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「たーだいまー」
「おかえり真央…なんだか疲れてない?」
トボトボと帰って来た私をお母さんが心配そうに見つめる。本当今更だけど美形2人を産んだだけあって綺麗なお母さんだ。
「ちょっとね 生徒会に玲が選ばれたから」
「あら玲も?あの子ちゃんとやるのかしらね」
よるご飯の支度をしながら話すお母さん。一年前からお父さんは単身赴任だけど子供がみんな食べ盛りだから作る量は半端ない。
「おなかすいたー」
「今作ってるから着替えて来なさい」
「はーい」
お母さんに言われるがままに階段を上ろうとすると玄関が開く音がした。玲か洋ちゃんだ。
「洋司?玲?」
「んー、こっから見えない。けど洋ちゃんかな」
足音で判断する。犬か。
「ただいま」
「あ、ほんとに洋司だわ」
「なにそれ?」
洋ちゃんも少し疲れた顔をして帰ってきた。早速副会長としての仕事でもしたのかな。
「洋ちゃんおかえり」
「ん、ただいま」
ネクタイを緩めながらこちらに近寄ってくる。どうやら部屋に行きたいらしい。先に階段を上りながら洋ちゃんに話しかける。
「玲が選ばれると思ってなかったからびっくりだったよ」
「そうだね。あーでも庶務真央になるかもしんないよ」
「ふーん…
え!?」
庶務?!私?!何故?!なにゆえ?!
「後三段頑張って」
私がその場に固まるものだから洋ちゃんがギリギリまで迫って来て私のお尻をポンと叩いた。
その勢いに任せて階段を上りきると未だ呆気にとられている私の頭をぽんぽんとし洋ちゃんは自室に入って行った。
「いや、いやいや なんで」
その場で立ち尽くすこと10分。洋ちゃんが着替え終わって自室から出てきた。そして私の元までくるとほっぺをびよんと引っ張る。
「真央ちゃーん しっかり」
「ひっはひっへへ、はふへ、ははひはほ」
「ん?」
優しい笑みで私を見つめる洋ちゃん。ほっぺを引っ張られたままだとちゃんと喋れないよ。
「まぁ まだわからないし そんなに重く受け止めなくていいよ」
「…はぁ」
そう言って洋ちゃんはほっぺから手を話し階段を下りて行った。
「おなか減った」