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変えられる人生

       人は誰だって、人生を変える力を、持っている・・・・はず。 睦



 これほど人の眼を見て話すのは初めてかもしれない。でも、今話している事は眼を見て話さないと理解できないと胸中で悟ったのかもしれない。

「は・・・・?オレの人生をカエル??」

「あぁ、シャイングに行けば人間界出身の奴らは、人生が変わる。そいつら次第でな」

鬼衣瑠の眼は、きれいな水色で吸い込まれそうだった。真剣なのは、いまでもわかっている。

オレがこの世に生まれてきて、人生は変わり続けた。変わるごとに「失うもの」が増えていったのだ。全てを失う事が怖いくらいに。

「人生が変わるんだって・・・?オレは何を失えばいいんだ?」

もうオレの脳内では、変わる事=失う事になっていたのだ。オレは、何よりも「孤独」を恐れていたんじゃないのか?慣れだよ!・・なんて云ってたけど本当は、誰かが「ただいま!」って帰ってきてほしかった。

「睦様は、もう失ったりはしませんよ。鬼衣瑠様に任せてください」

「そうだ、睦。お前には向こうの世界で、得るものがある。俺が1つ願いを叶えてあげられる。」

「1つの願い?なんかベタだな。」

「そう簡単には、いかない。いつ叶うかもわからない、どうすれば叶うかもわからないんだ」

お、おいっ。なんかやばくなってきたぞ。現実逃避したくなる・・・・ような。

「あ、あのなんとかストーリーってやつみたいな感じ??」

「・・・あっちのほうが、簡単だろ!」

頭がこんがらがってきた。なんなんだ?ほんとに・・・もうっ!オレにはそんな力はないって云ってるのに。あああああぁ、水なんて操ったことも・・・

「睦・・・俺に命預けてみないか?」

「なんで!!オレの命はオレのものだぞ。第一なぁ・・・」

くるいかけている頭でオレは怒鳴ろうとしていた。彼のことばを聞くまでは。

「睦を一人ぼっちなんかにしない。死なせたりしない。本当の願い叶えてやるから・・・信じて!」

その言葉を聞いた瞬間、いきなり耳鳴りがした。頭も締め付けられるように痛くなりオレは頭をおさえ、しゃがみこんだ。そう・・・この言葉は、幼い頃聞いた事のあるのだ。いつ、誰がオレに云ったのかは、わからない。でも、確かに聞いたことがある。

「おいっ、睦・・大丈夫か?」

我にかえり見上げると、そこにはやはり鬼衣瑠が、手を差し出していた。オレはその手を、つかんだ。

「オレの人生を変えてくれるんだろ」

ただ、ポツリとオレは云った。「おいっ今日遊べる?」みたいな感じだ。でも、鬼衣瑠はうっすらと笑顔になっていた。

「ああ、変えてやる。信じてくれてサンキューなっ!!」

オレもしだいに笑みがこぼれる。

「で、いつ行くんだ?」

「お前が魂操者の能力を操れるようになったらな。・・・さっきのお前の友達に水がかかったのは、やっぱり睦の能力だ。まだ、コントロールできないから、いらついてやったんだろ」

・・・・・はい。誤っときます。

「さぁーて、さっそく修行だ」

ぐぅーんと彼は伸びをした。空は、大きな入道雲が浮かんでいた。

「これからは地獄だぞ!!」

笑いながら君は云う・・・。



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