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6話 黒猫の少女

ギルドを出た後トオルは薬草が取れる西の森の浅瀬で薬草採取をしていた。


「いやあ、鑑定スキルってほんと便利だな。見ただけで何かわかっちゃうんだし。ぱっと見同じ草にしか見えない。」


 拾った薬草とそこらで拾った葉っぱを見比べても全く違いがわからない。あえていうなら薬草の方が若干色が薄い。


「これなら案外すぐ終わるかもな。余分に取った分は追加報酬貰えるらしいし多めに取っておくか。」


 そんなこんなで始めた薬草採取は思ったより楽しかったのか気がつくと森の奥まで進んでいた。


「結構集まったな。そろそろ帰ろうかな...ん?」


 摘んだ薬草をマジックポーチにしまいそろそろ帰ろうとしたところさらに森の奥からこちらに向かってくる足音がいくつも聞こえてきた。


 索敵スキルを使うといくつもの赤点がこちらに向かってきた。やばいと思ったトオルは腰に携えていた剣を抜き構えるがモンスターたちは目の前のトオルを無視して慌てて去っていった。


「いったいなんなんだ?まるで何かから逃げているような」


 するとさらに索敵に何か引っかかった。よく見ると大きな赤点と小さな青点が見えた。モンスターが誰かを追いかけているみたいだ。


「やばい!追いつかれる!」


 そう思ったトオルは勢いよく駆け出し反応のあった場所向かった。


 到着すると3m近くある巨大なオークが目に映った。


(なんだあのデカいの!)


ー鑑定ー

オークキングLv5 (狂化状態)



 オークの目は赤く光自我を無くして辺りかまわず暴れていた。そして、そのオークキングから逃げる一人の少女がいた。


「助けて!誰か助けて!!」


 その時ある光景が浮かんだ。そう今朝見て夢だった。


(あの黒髪の耳のついた女の子。それを追いかける大きなモンスター。夢のままだ。)


 信じがたい出来事に硬直しているとオークキングがとうとう少女に追いつき持っている大剣を振りかぶった。


「きゃあああ!」


 その悲鳴に我に帰ったトオルは茂みから飛び出し少女のオークキングの前に現れた。


「頭を下げろ!」


 その言葉と同時に少女が身をかがめたのを確認し持っていたナイフをオークキングの目を目掛けて放った。

 放ったナイフはオークキングの右目に突き刺さり振り上げていた大剣を落とし、苦痛のあまりその場で暴れ出した。


「今のうちに逃げるぞ!」


 その隙にトオルは座り込む少女の手を引っ張って森の外へと走り出した。


「あ、ありがとうございます。」


「お礼はまだ早い。」


 そう。後方から大きな足音が近づいてくる。それも尋常じゃない速さで。


 オークキングだ。逃げる二人の姿を確認したオークキングは地面に転がっている大剣を拾い追いかけてきたのだ。


(やばい。このままだと追いつかれる。)


 すると、トオルは足を止めて向かってくるオークキングに剣を構えた。


「先に逃げろ!俺が時間稼ぎをする!」


「で、でも...。」


「いいからいけ!!」


 トオルの剣幕に押され黒髪の少女は背を向けて勢いよく走り出した。


(くそ!冒険初日から運が悪い!)


 オークキングはトオル目掛けて猪突猛進。止まることを知らないその大豚は持っている大剣をトオル目掛けて勢いよく振り下ろした。


(これ食らったら死ぬ!)


 咄嗟にトオルは後方へ飛んだが勢いよく叩きつけられた剣の衝撃で地面の破片もろとも吹き飛ばされた。

 トオルは後方へ吹き飛ばされたがなんとか体勢を立て直し再び剣を構えた。


「このままじゃジリ貧だ。懐に入って足を崩さないと。」


 すると、オークキング目掛けて勢いよく走り出した。やってくるトオルに反撃しようと横から剣を振り回すがギリギリでよけ、懐に入り足元を切りつけた。


「くっそ!硬すぎだろ!」


 しかし、硬いの皮膚で覆われているオークキングの足にトオルの刃は通らなかった。

 一度距離を取るために離れたがそうはさせまいとオークキングは再び上段からの一撃を繰り出した。


「そう何度も喰らうか!」


 攻撃が来ることが分かっていればあらかじめ安全な間合いへ飛ぶことができた。

 だが、オークキングは予想していたのだろう。避けるために地面から足を離したトオルに不気味な笑みを浮かべていた。そして追撃の一太刀がトオル目掛けて放たれた。


(くっそ、この豚!)


 空中で避けることができないトオルは持っている剣で防ぐしか手段はなかった。それでも放たれた一撃はあまりに強力で後方へと勢いよく吹き飛ばされた。


「ぐはぁ!」


 いくつもの木々を薙ぎ倒しながら吹き飛ばされたトオルは血を吐きながら地面に倒れ込んだ。


(身体強化してなかったら死んでたぞ。だが、身体中がボロボロで動けねえ。)


 満身創痍で握っている剣を見るが攻撃を防いだ衝撃でバラバラに砕け散っていた。

 そして大きな足音がゆっくりとこちらに近づいてくる。


(せっかく転生したのにこんなところで終わりか。まだ満足するまで星空見れてなかったのに。すいません、女神様。せっかく機会をくれたのに。)


 死を確信したトオルから力が徐々に抜けていき、オークキングはトドメの一撃に両手で大剣を振りかぶったその時。


「やめて!!」


 逃げたはずの黒髪の少女がすぐそこまで戻ってきてしまった。


(なんで?逃げろって言ったのに...。)


 叫ぶ少女にヘイトが向かってしまった。少女にへ歩を進めるオークキングは後方から何かを投げられ振り返るとボロボロのはずの少年が立っていた。


「どこ行くんだ。豚野郎。俺はまだ死んでないぜ。」


「もういいよ....死んじゃうよ!」


 少女の声を無視して挑発を受けたオークキングは雄叫びを上げながらトドメの一撃を繰り出した。


「だめぇぇぇぇぇえええええ!」


 その瞬間トオルの右手の甲が強く光出した。


“力が欲しいか主人よ“


(誰だ。)


 真っ暗な空間声だけが聞こえる。


”力が欲しいか“


(ああ、欲しい。あの豚を倒せるだけの力が!)


”では私を使って見せろ“


「我求めるは刃。汝その強靭な爪で悉くを切り裂け。『獅子宮 黒獣王刃(レグルス・アーテル)


 現実に戻ったトオルがそう称えると漆黒の美しい長剣が現れた。


 そして、黒い長剣を携えたトオルはオークキング目掛けて斬りかかった。そのスピードはさっきまで怪我をしていたとは思えない速さでオークキングも反応できず、気づいたら大剣を持っていたはずの右手が綺麗に切り落とされていた。


 その光景を見ていた少女もトオルのその姿に呆然と立ち尽くすしかなかった。


惑星魔法(プラネット・アーツ)』ー『フレア・バースト』


 黒い長剣から燃え盛る炎が負傷しているオークキング目掛けて放たれた。

 攻撃が直撃したオークキングは黒炭になりその場に倒れ込んだ。


「おわ、った....。」


 倒すことに成功したトオルはその安堵で息を引き取るように地面へと倒れ込んだ。

お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます!


いかがでしたでしょうか?


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読者の方が満足できるお話を書けるように頑張ります。

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