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小説家になろう  作者: 藤咲一
私と小説企画
43/51

23 皆さま、はじめまして


 はっきり言って、跳び上がりそうだった。

 参加メンバーに、あの“恋愛日記”を書いていたミズホさんがいるだなんて、これって奇跡だと思う。あれからずっと、こっそりだけど“お気に入りユーザー”でチェックを入れてた。携帯のヤフー検索で[ミズホ 小説]で検索かけた事もあった。

 でも、ミズホさんはあれ以来、全く小説を書いていなかったのだ。けど、今回の企画で、書き専として参加メンバーにいる。

 私が一番読んできた人。その人と一緒の企画に参加できるなんて、なぜだかニヤニヤとしてしまう。なんだろうこの感じ。不思議で、素敵な気分。

 そんな余韻に鼻歌を乗せて、とりあえず私は雑談掲示板へ移動すると、鈴音さんをはじめとして、もう沢山の書き込みがあった。どうやら昨晩からサイトは運用されているみたいだ。日付も、深夜帯から始まっている。



[鈴音:鈴音です。ここでは雑談をどうぞ。せっかくですからね。楽しくワイワイ盛り上げていければと思います。あと、締め切りに関して、ここでも追求しますから、書き専の皆さん。覚悟してください。いいですか、逃がしませんからねっ!]

[黒ヤギ:ども、黒ヤギです。はじめましての方は、はじめまして。お久しぶりの方は、お久しぶりぶり。今回も自分らしい短編が書ければと思っとります。どうかよろしくお願いします。

 >鈴音さん、鬼担当の二つ名に偽りなし。怒られないよう〆切は厳守致します故、怒らないでねぇ]

[ザンジバル:皆さま初めまして。今回初めて企画に参加するザンジバルと申します。未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします。]

[青244:はじめまして、読み専参加の青244です。涙もろいので、今から水分補給に抜かりなしです。書き専の皆さま、あまり私を泣かさないでくださいね。泣くと化粧が落ちてしまいます]

[安藤一樹:初めまして、よろしくお願いします]

[大江山のぶ子:やっははーい。と奇声を上げて見たんだけど、変な目で見ないで……。ボク、のぶ子です。読み専です。だ・か・ら、〆切怖くないもーん。書き専の皆さま、執筆頑張ってくださいね。でないと怖ーい鬼に、取って食われますよぉ(マジで!)]

[鈴音:鈴音です。こんばんは。こんなに早い書き込みがあると嬉しいですね。掲示板がもう泣きそうですよ。

 >黒ヤギさん。こちらこそご無沙汰してます。言っときますけど、いくら鬼でも守れば怒りません。

 >ザンジバルさん。初めまして。未熟者だなんて、私も全くその通り。気にしちゃいけませんよ。

 >青244さん。初めまして。ティッシュをたくさんご用意ください。私は買いました。

 >安藤一樹さん。こちらこそ初めまして。そして、よろしくお願いしますね。

 >のぶ子。来たな、のぶ子。書き専から逃げて、読み専だと! って、ありがとうね参加してくれて。だ・か・ら、あなただけは食べてあげる。じわじわと、食してあげるわ]

[のぶ子:ぎゃー! 食べられるなんて聞いてないよ。これは契約不履行だよ]

[鈴音:契約? さてどうだったかなぁ]

[のぶ子:全のぶ子が泣いた]

[鈴音:それで一本書きなさいって]

[のぶ子:誰か助けて。鈴音ちゃんが私をいじめるの]

[中村ミヤコ:皆さま今晩は。初めまして。中村です。よろしくお願いします。

 >鈴音さん

 >のぶ子さん

 はいはい、よしよし。いい子だね。だから泣いちゃいけないよ。ってか二人とも飛ばし過ぎ。まだ挨拶も埋まってないでしょ。書きこめなくなるといけないから、チャット準備したから、そっちで語り合いましょう]

[鈴音:すいません。本当の鬼いさん]

[のぶ子:さすが姉さん。背中のオーガが、す・て・き。うふ]

[中村:死にたいのはどっちだ? ああっ!? さっさと、http://www.chat-monkey×××まで来い! 相手をしてやる!]

[のぶ子:わーい]

[鈴音:お手柔らかに……]

[鈴音:と言う事で、チャットルームができました。こちらもどしどしご利用ください。大江山さんの犠牲により、利用料は必要ありませんからね]

[黒ヤギ:のぶ子は犠牲になったのだ]

[いみそーれ:ああ、何と言うか、乗り遅れてしまいました。皆さまおはようございます。初めまして――]



 な、なんだこのテンションの高さはっ! って、思わず笑ってしまった。会話文しかないのに、どこか相手の顔が浮かんでしまう。不思議だ。キャラ立ちってこういう事なのかな?

 それにしても、この企画では仲の良い参加者さん同士もいるみたい。そりゃあそうだよね。私が“なろう”で活動し出して、川村美絵子さんを知っているように、他の企画や“秘密基地”で出会っている人たちもいるのだ。

 これがオンラインの醍醐味なのかもしれない。顔は見た事もないけれど、同じフィールドに立って、色々と話をしている。リアルタイムで紡がれる言葉。

 それが凄く楽しそう。

 私も、こんな空間で一緒に……。

 って思いながらも、やっぱりいきなりテンションを追いかけると浮いちゃうかもしれないし。ゆっくり、ゆっくり……。

 自分を抑え、私はひとまず全てを覗く。その中にまだミズホさんや川村さんの名前はなかった。だから、以下スクロールで平和な挨拶文が並んでいたので、それにならって無難な挨拶を書き込み、投稿して、企画サイトを閉じる。そして“なろう”の執筆フォームを展開した。

 ぱっと画面に広がる私の書いた題名もない文字列たち。最後に示された文字数が、私にその目標を告げる。

 さあて、やりますか。(空白・改行除く)5428文字のダイエット。


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