路線を見直そうよ
ついに1984年、重賞競走は原則としてすべて全国発売となりました。それまでは八大競走や中山大障害や宝塚記念などごく一部の格の高い重賞レースのみが全国発売だったのです。
1983年に場外購入の締め切りが開催競馬場の10分前に短縮されるまで、開催競馬場以外の投票締め切り時刻は発走の1時間以上前である事が多く、パドックや本馬場入場を参考とした馬券購入はできませんでした。これにより、じっくりと思考してからの取捨選択ができるようになり買い目の幅がひろがりました。まぁその分お金も飛ぶんですけどね。(笑)
1984年10月6日に東京競馬場にそれまで工事中だった大型ターフビジョンが設置され、迫力あるレースシーンが大きく見えるようになりました。それまでは小さなテレビモニター画面しかないことが多く、レースを見るには本馬場わきにあるメインスタンドからみるか、小さな画面に群がってみるかしかありませんでした。かなり人が込み合うG1などでは近づくことすら困難なほどだったのです。
同年10月28日から天皇賞秋が3200mから2000mに距離変更されました。春は長距離、秋は中距離と住み分けがされたことになります。この当時はまだ日本競馬界では長距離馬の評価は高くなく、根幹距離と言われていたレースの勝馬の評価が高かった時代です。今のように距離別での勝鞍で評価されるようになるのはまだ先の話。
この頃は、2000m勝ちがある方が種牡馬としての評価は上でした。
距離短縮初回の1984年は前年の三冠馬ミスターシービーが菊花賞以来の勝利を飾った年でもあります。1986年秋までは古馬のみ出走可能で3歳馬も出走できるようになるのは1987年から。
さらに同年、皇帝シンボリルドルフ無敗三冠を達成!!
クラシックを史上初の無敗で制覇。獲得したG1タイトル7つ。2020年にアーモンドアイに抜かれるまで長きにわたり最多を記録していました。(競走成績は前述の 幕間 名馬さん!! (1)を参照してください)
1984年前後の年は、距離別路線の認識が高まり始めていた時期でもあります。その一環として行われたのが短距離路線の新設。11月18日第1回 マイルチャンピオンシップが新設・施行されました。この距離別路線の拡充によりそれまで日の目を見てこなかった短距離馬たちにも注目が集まるようになり、ファンの獲得にも繋がっていきます。
参考までにですが、同年の1984年11月10日アメリカにて第1回 ブリーダーズカップが開催されました。
これはアメリカの競馬の祭典という位置づけ。第1回は1日に7つのG1競走が開催され、メイン競走はダート2000mのクラシック。実は競馬人気が低迷を始めていたアメリカ競馬が、再興のために創設したのです。
このブリーダーズカップはアメリカ国内で繋養されている種牡馬の所有者が資金(種付け料1回分)を負担し、資金を出した種牡馬の産駒にのみ出走権が認められるという仕組み。登録外種牡馬の産駒の出走には多額の追加登録料がかかるというのが特徴で、気軽に出走登録しそのまま出られるというような簡単な話ではありませんでした。(以降は時代に合わせて改定がありますが)
同年、1984年にJRA30周年記念事業の一環として顕彰馬制度が設立しました。いわゆるわかりやすく言うと殿堂入りの事。当初選出されたのはクモハタ、セントライト、クリフジ、トキツカゼ、トサミドリ、トキノミノル、ハクチカラ、シンザン、ハイセイコー、トウショウボーイだったと記憶しています。
1985年11月、関西トレセンに新施設が出来上がります。当時の関西の競馬場は平坦なコースが多く、関西馬が東京や中山に遠征すると慣れない急坂に苦しむ馬が多かった。関西馬の低迷を打開すべく、対策として坂路コースが設けられました。
開設当初はその機能を活かすことの経験がなく、調教ノウハウが確立されると立場は逆転し、西高東低といわれるほどに関東馬を圧倒していきます。関東馬が直前輸送で出走しても歯が立たない状態が続きます。すると考えることは一つですよね? そう関東にもこの坂路コースを作るという思考が出てきます。
しかしそんなに簡単には施設の新設は叶わず、1993年に美浦に坂路コースが完成するまでは、レースの数週間前から栗東に滞在し調教をおこなう関東の厩舎が現れ(いわゆる栗東留学)その効果はもうかなりのものでした。
翌1986年、桜花賞、オークス、エリザベス女王杯(当時は3歳牝馬限定、京都芝2400mです)の三冠とそれぞれのトライアルレースを制しメジロラモーヌが初の牝馬三冠 (完全制覇)という偉業を達成しました。
1987年ついに日本中央競馬会の略称がNCKからJRAへ「Nippon Chuo Keiba-kai」から「Japan Racing Association」に変更され、今現在まで続いています。
参考資料
図書
日本競馬史 著者 日本中央競馬会総務部調査課 編
雑誌
週間競馬ブック
週間競馬エイト
勝馬
インターネット
Wikipedia 競馬の歴史(日本)




