文豪パロディシリーズ『K田市障害者監禁事件―――通称「白痴事件」』
文豪インスパイア。オマージュ。リスペクト。
令和☓年☓月☓日。「裸足にスリップ姿の女性が徘徊している」との通報を受けたK田警察は、☓田S子さん(25)(推定)の身柄を保護した。S子は約10年もの間(正確な期間は不明)、男に関係されていたという。心理検査により女性には軽度の知的障害があることがわかった。女性の証言により、K田警察は同日深夜、同市在住の自称演出家、伊沢◯◯容疑者(27)を緊急逮捕。女性に障害がありストックホルム症候群も発症していたことから、坂口安吾の小説『白痴』のようだと物議を醸し、通称「白痴事件」と呼ばれている。
鑑定留置の結果、伊沢容疑者には発達障害の診断が下されたが、「責任能力あり」として既に起訴されている。被害者の証言と一致しないなど当初は立件が難しく、裁判は長期に渡った。
この事件がきっかけとなり、障害者基本人権法が大幅に改正されることにもなり社会的にも大きな影響を与えた事件として耳目を集めたのは記憶に新しい。
「差別じゃないよ。区別だよ。」
(雲古新聞記者筆) © 1946 坂口安吾