お出かけと煮物
グツグツとカセットコンロの上で
絵梨花ちゃんお手製の煮物が音を立てる。
「ん!うまい!
料理上手なんだね絵梨花ちゃん」
「ほんと?お口にあってうれしいよ」
そういって絵梨花ちゃんは笑顔をくれた。
それと対照的に舞香さんはぶすくれているような、いないような
「・・・妹よ、どったの」
「別に。美味しいなと思ってさ」
え、おいしかったら怒るの?なぜ!
お兄ちゃん頭悪いからわかんない!
「ふふ。仲良いんだね。
アイドルのかわいい笑顔しか
見たことなかったからなんか新鮮だなぁ」
「仲良くなんかないですよ。
こんなデリカシーのかけらもない奴」
「えー?けどさっき俊くんから
聞いたけど週に3回くらい来てるんでしょ?
仲良いじゃない」
「べ、別にそれは、
様子を見てきてくれって
たのまれてるからで!
そ、そういう絵里さんだって
そんな顔出来たんですね。
あんなクールビューティー系な女優さん
なのに、さっきからニコニコと」
「オンとオフはちゃんと切り替えないとね」
「ふーん、どうだか。久しぶりに
幼馴染と再会して印象良くしたいだけなん
じゃないですかぁ?
かわいいって思われたいだけでしょ」
「そんなことないよ。
俊くんに久々にあって嬉しかっただけで
か、かわいいとか思われた、く、・・・」
なんだこの空間は、仲がいいのか悪いのか
これが芸能界を生き抜く若きエース達の
会話なのか。一般人である俺はついていけん
「ま、まぁ、それくらいにしてさ。
あ、絵梨花ちゃんお出かけいつにする?」
「えーとね、今週の水曜日とかは大丈夫?」
「あぁ、空いてるよ」
「なら、そこにしよ!楽しみだな」
「は?お出かけ?聞いてないんですけど」
のほほんとする絵梨花ちゃんと
これまた対照的な舞香さん。
「いや、なんで言わなあかんねん」
ついつい関西人でもないのに
関西弁がとびでてしまう。
「そ、それは・・・
水曜日は私も出かけたかったの!
俊介に荷物持ち頼もうかなって!
だから・・・その・・・」
なんだ?いつもの舞香と違う。
何か悩んでるのか?もしかして、絵梨花ちゃんと俺で遊ぶのに仲間はずれにされた感じが
嫌だったとか・・・なるほど。それなら
「わかった。絵梨花ちゃん
今度の買い物、舞香もいっしょに来ても
いい?たぶんこいつ、
絵梨花ちゃんともっと
仲良くなりたいんだと思う。」
「「え、えぇ!?」」
・・・そんな驚く?
「な、なんでよ俊くん!
せっかくのお出かけなのに・・・
ちょっと!妹なんていつでも遊べる
でしょ?今回は譲ってよ!」
「譲るって何よ!
ちょっと、そんなの聞いてない!
俊介は私の荷物持ちしないとだめなの!」
いきなり互いを睨みつけ、
喧嘩を始める二人。
二人とも美人なだけあってすごい迫力だ。
ど、どうする。どうすればおさまるんだ・・・
「な、なら今回のお出かけは無しだな。
絵梨花ちゃんとは
また別のあいた日に遊べばいいし、
舞香のは・・・また別の日に付き合うよ」
「「え・・・」」
・・・めちゃくちゃショックそうな顔してる
そんなにお出かけいきたかったのか?
そして二人とも何秒か固まると
「そ、それなら私は
舞香ちゃんがいても大丈夫だよ!
水曜日楽しみだな!」
「わ、私も
絵里さんがいても大丈夫!
そのかわりちゃんと持ってよね!」
なんか二人とも笑顔がピクピクしているが
納得してくれた(?)みたいだな
「そっか。なら水曜日は三人でいこうね。
けど!ちゃんとばれないようにな!」
「そんなことわかってるわよ!
だいたい兄貴と一緒に歩いても
こんな綺麗な絵里さんが彼女と思われる
わけないでしょ!
わ、私なら少しはありえるかもだけど」
「そんなことないよ。
俊くん、雰囲気大人っぽいし
可愛らしい舞香ちゃんはそれこそ
お兄ちゃんと妹にみえて変装とかも
いらないんじゃない?
わ、私はカップルって思われるかもだし
変装も必要だろうけど」
「は?」
「ん?」
「おい・・・」
ギャーギャーとまたもや
言い争う芸能人二人。
困り果てた俊介は助けを求めるが如く
煮物を口に運ぶ。
一度はおさまった嵐がまた起こり
部屋の雰囲気はまたも最悪になったが
相変わらず煮物は最高の味だった。
もし続きが読みたい!面白い!と
感じてくださった方!創作意欲につながりますので
お手数ですが
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