シンデレラになれたら、
私、水色が好き。大人っぽいし、シンデレラみたいでしょ?……ピンクなんて、ぶりっ子の好きな色でしょ?
色水をくるくるとかき混ぜながら言う。ピンクはあの子の色。私の色じゃないし、私がピンクを好きなんて言ったらバカにされちゃう。
先生にピンクの折り紙が欲しいって言った時、おばあちゃんが好きそうな派手な真っピンクを渡された。ありがとうって言ったけど、本当は泣きたくて泣きたくて仕方なかった。ランドセル、ピンクが良かったな。
あの子は桃色の折り紙貰ってる。ずるい。あの子の可愛いは正しいし正義だ。それでもやっぱり私だって正しい。
私いちごチョコのドーナツ嫌いだけど、欲しいのはやっぱりそのドーナツだし、私春が好きだけど、ホントの春は虫ばっかりで案外緑が多い。それが嫌。世界が全部ピンクになればいいのに。
テレビに映る芸人は、ピンクのスーツ着てみんなの前に立ってる。本人からしたらキャラクターなのかもしれないけど、そんなに可愛いスーツ着て立ってるのカッコイ。芸人さん、ちょっと好きになった。あ、トイレ掃除のおばさん、手袋ピンクだ。汚いトイレ、可愛くしてくれてるの、かっこいい。あの子、他は黒だけどボールペンだけピンクだ。自分の好き、隠しながらも突き通してるんだね。かっこいい。
私だけ、まだ涙の水色だ。
「藍ちゃんって、名前も水色っぽくて可愛いね」
ありがとう。でも黙れ。
私の体にはピンク色の血が流れてる。唇だって、爪だって、ピンクだもん。存在がピンクだもん。
水色、水色、水色なんて死ね。
世界はピンクになればいい。
ピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンクピンク
そしたら私がピンク好きって言っても、笑われないかな。
シンデレラになったら、好きな色のドレスを着れるかな。水色だけじゃなくて、色んな色。




