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伝説のガンマンが死んだ日

初めまして。菊一と申します。

細々と書きたい時に書いて、書きたい様に書いていますので余り過度な期待はしないでください。


またあらすじに書いた通り見切り発車で鈍亀更新です。

其れでも構わないお方だけ、どうぞ……

寒い冬の夜、俺は普段通りのロングコートを羽織り、フードを被って街中をバイクで走行していた。聞こえてくるのは自身が発する風切音と僅かなパトカーが鳴らすサイレン。

「……大丈夫、これが終われば、世界は――変わる」

バイクの速度を上げながらそう呟き、目的地までの道のりを急ぐ。

……やがて見えてきたのはこの街でも最大級の高級ホテル――また世界的に見てもかなりの勢力を持つマフィア組織の本社も兼ねている高層建築物だった。俺はバイクを一旦止めてそのビルを凝視した。

「……ビルまでは一本道…この道路を真っ直ぐ行けばロビー……立ちふさがる相手を始末しながらエスカレーターを上りエレベーターへ……」

目を瞑り建物の見取り図と自分がこれから通るであろう場所をイメージしながら計画の最終確認を行う。

「……エレベーターを三回乗り換え…最後の中央エレベーターに乗り込んで……降りたら真っ直ぐボスの部屋まで……そして……」

と、最後まで考えた所で思考をやめて口元に小さく笑みを浮かべる。嘲笑でもなく、慢心でもなく、ただ『ああ、いつかは予想していたさ』と出来れば回避したかった未来……

しかしあの日、一番大切だった、最愛の人を殺された日……その殺した人物を見た時にすでに回避するのは不可能だったのかもしれない。……いや、もしかするともっと前……そう、俺とあの人が出会った時からすでにこの未来は決まっていたのかも知れない……そんな気がしてならない。

いつも間にか少し震えていた手を握り締め、腰の両側に手を回す。指先がふれた瞬間に伝わった冷たく、しかし確かな存在感を感じさせる温もり。目で見なくてもわかる、俺の長年の相棒がそこにあった。

「……さて、そろそろ行こうかね……」

俺は決心するとコートを羽織り直し、バイクのハンドルを握り直し吹かせる。

ブレーキを離して加速……身を屈めて衝撃に備える……メーターは一気に回り100kmへ到達しようとする……目の前には自動ドア……

俺はバイクのアクセルを緩め無いようコインを挟んで固定すると、腰のホルスターから自慢の相棒を素早く抜き、迫ってくる自動ドアへ銃口を向け銃弾を叩きこむ。

自動ドアに複数の穴が開くと同時にバイクの前輪を持ち上げ、さらに加速させてバイクをジャンプさせる。

そのまま自動ドアを突き破り、ホテルのロビーの中へとガラスの破片を撒き散らしながら入る。眼下にはマフィアの構成員であろう男達が空中にいるバイクに跨った俺を見上げている。

しかし次の瞬間俺は銃口を下に向ける。その瞬間、やっと敵襲だと気付いたのか手にしていたSMGを構えようとするが……

「遅い!」

相手が構える前に全員の位置を把握し銃弾を叩きこんでいく。

複数の呻き声をあげながら男たちは倒れていくが全員を倒しきれるはずもなく、向けられた銃口から発射される銃弾が俺もバイクに当たるが俺は気にせず、そのまま危なげもなく着地させるが流石に慣性を完全に殺しきることはかなわずそのまま進行方向へ滑りながら向かうがバイクを横にさせて摩擦する場所を多くし、同時に両手のハンドガンから更に銃弾を発射する。やがてバイクが止まると同時に手榴弾の安全ピンを抜いて構成員が密集する中央に投げつけ、自身はバイクの陰に隠れる。

数瞬後、凄まじい轟音と共に黒煙が立ち上り瞬く間にロビーに蔓延すると俺はバイクの陰からエスカレーターへ一直線に駆け出し、同時に姿形は見えないが黒煙の向こうにいる敵に向けて弾倉内の残弾を全て発射する。ホールドオープンすると同時にマガジンキャッチを押して空になった弾倉が乾いた音を立てて床に落ちる、すぐさまロングコートの中に固定してある弾倉を挿入しスライドストッパーを落して薬室へ装填する。

置き土産とばかりにもう一つ手榴弾をロビーに放り、転がるようにエスカレーターへ乗り込むと共に銃弾が上から襲ってくる。

すぐに伏せてエスカレーターの手摺を遮蔽物にしながら弾丸が襲ってきた方向へ銃口を向けて発射する。銃声がしなくなったのを確認して顔を少しのぞかせると他に敵は居らず、一気に駆け上がりエレベーターへ向かう。

テレビ局やその他重要な建物などは直に占拠されない様にエレベーターなどを遠くに離して設置しているのだがこのビルも例にもれずそのような建築になっており、扉の向こうや廊下の角等の至る所から敵が姿を現して俺の進行を阻もうとする。

しかし俺はそれに対して相手よりも早く銃弾を叩きこむ。しかし敵のすべての攻撃を防ぎ躱すことは不可能で脇腹や脚に数発弾丸を撃ち込まれ自分の赤い血が床に垂れるが気にせずエレベーターに向かう。

「………見えたっ!」

やがてエレベーターが見えてその前に敵が10人以上サブマシンガンを構えてこちらを狙っているが俺は更に走る速度を上げて両手のハンドガンを前方に向ける。

「…そこを……どけぇっー!!」


『チーンッ!』というエレベーターが目的とする階層に着いた事を知らせるベルの音と共にエレベーターの扉が開く。

俺は陰になるように隠れていたが今までの様に無数の弾丸が向かってくるようなことはなく、静寂がその空間を包み込んだ。

「………………」

暫く待ってみるが何も起きず顔を覗かせると誰もおらず、しかし警戒は解かずに一気にエレベーターから飛び降りると前後左右を銃口を移動させながら素早く確認して上にも敵がいないことを確認すると「ふぅっ…」と少し力を抜き、真っ直ぐ続く廊下の先に目を移す。

最上階……両開きの大きな扉……その奥から漏れ出す圧倒的な存在感……

俺は静かに歩み、その扉の前に立つと扉を開けた。

「……やはり来たか、思ったより早くて少し驚きだよ」

ふと、そんな声が聞こえて俺は声が聞こえた方へ銃口を向ける。

その先には重厚そうな磨かれた執務机に黒革の椅子に腰かけて煙草の煙を出しながら外を眺めてる()()がいた。

椅子を回転させてヤツが立ち上がる。

黒い髪をオールバックにしてメガネを掛けており、スーツも来ていることも相まってパッと見は《出来るサラリーマン》という雰囲気だが緘黙かと思いきや飄々と言葉を出す……全てにおいて俺がもっとも戦いにくい、天敵ともいえる存在だった。

「……さて、久々の再開だ…ゆっくりと酒を交わしながら話したいところだが……こっちも仕事なんでな……」

そう言って咥えていた煙草を執務机の上の灰皿で揉み消し、ホルスターから二丁拳銃を取り出した。

シルバーの銃にカスタムが加えられており、俺の銃と似たペイントが施されているが全く別の銃……

「……パラ・オーディナンスP14カスタム……」

「そうだ。俺の相棒であり俺自身でもあると言っても過言ではない……俺と共に数々の伝説を作り上げた銃だ……お前に見せるのは初めてだったかな?」

俺の呟きにヤツは少し含み笑いをし、見やすい様に少し傾ける。

しかし俺は見た時がある……前に一度だけ……だがハッキリと……

「あいつを……沙織を打ち殺したときに一度見てるよ……」

そう……ヤツは沙織を……共に育ち、俺の最愛だった人を……そしてヤツ自身の実も娘であった沙織を……その銃で、殺した!……

「ああ……そうだったな……良くできた娘だった」

ヤツは目を閉じ少し見上げた。恐らく沙織の最後を思い出しているのだろう。

自分で殺しておきながら感傷に浸るヤツを見て俺は銃を握り締める。

「……それで…お前はその銃で挑むのか?ベレッタM92FSカスタム……」

「……ああ……色々思うところが無い訳じゃないけど……今現在最も使い慣れて安心して命を託せる……相棒、だからな」

そう言って俺は銃口を向けたまま腰を落とし、引き金に指を掛ける。

「……なるほど……それじゃあお喋りはここまでだ……いくぞ、二代目!……」

「……今まで遊んで暮らしてたわけじゃねぇんだ……格の違いっていうのを見せてやるよ……こいよ、先代!……」

……お互い銃を構えたまま微動だにしない。

……

………

…………どれ位たっただろうか?時間にして一分もたってないだろうが俺にしてみれば永遠とも感じる時間だった。

しかしだからといって下手に先に動いた場合勝敗は決するだろう。隙を見せた俺が死ぬ形で……だから、先に動くことは絶対に出来ない。

俺は両方の銃を先代に向けて。先代は半身で右手の銃を俺に向けたまま左手の銃は下げている。

見るのは相手の目線……ではなくて銃口の向き、後は引き金にかけてる指。目線を合わせたが最後、先代の威圧感にのまれて緊張しすぎて逆に隙が生まれる。それも阻止しなければ……

その瞬間、火薬が爆発する小さな破裂音が部屋に鳴り響いた。

俺じゃない!なら先代の銃?…いや、違う。ずっと見ていたが発砲するなら先にわかるはず!なら……っ!左手の銃っ!

「……隙を、見せたな?」

俺がイキナリの予期せぬ発砲音に一瞬とは言え思考を向けた隙を先代は見逃さなかった。そしてさっきに発砲音は俺の意識を向けさせる囮だった。

「しまっ……!」

「遅いっ!」

ものすごいスピードで近づいた先代へ攻撃しようと銃口を再び向け直すが、焦りが緊張を生み僅かに動きを阻害し、また思考も鈍らせて、その分よまれやすくなっており発砲する前に先代は俺の銃を持つ手を自身の手で抑え込み、俺の顎を思いっきり蹴り上げた。

その衝撃で俺の意識は飛びそうになるが何とか堪えて、蹴り上げられた力を利用して後ろへ体をそらして回転ざまに銃を向けて引き金を引こうとする。

「…悪手だな」

更に接近していた先代の顔が目の前にあり発砲音が連続で鳴り響き、俺の背中と地面に着いた手に痛みが走り俺はバランスを崩し床に仰向けに倒れる。

先代はそんな俺を壁際まで蹴り飛ばし、ここに来るまでに受けた銃弾の傷口を踏みつけて俺を抑え込み、残った片手の銃を向けようとするがそれも弾き飛ばされる。

「……ぐっ…カハッ!……」

「……満身創痍……無様だな?」

「な、何を……ぐあっ!?」

俺の腹の傷をさらに抉るように踏みつけ、しかし顔は無表情のまま俺を見下ろしており。

「……俺ならこんな無様な姿にはならないさ。わかるか?要は経験の差だ。お前は1:1の対人戦は得意とするが相手が複数いる場合の集団戦が上手くない。連射速度も命中精度も俺よりはるかに高いにもかかわらずに、だ」

先代はしゃがみ込み、俺の顔を覗き込むように銃身で俺の顎を上げさせた。

「1:1なら恐らく俺でも勝てないだろう。しかし結果はどうだ?何故か俺が勝った、当たり前だ。お前の苦手とする集団戦で疲弊したお前が相手だったからな。お前の弱点は命中精度と連射速度が()()()()のと相手を翻弄しやすいってところだ。まあそうだろう。俺がそう言う風に教え込んだんだからな」

先代は立ち上がり俺に眉間に銃口を向ける。

「さて……それじゃあそろそろ終わりにしようか?安心しろ、養子とは言え俺の息子だ、沙織と同じ墓に入れてやるよ……じゃあ、なッ!」

先代は引き金を引いた……が銃弾は俺の左横を通り過ぎ、俺は右手に握った()()()()()を先代に向けて全弾打ち込む。

後ろに倒れ込む先代に対して俺は起き上がり先代の手首をつかんでいた左手でもう一丁のリボルバーも抜き穴が開いて血が流れて痛む手で六発、打ち込む。

今度は逆に俺が先代の銃を蹴り飛ばし手首を両足で抑え込みながらリボルバーをスイングアウトして空薬莢を落して弾を込め直し、先代の腹に更に叩き込む。

先代は血を吐きながら荒い息で俺の持っている銃を見つめていた。

「…はあ…はあ……こ、コルト……ゴホッ…アナコンダ…か……」

「…ああ、俺が昔使っていた相棒……ベレッタで戦うとは言ったがアナコンダは使わないとは言ってないし二番目に信用してるんだ……予備としては少々デカいけどな?」

俺がそう答えると先代は「そうか……」と呟き小さく微笑む。

「……これで俺の勝ちだ」

「ああ……そうだな」

「……俺はアンタに色々なことを教わった」

「ああ……そうだな」

「生活に関する基本な事、人との関わり方、ビリヤードやダーツの楽しみ方、美味い酒の飲み方、嗜好品としての煙草の吸い方……そして、銃の撃ち方、人の殺し方……」

「お前は…料理が特に壊滅的だったな……スクランブルエッグがどうしたらあんな卵の塊になる……しかも味無いし」

「……た、食べれりゃいいんだよ!」

そんな俺との会話に先代は笑い、俺もつられて笑った。

やがて笑いが収まり、素バラクの沈黙の後、先代はこう続けた。

「……それじゃあ、人の確実な殺し方も…覚えてるな?」

「……ああ、もちろん……」


「「……脳幹に向かって銃弾を二発!……」」


示し合せたように同時に同じ言葉を発すると俺たちは少し笑い俺は銃を構える。

「……言い残すことは?」

俺は銃の調子を手早く確認しながら問い。

「そうだな……特にない、な」

先代は味気ない返事を返した。

「それじゃあ……アバよ……()()

「……ああ、向こうで待ってる……またな…()()よ」

俺は目を瞑った先代の中に銃口を押し込むとためらいもなく銃口を二回引いた。


「おい……こりゃあ相当な量の銃弾を受けたんじゃないか?」

「ああ、しかし血痕が続いてるってことはまだ生きてたってことだ……いそげっ!」

赤いサイレンを鳴らして到着した刑事が部下を数人連れて最上階へ向かう。

そしてエレベーターを降りて拳銃を構え、最上階の両開きの扉をけ破った。

「警察だ!全員その場を動くな!!」

中を見渡してみると所々に銃弾の痕と空薬莢が散らばっており中央には倒れた一人の男性と背格好から青年が両手に銃を持ち、佇んでいた。

「……ゆっくりとこっちを向いて銃を捨てろ」

刑事が少年に銃を向けながらそう言うと少年はゆっくりと刑事の方を向き両手に持てた銃を捨てた。

少年の下には夥しい量の血が溜まっており、それと比例するように少年の体にも銃痕が見て取れた。

刑事とその部下がその姿を生唾を飲みながら見ていると不意に、ゆっくりとだが少年が右手を持ち上げ始めた。

「う、動くなっ!」

刑事が銃を突き付けて叫ぶが少年はやめない。

やがて方の高さまで持ち上げると手をピストルの形にした。

「…………バンっ」

と少し微笑み、銃を撃つような真似をした後その場に静かに倒れた。

「お、おいっ!……ええいっ、くそっ!救急車だ!はやくしろ!」

「は、はいっ!」


―――この日、この世界で最強のガンマンと言われた()()が、死んだ―――


読んでいただきありがとうございます。


次回はまだ執筆中なのでお待ちください。

出来るだけ早く上げれればと思います。


感想などあれば書いてくれると《執筆速度加速【微】》が発動します。

批判の場合は《執筆感情低下【微】》が発動します。

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