戦う理由
「今生きている理由?そんなの考えているばかりじゃなくて、今を思いっきり楽しもう」
零さんのソウルは綺麗な紫色をしていた。それに見とれていたオレは、零さんの後ろに居る猛獣に気づく事がなかった。気づいたのは零さんが魔力をソウルで固めようとしていた時だ。
「な、なんですか?その動物!」
「・・・僕の魂魔物だけど?」
そう云って、零さんは魔力を完全に封印した。魂魔物って何なんだ?零さんの後ろに居るのは「でかい雪狐」みたいのと「少し小柄なヤマアラシ」だった。でもそれは、普通の動物には見えず、体にソウルを纏っていたのだ。・・・・不思議!
「おいっ!戻るぞ」
あの大男をボコボコにしていた鬼衣瑠が掛け声をかけた。零さんが、ソウルを体内に戻すとその動物たちも消えていった。そんな事を考えながらも、オレたちはシャイングに戻って行った。
「何で皆居なかったんだ?やっぱり罠だった?」
本部に残ったオレは、帰ってきてすぐに質問をしていた。(まっしーはお仕事です!!)
「あぁ、罠に掛かったな。隣町のサクルスってファミリーがあるんだが、そいつらがある魔物の封印を解こうとしているんだ。その魔物はこの世を滅ぼし、封印を解いた者の願う世界にするんだ。そこのボスが・・・-寛和-だ。俺等がそれに気づき始めたのは、つい最近の事で・・・もっと早くに気づけていれば」
鬼衣瑠のこんな悔しそうな顔を見たのは初めてだった。こんな顔をするやつだったんだ。少し沈黙が続いたが、オレはやっぱりというか、気づいた事があった。
「その魔物を封印する手助けが欲しいから、力の強いオレを呼んだと・・・・そんなとこだろ?」
「あぁ、そうだ。でも絶対に死なせたりしないから安心しな!でも、本当に環のことでは焦ったさ・・」
-死なせたりしない-その言葉がオレの胸に刻まれていった。本当に安心できる言葉なのだ!
でも、オレも強くならなきゃな。守られてばっかじゃ駄目だし・・・。
「あっ!そうだ・・・」
「フフフ・・・環を殺せなかったくらいで私たちの計画は終わりませんよ・・・・」
不気味な笑みを浮かべながら寛和は、鬼衣瑠たちに気絶させられた剣士たちを踏み潰していた。使えない奴らはいりませんとぼやきながら。
「もうすぐ私の望む世界になるのだぁぁぁぁぁ!」
その声は町全体に響いていた・・・。
「あぁ、零の後ろにいた動物か。あれは零の行った通り魂魔物だ。魂魔物は魂操者なら誰でも出せる・・・手助けキャラみたいな物だ。でも、属性によって動物が違うんだ。零の属性は、-雲-と-雪や氷、氷柱-なんだよ。だから、雪狐とヤマアラシ!!」
うん、わかったけど何でヤマアラシなのかな??まぁ、聞いたって無駄だろう・・・返ってくる答えは、めんどくさいだから。
「なぁ、じゃあオレは?」
「ん〜普通の水の魂操者は、魚とかだけどお前は力が強いから・・・あれだ-水竜-だな!」
え?力とか関係あるんだ・・・って、水竜は動物ですか??てか、オレに操れるのか?
「操るために、強くなるために修行するんだろう!明日からやるからな」
「うん!頑張って強くなるさ。この世を平和にするんだろ?」
そして、平和なこの世界にずっと居たい・・・とか一瞬考えた。それは駄目なんだ。鬼衣瑠が駄目って云ったから。
「失礼します!任務に行かれていた人間の魂操者が、骸と化して見つかりました・・・」
その言葉を聞いて鬼衣瑠の顔が変化した。人殺しを嫌うのだから当たり前なのかもしれない。
オレと同じ人間が死んだのか・・・・。きっとこの国を守るため必死だったのだろう・・・ん?
「なぁ鬼衣瑠・・・人間がここで死んだら願いとかは叶うのか?人間界ではどうすれば・・・」
「よく聞けよ・・・だがな、お前は死なせないからな」
鬼衣瑠は、話し始めた・・・。




