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村へ

本物のレイアが出る話では、転生者を麗明。本物をレイアと表記しています。

準備を終えた二人は、村へと向かっていた。

「そう言えばさー。」

「何ですか?」

サイドカーに乗るレイアが唐突に声を上げる。

彼らの移動手段はサイドカーの付いた自転車である。

ただし、多段ギアなどは無い。

魔法が発展し、科学や工学など全く発展していないこの世界では、同サイズのネジすら作る事は困難である。

だが、領地を回るのに馬車では時間がかかりすぎる為、試行錯誤の結果、この形で落ち着いた。

ちなみに、3代目である。

本来なら人力車が一番速いのだが、ラシュクルドが蹴り上げた砂がかかったり、衝撃が強すぎて人力車が浮き上がるなどの問題があった。

「いや、ラッシュじゃなくてレイア。」

『何でしょう?』

ラシュクルドを愛称で呼んで否定し、レイアに話しかけた麗明は、ふと疑問に思った事を聞く。

「レイアは逆ハーしたかった?」

『何ですか、唐突に。』

「いやー、前世で逆ハー狙ってた友人がいたからさー。もしかしてレイアもそうなのかなーと思って。」

『麗明さん、こんな事言いたくありませんが、友人は選びましょうね。』

「いや、私じゃないよ! 友人だよ友人! マッタクナニヲイッテルノカナー。」

あからさまに目を泳がせ、不自然な態度の麗明に、ラシュクルドは生暖かい目でむける。

「な、何よ、その目は。友人だからね! 私じゃないからね!」

必死に弁解しようとする麗明に、ウンウンと唸っていたレイアが声をかける。

『麗明さん。』

「何よ!」

明らかな八つ当たりであるが、レイアは構わず続ける。

『例え私が物語のヒロインだとしても、逆ハーは願わなかったと思います。』

予想外の回答に、麗明は驚く。

『我儘姫』

その呼び名が付けられる程、ゲームでのレイアは我儘で傲慢だった。

必要な物は手に入れるではない。

欲しい物は奪う。

それがゲームでのレイアだった。

『確かに、欲しい物は父にねだりました。例えそれが他人の物だとしても。』

いきなりの発言に、麗明は戸惑ってしまう。

『でも、本当は誰かに見て欲しかったのかもしれません。』

「どういうこと?」

訳がわからないといった表情で麗明が問いかける。

『誰も私を見てくれません。いえ、見ているんだと思います。でも、それは侯爵令嬢レイア・フォン・ライアーノであって、等身大の私ではないんです。まるで私の価値が、侯爵令嬢の肩書きにしか思えませんでした。』

「なるほど。一種の独占欲ですね。」

「独占欲?」

「はい。子供などがイタズラをしたりするのは、その人に構ってほしいからです。クラスの気になる子を虐めるあれですよ。」

「あー、なるほどねぇ。」

言われて納得する麗明。

「まぁ仕方ないわよ。恋愛の末に結婚するより、政略結婚がまかり通る世の中なんだから。ハッピーエンドがまかり通るのは、ゲームや小説だけなんだから。」

その言葉に、ラシュクルドもレイアも何も言わない。

二人とも、生前の麗明の身に起きた事をしっているから。

少し重くなった空気の中、一行はラシュクルドが生まれた村へと向かっていた。

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