表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/9

 四


 芹菜は混乱していた。


 ここは、本当に、どこなのだろうか。


 聞き取れない言語。

 見慣れない景色。

 ガルダ、という単語は聞こえた。


 日本、ではないのか。

 ガルダというのは、この辺りの、町の名前か何かだろうか。


 子どもに連れられてやって来た大人の男性は、長いローブのような布を身にまとっている。

 服装からして、そもそも違う。

 まるで、歴史の教科書に載っている、ギリシャ時代とか、あるいはそれよりも、もっと前の時代の人たちのようだ。


 男性は、芹菜と琉生の前で、地面に跪いた。

 多分、彼は挨拶をした。


 聞き取れなくても、芹菜にも分かった。


 琉生がしゃがんで答えている。


「……はい。デフナさん? ですね。 ぼくはルイ。あの人はセリナ。どうか顔を上げてください」


 デフナという男性はローブの裾から腕を出し、琉生の手を握りしめた。

 日に焼けた顔には皺が刻まれており、瞳の色は灰色だった。


 芹菜と琉生は、デフナに案内されて、夕陽の沈む方へと進む。

 歩きながら、芹菜は琉生に訊いた。


「なんで、君はあの人たちと喋れるの? わたしには、彼らが何を言っているのか、さっぱり分からないんだけど」


 琉生は、不思議そうな顔で答えた。

 なんで分からないの? そんな表情だった。


「言葉に付いて出てくる色で、なんとなく」


 言葉に、色が付いている?

 瞬時には、芹菜は理解出来なかった。


 歩きながら、芹菜は琉生から話を聞いた。

 ここはガルダという国だという。


「聞いたことない国だね。アジアとか中近東の国かな」


 ハッとして、芹菜は上着のポケットを探る。


「あ、あったあった」

 スマホでいつものように、検索してみようとした。


 だが。

 スマホにいったんは電源が入ったが、画面にはエラーメッセージが出て、すぐに暗転した。


 芹菜は意識が戻ってから初めて、背筋に冷たいものを感じた。


 琉生は、伏し目がちに、噛みしめるように言う。


「あのね、よく分からないんだけど、ここって多分、地球じゃない、と思う」


 案内しているデフナが立ち止まる。

 目的地らしい。


 大きな木を背に、十数人の人たちが、地面に座っていた。

 皆、長いローブを着ている。

 芹菜たちを認めると、一斉に立ち上がった。


 真ん中にいる、薄い緑色のローブを身に付けた、小柄な女性が喋る。

 老女である。


 老婆の声を聞き取った琉生が、合唱の練習の時のような、音階をつけて声を出す。


 あ、あ、あ、あ、あ――


 老婆の指は、空中であやとりをするかのような動きをする。

 そして頷いて、座った。


「ようこそおいでくださいました。我が国を救う、旅のお方」


 今度は、芹菜にもはっきり聞き取れた。

 聞き取れたのはいいが、意味は分からなかった。


 国を救う?


 促されて二人も腰を下ろす。

 老婆は懐から、包みを取り出した。

 包みから、うっすらと細い光が漏れていた。


 老女はイナノと名乗る。


「この中には、神聖な札が七枚入っております。お二人に受け取っていただきたい。

この国を救うために」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ