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作者: 綾姫

女性は,男性に後ろから抱かれるのは嫌じゃないと思う。 すごい暖かくて,守られる感じがする…


アタシは大失恋をした。その傷を癒そうと頑張ってくれた人,准がいた。 別に普通のただの友達だった。でも決して,恋愛対象にしてはならなかった。 准は…結婚している。


准は私より5歳年上。背はそんなに高くないが,仕事で培われたガッチリした胸板に鮮やかに日焼けした小麦色の肌,そして何よりもキラキラした瞳は,多くの女性をトリコにする。


私が失恋してからというもの,毎日の様に心配してくれて,私の相手をしてくれた。そして度々,綺麗な夜景や夜空が見える所へ連れていってくれた。


私はそんな准にいつからか惹かれていってしまった…恋をしてはいけない相手とわかっていたのに…


ある日,どちらからともなく,夜景を観に行こうと,六甲山にドライブに出掛けた。 車から降りてボーっと立っていた。

いつもより澄みきった空気で夜景が一段と綺麗に見える。

そんな夜景を観ている内に,前の好きだった人の事を思い出し,気付かぬ内に涙を流していた。

准は泣いている私に気付き,そっと頭を撫でた。

きっと私が考えている事がわかったのだろう。

准は何も言わず,私を後ろから優しく抱きしめてくれた。 丁度いい具合についた筋肉質の腕が私を抱えた。 思わず私は振り向き,准の分厚い胸に顔を埋め泣いた。香水のいい匂いがした。准はただ,ただ,私を強く抱きしめた…。 その一瞬だけは…このまま恋に落ちてしまいたい,と心から願った。その日から互いに忙しくなり,会う事も少くなった。私は会えない度に気持ちがどんどん膨らんでいき,どうする事もできないぐらい…私は准に落ちてしまった。

准と会わなくなってから,一ヶ月後,私はあの日,准の胸の中で泣いた,六甲山に行った。 この場所なら,准と結ばれるような気がした。

一人でベンチに座って夜景を観ていた。

私はこの時,准が来てくれるんじゃないかと,小さな期待をしていた。 准が…来た。別に六甲山に行くなんて言ってない。ただ准も,ここに来たら私に会えると思って来た。そして…私達はまたここで,あの日のように,抱きしめあった。あの時と違ったのは,互いの気持ちが通じていた事だ。 ただの友達が,愛する人に変わった瞬間だった。


『逢いかった』ただその一言を互いに言いあった。


二人は車に乗った。フロントガラス越しに観る夜景も,その景色がくすんでいても,准と観れるだけで幸せだった。

准は私が淋しそうな顔をしているとすぐに頭を撫でてくれる。まるで子供をあやすかの様に。私はその大きい手が大好きだった。


准は後部座席に移動し,私に手を差し出して『おいで』と,ただ一言いった。 私は言われるがままに手を重ね,後ろにいった。 そして准は私を足の間に座らせ優しく手を前に回してきた。

とても安心できるその腕を私も抱きしめ…准の方を向いて,今までの思いを全てぶつけるかの様に,キスをした。深く,甘いキスだった。そのまま准に身を任せ,私達は結ばれた。准は大事なモノの様に,私を触った。大きな手とガッチリした体がいつもより一層,大きく見えた。 何度もキスを交わし,何度も快感に打たれながら私達は恋に落ちる事を誓った。


そう…不倫をする事を。







ただの友達が不倫相手になった。それは関係が崩れると今までの様には戻れない事を物語る。准ともっと早く出会っていれば…


私達の歯車は回りだした。どんなに悪い事をしても,私は幸せだった。


准…愛してる

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