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「さて、残り2枠。もう1人の書紀と副議長ですが今年も皆さんの投票で決まりました」
一年生入学から一ヶ月間の投票期間を経て、新しい生徒会役員が決まる。名前も勉強の出来も関係ない、顔だけで決まるのだ。
その筈なのになぜか生徒会の皆さんは頭が良い。顔も良ければ頭も良いとは…
でもまぁ噂ではある程度先に職員と生徒会で頭の良いイケメンだけに絞っているらしい。__というのも1学年全員から選ぶのは大変だということで毎年10名前後から選ぶからだ。
投票用紙には元々絞られた人数分の写真しか載っていない。そしてそこには名前すら載っていないのだ。
「ね、真央は誰にいれた?もちろん柔らかそうでくるんっとした黒髪の
「私は投票してないよ。投票用紙も売り切れてたしね」
「ああ…確かに投票用紙は記念になるから持って帰る人多いのよねぇ」
「え、なんのために」
「だーかーら 記念に!ってことは真央は誰が出馬させられてるかも知らないんだ?」
「うん そうだよ」
「勿体無い!また今度見せてあげるよ 私も記念に持って帰ってるからさ!」
「あ、うん。ありがと…」
この学校には茜のようなミーハーが沢山居るんだろうな と感心する。実際周りを見渡せば今か今かと新しい生徒会役員の発表を心待ちにしている女の子で溢れかえっている。
「新しい役員を発表する前にひとつ」
会長王子様がそう言うとざわめく体育館が一瞬で静かになる。
「僕が会長を務めるこの一年間 副議長の枠を廃止します」
その発表をぽけーっと聞いていると隣で茜が どうして?なんで? と独り言を呟いていた。
「今年も魅力的な子が沢山居たはずなんだけど 投票数がたった1人に大量に入ってね、圧倒的だから議長は伊吹1人に任してその子を書紀にしようと思ったんだ。…それで いいかな?」
突然の甘いマスク甘い声の会長王子様からの質問に女の子達の目はハートに変わっていた。どこからともなく「いいとも!」と言う返事が聞こえてくる。お昼の番組みたい…
「ありがとうございます。では発表します。今年生徒会に選ばれた一年生は…
1年C組の高城玲くん、キミだけです」
「玲!?」
思わず声に出してしまった。周りの歓声に掻き消されたけど、茜にだけはしっかり聞こえていたらしい。すごい目でこちらを見ている。