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おとぎ話の騎士たち(試作)  作者: ろこんよっしー
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第一節

 今から私の語る物語は、ある世界の、嘘のようで本当の物語。時は国暦ニ一四年。舞台はこの世界の大国の一つ、ダーデン王国でおきる話。精霊や妖精たちが普通にいる、ありきたりな世界の話。悲しくも愉快な話。これは、この世界が嫌いな少女がある騎士に出会い、この世界の美しさを見出す物語。クリック?

 とても気持ちがいい昼下がり。ここは、のどかで広大な平原。王都にほど近く、耳をすませば人々の声が聞こえてきます。それとは相反するほど静かなこの平原に、小さな赤い目の少女が一人、孤独な木に背中を預けて座っていました。


「全部、お父様とキサキさんが悪いんだ。私は悪くない。でも、これからどうすれば…」


 遠くから見ると長く綺麗な黒髪でその小さな体が全てが覆われ、毛むくじゃらな魔物に見えそうなこの少女の名はマリー。この物語の主人公。今は身なりが整っていませんが、彼女の家は貴族の家系で、そこの一人娘である彼女にはその小さな体に見合わないほどの期待と責任がかけられています。彼女はその重圧に耐えられなくなり、家を飛び出してきてしまったのです。

 けれども、飛び出したはよけれど、この先どうしたらいいかわからなくて、ここで一人うずくまっていました。その様孑を見かねて、そこを通りかかった赤い目の少年が、彼女に優しく声をかけます。


「どうしたの?こんなところに女の子一人でいると危ないよ?」


 彼はこの物語のもう一人の主人公。旅をしながら絵を描いている人物だ。彼の髪はこの世界の年頃の少年にしては少し長く、色は珍しい緑色。そして性格は、彼は困っている人を見捨てられないお人好しである。

 彼がマリーに話しかけた理由。それは、今彼らのいる広大な平原、エヘーム平原には魔法を行使し、人を襲う生物、魔物が頻繁に行き来する。魔物にとって、丸腰の少女は絶好の獲物である。しかもマリーは魔力が普通より多いため、魔力を探知できる魔物に狙われやすい。彼は魔力が見えるので、彼女を心配して、こうして話しかけているのでした。


「…誰?」


 マリーは、警戒しながら彼に問います。家族以外とはあまり接してこなかったため、他人との話し方が少々荒い。しかも彼女は人がどれほど醜いかを知っている。故に彼女は人間不信なのです。それをたった一言で悟ったのか、それとは別の何かを悟ったのか、赤い目の少年は少し間をおき、身を低くしてマリーに自己紹介をする。


「僕はザイフェング・グリム。旅をしてる絵描きだよ。君は?」


 彼はマリーに優しく語りかける。彼女はおもわず困惑した。家を飛び出してからここまで、やさしく話しかけてくれる人がいなかったから。彼女は、胸の近くが少し熱くなるのを感じた。少し間をおいて、彼女も自分の名を告げます。


「…マリー。私は、マリーだ」


 彼女の名を聞き、彼は彼女に微笑みかける。そして、なにを思いついたのか、彼は彼女に手を差し伸べ、提案する。


「マリー、もしよければ、綺麗なものをたくさん見せてあげるよ。どうする?」


 マリーは少しだけ考える。この人は本当にいい人なのか。なにか裏があるのではないか。でも、マリーは彼を頼ってみたくなった。彼女は彼の手をとる。


「あぁ、よろしく頼む」


 穏やかな春の日差しに祝福され、こうして彼女のおとぎ話は幕を開ける。

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