三・・・話!
「お〜いっ!今日は学校へ行かなくてもいいんじゃない?」
という、胸中の言葉が頭をよぎる。朝行くとき変な胸騒ぎもしていたのだ。もちろん家に鬼衣瑠達が居るからなのかもしれない。でも、ちがうんだ・・・こうっなんていうか・・・。
「考える人」お前は凄い。オレは2〜3分考えるだけで厭きるのに、君は何年も何年も考えている。まぁ、考えていることの内容が違うのだろうな。
「お〜い!国語のテスト返しだよ。やばくねぇ?」
また、胸中の声が聞こえた。そう。胸騒ぎをしていたのは今日がテスト返しの日だからだ。目指せ20点!!(50点満点中) 結果は、聞くまでも無い。15点である・・・。
〜参〜
「睦〜何点だった?」
はいはぁーい!おき楽な良助君登場!!ってな感じで来やがった。絶対オレより点数いいだろうな。
「15点・・・目標20点だったのにさ」
「・・・・俺は、20点だよ!」
馬鹿??この言葉は、こいつのためにあるのか!!と、こんなに思ったことは無い。オレがこんなに傷ついているのに・・・。まぁ、天然なのかは、しったこっちゃない。
「まぁまぁ、大丈夫だって!!」
パッシッ・・・・という音が教室に響いた。オレの肩に良助が置いた手をはらった音だった。
「いってぇな〜!睦強すぎ。」
「悪い。強すぎた・・・・痛むの・・」
痛むのか?と聞こうとしたとき、女子の「キャア!」と云う悲鳴でとまった。目蓋を開くとそこには、花瓶の水をかぶった良助がいた。
「お、おいっ!大丈夫かよ!!」
掃除ロッカーの上にあった花瓶が落ちてきたという。
まさかな・・・まさか、だよ。オレがやったのか?魂操者の力とやらで。
「・・・・・・・・。」
「で、お前は花瓶が落ちてきたのは自分のせいだ、と云いたいんだな?」
家に帰り鬼衣瑠に聞いていた。アイスを口の中に入れながらそう云われても・・・
「うんっ。」
としか云いようがないだろう。
「てかさ、魂操者って何?なんでオレ?」
あぁ、オレこんな初歩的な質問してなかったんだ。情けない。
「は?昨日話しただろ。」
「あ、あれはなんか混乱しててだなぁ・・・」
お願いっ!と手を合わせると、小さい顔から笑みがこぼれた。
「わーった、わーった!教えるって。磨仔芦昨日どこまで話したっけ?」
「・・・睦様には最初からのほうがいいかと思います。」
あの、ウサギめ。後で、しっけた煎餅くれてやる。
「そうだな。じゃあ初めから話そう。魂を操る者と書いて、魂操者。
人は生まれながら、その力があるんだ。だが、操れる奴が少ない。だから皆聞かないんだろう。
その、属性みたいのが、沢山あるんだ。これを、操れる一人が睦ってわけだな・・ウンッ!」
話し終わった鬼衣瑠は、アイスの棒をゴミ箱に捨てた。
「他には?聞くことないか??」
「何で・・・オレ?なんの力もないよ。」
少しの沈黙があった。
「お前には、力がある。とてつもない力が。シャイングには、お前が必要だ」
そう云って微笑んだ。オレは彼の笑顔を見ながら考えていた。シャイングとは、国の名前だった気がする。なぜ、オレがその国に行かなくては行けないのか・・・と。
「鬼衣瑠・・・シャイングって・・・」
「お前の人生を変えるところだ。」
彼の顔は真剣になった。




