8/10
破滅へのカウントダウン 後
「父上、お呼びと聞きましたが?」
執務室に入るなり、自らの父親に問いかける。
「あぁ、確認したい事があってな。」
「今月の支払いの件でしょうか?」
「その通りだ。聞けば金貨を百枚以上使っているとの事だが、事実か?」
「事実です。申し開きようもない。まさか今まで購入していた物がここまで高騰しているとは思いませんでした。このような事をするとは。やはりあの毒婦との婚約を破棄して正解でした。近日中にライアーノ領へ赴き、値を下げるよう伝えてくる予定です。」
その言葉を聞いて、一枚の手紙を取り出す。
「そのライアーノ家から、お前宛に手紙が来ている。二月後、ライアーノ家で近隣諸国の者を招いてパーティーを開くそうだ。そこで重要な発表をすると言っている。お前も招待されている。数人程度なら護衛として同行が認められている。護衛はお前が選べ。以上だ。」
「わかりました。失礼します。」
父親へ頭を下げ退室する。
「全て、彼女の掌の上か。」
その声は、誰の耳にも届く事無く消えてしまった。