在るはずのない恋
ラブレター。
言葉をたくさん書くのは誤解されたくないからだ。
思い悩むのはあまりにも気持ちが溢れているからだ。
書きたいと思うのは想いを伝えたいからだ。
ふとした瞬間、ペンが止まるのは、あなたを見つめるからだ。
せっかく書いた手紙を破るのは勇気がないからだ。
名残惜し気にあなたを目線で追うのは、まだ、気持ちが残っているからだ。
月日を気にするようになるのは、迫ってきた別れに悲しみを覚えるからだ。
悲しい別れ。
私はあなたと一緒にいたい。でも、居られない。
冷たい土の中に眠る静寂なあなたに、温かくて土の上で生きる喧噪の私は相容れない。
墓石をずらせばあなたの納骨が見れるのだろう。
何十年もしたら私はあなたの骨を大地に還すのだろう。
これは在ってはならない恋だから。