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5話 冒険の始まり

星海の宿につき夕食を食べた後、部屋に案内されたトオルは一日の疲れでベットに倒れ込んでしまった。


「転生初日、いろんなことがありすぎて疲れた。」


 本当に転生してしまったんだな。


 見慣れない天井を見ながら改めて自分が異世界に来たことを実感する。そして、窓の外を見ると日が落ち位空に月明かりを発見した。

 トオルはベットから体を起こすと窓を開け、夜空を眺める。


「星だ。」


 体から何か込み上げてくる。この気持ちは知っている。実家で稽古終わりに見上げた空。あれほどまでに綺麗な星空を見たのは初めてだ。


「地球で見る星空の何倍も綺麗で透き通っている。この空をもう一度見させてもらったことに女神様に感謝しないとな。」


 時間を忘れて綺麗な星空を眺めているとふと気がついた。興奮のあまり窓から体を乗り出し、夜空に目線を向けた。


「あれってオリオン座か?いや、間違いない何十年と見てきた星空を間違えるわけない。でも、こんな暖かい季節に見える星座じゃないはず….。というか、なんでオリオン座が?もしかしてここは太陽系なのか?」


 どういうことだ。俺は異世界にきたはず。でも、どこのとは言われていないし。


 興奮を抑えられないトオルは頭をフル回転させるが理解が追いつかない。疲れも相まって、気がつくとベットに倒れ込み眠ってしまっていた。





 なんだこれ?頭の中に映像が流れてくる。


 黒い髪に猫の耳がついた少女が大きな怪物に襲われている。見窄らしい服装で裸足で必死にその怪物から逃げている。


「…て。….助けて。….誰か助けて!」





「うわぁ!」


 勢いよく体を起こしたトオルは汗がダラダラと垂れており、軽い息切れを起こしていた。


「い、今のは。ゆ、夢?」


 鮮明に映し出された夢に困惑した様子を見せるトオル。すると、扉の奥からノックする音が聞こえる。


「おにーちゃん!朝ご飯できたよー。下に降りてきてー。」


 エイミーだ。


 トオルは夢のことを考えながら素早く支度を済ませると朝食が待つ一階へと降りていった。そこには数人の冒険者とエルザ、エイミーの姿が見えた。


「トオルさん、おはようございます。昨日はよく眠れました?」


「ああ、美味しいご飯にふかふかのベットで休ませてもらったからね。でも、今朝変な夢を….。」


 あれは本当になんだったんだろう。


「夢ですか?」


「あ、いやなんでもないよ。」


 深刻そうな表情を見せると心配そうにこちらを伺ってくるエルザ。すると、エイミーと奥さんが朝食を運んでくれた。


「それで、今日はどうするんだい?」


「ギルドにギルドカードを取りに行こうかと。その前に武器屋とか雑貨屋ってここら辺にありますか?」


「それならエルザを貸してあげるよ。エルザ、午前中は休んでいいから街の案内をしておやり。」


「いや、いいですよ!場所だけ教えていただけレベ自分で行くので!」


「私とじゃいやですか?」


 エルザは少し残念そうな表情を浮かべてこちらを除いてくる。その表情に押し負けてしまった。


「じゃ、じゃあお願いします。」


「じゃあ着替えてきますね!」


 トオルの言葉に嬉しそうに飛び跳ね奥の部屋へと向かった。


「私もお兄ちゃんとお出かけしたい!」


「エイミーはお父さんのお手伝いだよ。」


「えーーーー!」


 駄々をこねるエイミーを引っ張って二人も厨房の奥へと帰っていった。


 朝から賑やかな家族だな。そんなことを思いながら朝食を済ませてから自室へと戻っていった。


「出かける前にステータスでも確認しておくか。」


『ステータスオープン』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

○ホシミヤ トオル Lv2/10

種族 ヒューマン

性別 男  年齢15歳

職業『占星術師』

 ・ユニークスキル

  <?????><?????><星読み>

 ・スキル

  <武術S><鑑定S><索敵A><翻訳>

  <算術B>

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ステータス画面を見る見慣れないスキルが一つ目についた。


「なんだ、この<星読み>って。こんなスキルあったか?」


 詳細画面を開くと詳細ウィンドーが現れた。『<星読み>:いずれ起こる出来事の断片的な予知。』


(未来の予知?じゃあ今後今朝見た夢みたいなことが起こるってことか?)


 そんなことを考えていると扉の向こうからノックする音が聞こえた。


「トオルさん。準備できましたか?下で待ってますね。」


 あ、そうだった。「今行くよ。」


 部屋を出て階段を降りていくとそこにはおしゃれをしたエルザの姿が見えた。


「待たせてごめんな。仕事着もいいが私服のエルザも可愛いな。」


「え!?そんなことないですよ!それより早速出かけましょ!」


 トオルの言葉に顔を真っ赤にし勢いよく首を横に振るエルザはそのまま外へとかけていった。


「ここが武器屋ですね。冒険者の方々よく通っているのでここで一式を揃えるのがお勧めです。」


 宿屋を出た二人がまず向かったのは武器屋だ。冒険に出るのに普段着のままでは心許ないからな。


「よおエルザ。デートか?」


「ち、違います!うちのお客さんです!ダカールの街を案内していたんです。」


 店に入ると屈強な丸坊主の男がカウンターに座っている。知り合いなんだろうエルザを揶揄った後にトオルへと目線を向ける。


「俺はここの店主のダインだ。兄ちゃん冒険者か?どっからきたんだ?」


「昨日冒険者登録したばかりです。東から来ました。」


「へえ東って言うとリーシェンか?そんな遠くからよく来たな。それで、今日は装備を見に来たのか?」


「はい。武器はあるので防具の方を。」


「使っている武器と予算はどのくらいだ?」


「武器は片手剣です。予算は金貨1枚と銀貨5枚程度で。」


 すると、わかったと言って奥の部屋に入ったと思ったらいくつかの品を見繕って持ってきてくれた。


「そのくらいの予算だとここら辺だな。」


 そうして出されたのはライトアーマーや革でできた鎧、それに革のコートが幾つか出されていた。


「動きにくいのは嫌なんでこの革のコートをお願いします。」


「あいよ。ちょっと待ってな軽く仕立て直してやるよ。これは俺からのサービスだ。」


 そして店内を少し見渡して、追加でナイフ一本と胸当てを一緒に買って武器屋を後にした。その後、雑貨屋に寄りポーションなどの役に立ちそうなものを買った後二人で露天を見て回っていた。


「綺麗…。」


 エルザの目に止まったのはアクセサリーの露天だった。目線の先には綺麗な彫刻が施された髪飾りがあった?


「それが欲しいのか?」


「い、いえ!見ていただけです!」


「よかったら今日付き合ってもらったお礼にプレゼントさせてくれないか?」


「そ、そんな!悪いですよ!」


「気にするなって。それにこの髪飾りをつけたエルザを見てみたい。」


 その言葉にまた顔を真っ赤に染め上げるエルザをよそに店主から髪飾りを買った。


「今つけてやるからな。」


 そのままエルザの髪に今買った髪飾りをつけると嬉しそうな表情をエルザが見せた。それを見てトオルもにこりと笑ってみせた。


「ありがとうございます!大切にしますね!」


「そうしてくれるとありがたい。この後俺はギルドに行くけどエルザは一人で帰れるか?」


「はい!ご心配なく。ご夕食用意して待ってますね。」


 そうして二人はギルドに向かう途中の別れ道で別れた。そのままギルドについたトオルは中に入り、受付にいるリーシャの元へと向かった。


「トオルさん。ギルドカード出来てますよ。」


 そういいうとリーシャはカウンターの下からギルドカードを取り出すとトオルに渡した。そこにはFの文字が書いてあった。


「初めはFランクからになります。トオルさんの実力でしたら元お上でもいいんですが他の冒険者の目もありますので。レベルアップとクエストの依頼を達成していけばランクも上がりますので。」


 リーシャが言うにはランクは『F・EがLv1・2』『D〜CがLv3・4』『BがLv5・6』『AがLv 7・8』『SがLv9』と言う感じになるらしい。そのほか達成クエスト数とギルドの貢献数に応じてランクが上がる。クエストは討伐系、採取系、護衛系、お使い系などがあり、それらによって達成数の加算率も変わる。


「それでこれからどうしますか?Lv2のトオルさんなら一つ上のEランクの依頼まで受けられますけど。」


「なら、最初は簡単な採取系受けようかな?」


「それでしたら回復薬に使う薬草採取がありますけどどうします?」


 お、いかにも初クエストって感じだな。


「じゃあそれでお願いします。」


 すると、リーシャが依頼書と分厚い本を取り出してきた。


ー依頼書ー


回復薬に使う薬草の採取。

達成内容:薬草x5

報酬:銅貨5枚


「わかりました。それでしたらどの薬草かお見せ….。」


「いや、俺鑑定スキルあるから大丈夫ですよ。」


「え!?鑑定スキルまで持ってるんですか?トウルさん一体幾つのギフトをもらったんですか?鑑定スキルなて鑑定師か商人しか持ってないんですよ?」


 驚きの表情と声をあげるリーシャだったが説明するのが面倒なので苦笑いをして誤魔化した。


「採取ポイントはここから西へ1時間ほど歩いた森にありますのできおつけていってきてください。」


 ギルドを出たトオルは初めての冒険へと出かけていった。そして、ここから物語が大きく動き出すことも知らずに。

お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます!


いかがでしたでしょうか?


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作者のやる気につながります!

読者の方が満足できるお話を書けるように頑張ります。

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