が一番小さい。身体能力が高く、適正魔力を二つ持つ所が特徴的。高い武力を持つが戦闘をあまり好まない。
獣族は人族に耳やしっぽが生えた見た目で、身体能力が断トツで高い。しかし、魔力を持たない。
魚人は言わゆるマーメイド、マーマンと呼ばれるもので、水中では下半身に鱗を持ち、生活を可能とする。地上では人族と同じ見た目をしており、特徴はアクアブルーをした髪と瞳である。水系魔力しか使えない。
機械族は人族に似たロボットのような種族。特徴は短命で働き者であるところ。防御力が高く硬い。だが、熱に弱い。また、獣族と同様に魔力を持たない。
彼は詳細に分かりやすく教えてくれた。
「クレア、ここまで理解出来たかい?」
「はい、多方理解が出来ました。ありがとうございます、レオお兄様。」
「それは良かった。少しずつ覚えていけばいいからね。」
「はい、ありがとうございます。」
「あとはそうだね、重要なことというと婚約の儀についてかな。」
「婚約、ですか?私にそのようなお相手が?」
「あぁ、隣国のユースティア王国、人族によって構成されている国でね、現国王はグレン・エドワード・マリオット、歳は二十二。半年ほど前に前国王、アレク・ディ・マリオットが急病によりこの世を去ってしまった。それ故、今は第一王子であったグレン王子が政権を握っているんだ。彼はウィスタリアとの結び付きを強めたいと共に、我々の国のように国の多種族化を図っているようで、是非妃にクレアを迎えたいとのことなんだ。この提案にお父様は頭を抱えていたのだが、彼、グレン国王がウィスタリアに自ら出向いて説得にいらっしゃったり…それに、彼はクレアと以前お会いしたことがあるようで、何やらクレアも婚約に対して前向きに考えていた。彼のその強い意志と決意、クレアの様子を見て、婚約をお認めになられたのだよ。準備は手紙や意思疎通魔法を通じて順調に進んでいるよ。ただ、クレアの事件があったから、少し落ち着くまで儀式を先延ばししなくてはならない。状況が掴めていないし、何よりその怪我。脳の損傷も含めて一週間も目を覚まさなかった。記憶がないこともあって色々と心配だからね。」
「気にかけて頂いて感謝してもしきれませんわ。この事はグレン国王にはお伝え致したのですか?」
「それが少々問題があってね、ユースティア王国のに伝達はしたんだが、国王には暫し内密にして頂きたいとの事なんだ。先程説明したように彼は半年ほど前に国王の座に就いたばかり、急だったこともあってまだ周辺の公務が片付かず安息を得るのもままならないらしい。そんな彼が事件を知れば静かにしては居られないだろうと踏んだ国王の側近や大臣はしばらくの間、内密にする事を選んだ。彼はクレアの元へ行くことは勿論、他の公務をそっちのけで事件について調べ出し始めるだろう。そうなると、事が大きくなってしまうし、ユースティア王国としては不都合にも程があるからね。婚約の儀を先延ばしをする事は約束して頂けたのだが、クレアには記憶が無いことを国王にバレないように接して頂きたいとこのとなんだ。クレアとグレン国王の二人は毎晩のように意思疎通魔法で連絡を取り合っていたからね、一週間も連絡が出来なければ何かあったのではと心配している頃だと思う。向こうの側近やらが何とか理由をつけてはいると思うのだけれど、その嘘もそろそろ危うい。悪いのだが、クレアには今日からバレないように連絡をして貰いたいんだ。お願いしてもいいかい?」
うっ、バレないようにと言われても…
顔も声も知らない婚約者相手に記憶がない私が今まで通りに接するなんて自信ない…
でも、断る選択肢はないし…
ここは腹を決めて頑張るしかない!
「し、承知致しました。自信はありませんが、尽力を尽くします。」
「助かるよ、色々と混乱しているだろうに本当にすまないね。困った事があったらなんでも言ってくれ。その怪我は、運悪く魔獣に遭遇してしまったということになっているのだが、事件によって記憶がないことは僕、お父様、お母様、先程の医師のニール、クレアを事件時に見つけた侍女のアリスにしか情報が回っていない。記憶は魔獣には操作出来ないから、怪しがられてしまう可能性が高い。事を大きくしない為にも、他の者達には呉々もバレないように注意して。あと、アリスはクレアとは主従関係を越えてとても仲が良かった。何かあれば頼りにしてやってくれ。他に聞きたいことはあるかい?」
「そうですね、私はグレン国王の事をなんとお呼びしていたか、ご存じですか?」
「うーん、僕の前ではグレン様だったかな、二人きりの時もそうなのかは分からない。気を付けてね。」
「承知致しました。」
「では、僕も公務がこの後あるから失礼するよ。またね、クレア」
「はい、レオお兄様。」
お兄様も部屋から出ていかれて、部屋は静寂に包まれた。時計に目を向けると四時を示していた。外から入ってくる情報量はただでさえ多いのに、片目でしか見えないことはだいぶ不利である。一度取ってみて、問題が無ければそのまま取っていても大丈夫だろう。そんな軽い気持ちで布団に手をかけた。
どうも、ソフィアです。
更新にバラつきがあって申し訳ないです。
また、今回は説明が多くて読みにくいと感じられたら、すみません。
アドバイスや感想、誤字脱字を見つけた場合は気軽に教えて頂けると嬉しいです。どしどしお待ちしております。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
引き続き頑張りますので、心の中だけでも応援していただけると幸いです。
ソフィア