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「おはようございます」
そう生徒会会長が挨拶すると一気に会場が沸いた。ここライブハウスでもなんでもない体育館だけど。
校則違反をしているのか地毛なのかイマイチ分からない綺麗な茶色の髪をふわふわとさせている会長は今年3年生の逢沢春人。通称王子様。
会長に相応しいオーラで、横を通ると誰もがハッとしてしまう美形らしい。
私は目がそんなに良くないうえに、あまり近くで見たことがない。
「正直王子様ってあだ名 ベタだよね?」
コソッと茜に耳打ちするとすごい剣幕で睨まれてしまった。
「役職が少し変わったので紹介します」
「そっか!こないだ3年生が卒業してったもんね!」
嬉々として会長王子様からの紹介を待つ茜とその他大勢の女の子達。
「会計だった高城洋司くんが副会長に変更になりました」
「今年から副会長になりました、高城洋司です。よろしくお願いします」
洋ちゃんが挨拶するとまた体育館という名の会場が沸いた。洋ちゃん、いつからアイドルのようになったんだ。
洋ちゃんは毎日顔を見るからよく知っている。小さな頃から整った顔をしていて、そこに最近は男らしさも入って来たんだけど、洋ちゃんの良いところはどちらでもなく優しい笑みをするところだ。何でも包んでくれそうな温かい雰囲気も纏っている。
「今年は会計に書紀の2年の稲葉有希くんが
会長王子様がそこまで言うとまた女の子達が沸いた。稲葉くんは1年の時同じクラスですごく仲良くなったから離れるのさみしいな、と思っていたら2年もまた同じクラスになれた。少し悪戯っ子のようなところがあって、笑顔が可愛いと人気を博している。私的には生徒会の中で1番親しみやすく感じる。
「ということはー、書紀はそのまま3年の服部先輩でもう1人の会計もそのまま2年の小野くんか…」
「茜は本当に詳しいね」
「このぐらい知ってなきゃウチの学校の生徒とは認められません〜」
「えー そんなの初耳だよ」
「常識です常識ー…あれ?」
「ん?」
「そういえば1人足りない!伊吹先輩がいない!」
あー、そういえば伊吹先輩て人もいたな。イケメンはイケメンだけど不真面目すぎて殆ど参加しないとか。
「残りの会計、書紀、議長は変わらず昨年度と同じメンバーが務めます」
その会長王子様の一言を聞いて茜は安心したように胸を撫で下ろしていた。伊吹先輩は茜の中で重要な人間だったらしい。