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友情と来訪






「・・・ていうか何でセンパイがいるの?」


舞香が来て、絵梨花ちゃんにそう言う。

絵梨花ちゃんのラインがはっきりとわかるくらいきっちりした競泳水着とは対照的に、舞香は白色のビキニで腰に薄ピンク色のパレオを巻いており、ふわふわした印象のかわいい水着を着ている。


まるでリゾートに来たみたいだな。

まぁ、言わずもがなどちらも甲乙付け難いほど可愛いし似合っている。


「私も普段ここで泳いでいるだよ。あんまりこの時間は人がいないからさ、結構泳ぎに来るんだ。

 そうだ!舞香ちゃんも一緒にどう?」


「・・・?

 いやいや、この格好みなさいよ。

 ダメに決まってるでしょ?」


「まぁまぁ、いいからさ!」


そう言って絵梨花ちゃんは、舞香の腕に手を回す。


「いや、私はお兄ちゃんと・・・」


「あ、俺はちょっと縁さんに用事があること忘れてたから、少しの間2人で遊んでてくれ」


「お兄ちゃん!?」


「ほら、じゃあ行くよ〜」


「え? ちょっ・・・」


俺がそう言うと、絵梨花ちゃんは舞香の腕を引いて有無を言わさず、また泳ぎに行った。


絵梨花ちゃんがあんなに泳ぎが好きだとは知らなかった。仲良さそうな2人を見るのはとても嬉しい。


あと俺は別に、縁さんに用事なんてない。

とりあえず空気を呼んで(?)二人にしたはいいが、少しの間どこに行こう・・・


とりあえず、更衣室にお金を取りに行って飲み物でも買ってくるかな。







「はぁ。どうしてこんなことに・・・

 

 てかさーあの態度は何?何で俊介じゃなくて私なの?センパイらしくなくない?」


「・・・」


舞香ちゃんは私にそう言った。


「それにさっきのアレって、嘘よね?

 だって私ここに何度も通ってるけどセンパイが来たところなんか一回も見た事ないし」


「・・・あはは。

 ちょっと見栄はっちゃった。

 気に障ったならごめんね?」


「・・・別に。どうせ雪音お姉ちゃん関係で悩んでたんでしょ。」


「えっ!?」


「分かりやすすぎ。で、何をそんなに悩んでんの?せっかくの二人きりを邪魔したんだからそれくらい聞かせなさいよ」


舞香ちゃんは呆れた感じでそう聞いてくる。


「・・・何で舞香ちゃんはそんなに元気でいられるの?雪音ちゃんは俊くんの好きな人だったんだよ?

しかも、雪音ちゃんは今俊くんの事が好きだし・・・

けど、雪音ちゃんは大好きな友達だし・・・

そんなこと考えてたら俊くんと顔を合わせづらく感じたというか・・・」


自分で言っていて虚しくなった。

前を向くって決めたり、すぐ落ち込んだり。

私の決意って・・・そうやって俯いてたら、

舞香ちゃんは はぁ とため息をはいて話をはじめた


「・・・とりま、私と張り合ってたつもりが突然強大すぎるライバルが出てきて萎縮したって事?」


「・・・うん」


「ふーん。それならこっちとしては都合がいいわね。その程度で動揺するんならいっその事こと諦めちゃえば? (まぁ、私も少しは落ち込んだけど) 」


「うぅ・・・」


「けど、それならなんで私を俊介から遠ざけたの?悩んでるんならそのままにしておけばよかったじゃない。わざわざ邪魔をしたってことはまだ諦めたくないんでしょ。」


「・・・それは」


「さっきも言ったけど、全然らしくないわ。


 ・・・これでもセンパイの事ライバルって思ってたんだから頑張りなさいよ。こんな無様なアンタに勝っても何も嬉しくない」



「・・・・・・舞゛香゛ち゛ゃ゛ん゛」


「うわ・・・なんで泣いてんの・・・」


私は舞香ちゃんの言葉につい泣いてしまった。

いつもツンツンしてて嫌われてると思ってたけど、

本当にこの子は優しい子だ。


それに、雪音ちゃんが現れて舞香ちゃんだって辛い状況にいるのは同じだ。ライバルの彼女も頑張っているのに、私が諦めるなんて出来るわけがなかった。


「まぁ正直、雪音お姉ちゃんもセンパイも怖くないわ。私は昨日一緒にお風呂に入ったからね!」


「・・・え?本当に?」


感動してたのにすごい衝撃発言が耳に超特急で飛び込んできたんだけど。


「えぇ、俊介からね、一緒に入ろうって。

 私たちも裸の付き合いってやつしちゃった♪

 (まぁ、私からだし暗闇でよく見えなかったけど)」


「ず、ずるいよ舞香ちゃん!そんなことしたうえにプールデートしてるの!?」


「そんなことってアンタもしたでしょ!?

 

 ・・・ったく、うるさいしムカつくけどやっぱりセンパイはそっちの方がらしいわよ」


「ふふっ。言いたいことはいっぱいあるけど、とりあえずありがとうだね!

 よしっ!じゃあ俊くんのところ行ってくるね!」


「はぁ!?

 そんなことさせるわけないでしょ!?」


「今日家に泊まっていいか聞いてくる!」


「ダメに決まってんでしょ乳デカぁ!!!」


そんな話をしていると、プールの入り口のドアが開いて俊くんが入ってきた・・・のではなく、

4人の女の子が入ってきた。


それも舞香ちゃんに引けを取らないくらいのかなりの美少女。


「・・・げっ」


舞香ちゃんが本日2回目の嫌そうな反応をしめした。その反応に女の子の一人が気づき


「あっ!舞香がいる!」


「え?舞香?

 あら本当。もう大丈夫なの?」


「お、やっぱここだったわね。

 ・・・てか、なんでビキニ?」


「あれ?もしかして、絵里さん?」


「「「「おはようございます!」」」」


私に気づくと、4人は一斉に挨拶をしてくれた。


「うん。おはようございます」


「な、な、なんでここに?

 今日はダンスレッスンの日じゃ・・・」


私も驚いたが、舞香ちゃんはその何倍も驚いている。だって今、このプールには舞香ちゃんも所属している、たった2年間で名実ともに日本一のアイドルグループとなっ『Amour』のメンバーが全員揃っているのだから ——




次話投稿は7/18(日)です。


もし続きが読みたい!面白い!と

感じてくださった方!創作意欲につながりますので

お手数ですが

評価、お気に入り、感想など宜しくお願いします!

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