8話 私の気持ち
あの後、今日の出来事を丁寧に話してなんとか誤解が解けた。そして、エルザにステラが着れる服をいくつか見繕ってもらい食事を済ませた後、ようやく部屋についた。
「本当に私がここまでしてもらっていいのでしょうか...。」
「いいんだよ。それにみんな優しかっただろ?」
「はい。こんな優しくしていただいたこともあんなに美味しいご飯を食べたのも初めてでした。」
先程まで強張っていた表情が緩み微笑むステラ。
「それは良かった。」
とはいえ、今までどんな生活を送っていたんだ。それまでに疎ましく思われる忌み子ってなんだ。
そんなことを思っていると扉の前でソワソワしているステラが目に入った。
「あ、悪い。くつろいでくれて構わないよ。できればもう一部屋借りられればよかったんだが満室だとな。」
「い、いえ!屋根があるだけで満足です!」
「ベットはステラが使ってくれればいいから。」
「いけません!ここはトオル様のお部屋ですし、私なんて床で十分です!」
顔をブンブンと横に振り慌てるステラ。
「女の子を床で寝かせられるわけないだろ。」
「しかし....。」
「だったら、一緒に寝るか?なーんて...。」
「それでしたらまあ。」
「え?」
結局冗談のつもりで言った通り二人で狭いベットに寝ることになった。そうじゃないとどうしてもステラはベットで寝ようとしてくれないからだ。決してやましい気持ちはない。....。
寝れん。
精神年齢30歳とはいえ隣で若くて可愛い女性が寝てるんだ。ドキドキしないはずがない。
そしてそっと隣のステラの顔を覗き込む。ステラはなんの警戒もなくぐっすりと眠っている。
「そうだよな。ここにくるまで大変なことが立て続けにあってまともに寝れなかったもんな。」
起こしたら悪いと思ってそっとベットから立ち上がるとトオルは窓を開けて、星を眺める。
「やっぱりこっちの星空はほんと綺麗だ。そういえば。」
星を見ながらふと何かを思い出したのかステータス画面を徐に開いた。
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○ホシミヤ トオル Lv3/10
種族 ヒューマン
性別 男 年齢15歳
職業『占星術師』
・ユニークスキル
<黄道十二宮>
・獅子宮: 黒獣王刃
<惑星魔法>
・火星マーズ:〈フレア・バースト〉
<星読み>
・スキル
<武術S><鑑定S><索敵A><翻訳>
<算術B>
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やっぱり、ユニークスキルの欄が解放されている。〈黄道十二宮〉に〈惑星魔法〉か。前者は星座を力に変えるものなんだろう。後者は、惑星が魔法になって使えるのか?とはいえ、今は憶測に過ぎない。これから色々試してみるしかないな。
それに獅子宮レオが言っていた、『力をつけよ。さすれば必然と理解するはずだ。』か。でも、俺はこっちに戦いにきたわけじゃないし急ぐ必要もないか。
あ、レベルが3に上がってる。レベル5のオークキングを倒したからか?今まで自分より高いレベルもモンスターを倒すとレベルが上がっている。なら案外早く上がるのかもな。
そんなことを思いながら再び綺麗な星空を眺めるトオルだった。
ー翌日ー
トオルはステラを連れてギルドに訪れていた。
「トオルさん!昨日帰ってこなかったから心配してたんですよ?何かあったんですか?」
「すいません。昨日帰ってくるのが遅かったので。」
「そうだったんですか。それでそちらは?」
後ろに控えるステラを見て疑問に思うリーシャ。
「こっちはステラ。実は昨日...。」
トオルは昨日あった出来事を全て話した。オーガキングのことやそこでステラと出会ったこと。
「それで、そのオーガキングをトオルさんが?」
「あ、はい。」
その後、詳しい話を聞かせて欲しいと言われ、ステラと一緒に応接室に通された。少しするとリーシャはギルドマスターのガウマンを連れてきた。
「それでトオル。もう一度詳しい話を聞かせてくれ。」
そしてもう一度同じを話をしたところガウマンは深妙な顔つきになった。
「おかしい。」
「なにがだ?」
「おかしいんだよ。前回お前が倒したゴブリンキングもオーガキングも頻繁に出現するモンスターじゃねえ。それもこの街の近くで。近直調査隊を出すしかないな。おい、リーシャ。」
「はい。」
リーシャは応接室から退出しガウマンの言われる通り調査隊の準備を始めに行った。
「結果次第でお前に動いてもらうかもしれない。お前も準備しておいてくれ。」
「わかったよ。」
すると、ガウマンは隣で座っているステラに目線を向けた。
「それで?そっちの猫人族の嬢ちゃんが助けたっていう子か?」
「ああ。それでなんだがステラも冒険者登録したいんだがいいか?」
「いいぜ。書類を置いていくから書いたら受付に持っていってくれ。俺はこの後用があるから失礼するよ。オークキングの死骸を売るなら一緒に受付のリーシャに頼め。じゃあな。」
そういうとガウマンも応接室から立ち去っていった。
「あの、トオル様。私も冒険者になれるのですか?」
「大丈夫じゃないか?あいつも何も言ってなかったし。ステラ次第にはなるが。」
「私、冒険者になってトオル様のお手伝いがしたいです!」
その言葉に少し頬を赤らめるトオル。それを見たステラは少し首を傾げる。
「それじゃあ、この書類に情報を書こっか。」
すると、少しモジモジと恥ずかしそうにするステラ。
「どうした?」
「実は、読み書きができなくて。」
ステラのその可愛い仕草にほっかりとするトオルだった。
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