2話 城塞都市ダカール
「身分証の発行はここをまっすぐ行った先に冒険者ギルドがあるのでそこでするといいでしょう。それとこれは護衛の報酬です。」
「何から何まですいません。」
「トオル様は命の恩人ですので!また何か御用があったらダーダル商会まで起こしください。では私はこれで。」
ダーダルと別れ、言われた通り冒険者ギルドに向かうことにしたトオル。
「それにしても大きな街だなあ。」
服装や石造の家から見て女神が言ってた通り、文明的に中世ごろなんだろう。それにしても、人ばっかりだな。エルフとか獣人とかファンタジー種族を期待していたんだけど。
そんなことを思いながら歩いているととてもいい匂いが前方から流れてきた。その匂いに釣られ、近寄ると串焼きと思われるお店があった。
「そういえばこっちにきてから何も食べてなかったな。おじさんそれ一つください。」
「あいよ!銅貨2枚ね。」
そういえば、こっちのお金の価値ってどのくらいなんだろう。
そんなことを思いながら、銀貨を出すと8枚の銅貨が返ってきた。
「銅貨2枚に銀貨1枚出して、8枚の銅貨が返ってきたから銅貨1枚100円としてこういうことかな?」
銅貨:100
銀貨:1000
金貨:10000
そんなことんなで出店で買った串焼きを食べながらお金のことを考えていると一際大きな建物の前に到着した。
「ここがダーダルさんが言ってた冒険者ギルドっぽいな。」
冒険者ギルドに入るとそこはゲームや漫画で見るようないかにもな感じが広がっていた。正面には受付に冒険者というか荒くれ者たちが昼間から酒を飲んでいた。トオルがギルドに入ると珍しそうに他の冒険者からの視線を集める。
なんだここ。怖すぎなんだが。
そんなことを思いながら受付カウターへ向かうとそこには綺麗な女の人が立っていた。
「冒険者ギルドへようこそ。こちらは初めてですか?」
「はい。冒険者登録をお願いしたいんですけど。」
「では、こちらの書類に必要事項を記載してください。」
あれ?見たことない文字なのに読める。あ、確か翻訳のスキルがあったからそれでかな?
「お願いします。」
「はい。えっと、トオルさんですね。年齢15歳、ヒューマン、職業は….占星術師!?」
え、なに!?
「もしかして占星術師だと冒険者登録できないの?」
「い、いえ。そんなことはないんですけど….」
受付のお姉さんが言葉を続けようとすると後方からバカにしたような大笑いが聞こえてきた。
「おいおい、占星術師が冒険者ってなんの冗談だよ!」
「占星術師っていやあ、ただの詐欺師じゃねえか!」
「お嬢ちゃん悪いこたあ言わねえから田舎に帰って農作業でもしてな??」
後方に振り返ると冒険者と思われる男組3人がこちらにきてトオルをバカにし始めた。しかし、宇土王しかったトオルは無視をして受付嬢に向き直る。
「それで登録はできないんですか?」
「てめーなに無視してくれてんだよ!冒険者がなんたるか教えてやるよ!」
「ちょっと!やめてください!」
受付嬢の静止を無視しして背を向けているトオル目掛けて一人が勢いよく拳を振り上げる。トオルが振り返り拳は当たるところで急に男の視界は180度一変した。そして、そのまま頭から地面に激突した。
「へ?」
何が起こったかわからない男はアホな声を出して地面に座り込む。
「てめー!一体何した!」
そして残りの二人も襲いかかってきたが簡単にあしらわれてしまった。先程の男同様に返り討ちにされ、最終的に地面に転がっていた。
「お前らそんなヒョロっこいのに負けるとか冒険者やめろよ!」
「酔ってんじゃあねえのか?」
「お、覚えてろよ!」
覚えてるわけないだろ。ていうか、もう顔どんなだったか忘れた。
周りから男たちはバカにされ、恥ずかしくなったのかギルドを勢いよく飛び出していった。
「あなた本当に占星術師なの?」
「はい、そうですけど。それで登録は。」
「あ、そうでした!占星術師でも登録はできるのですが非戦闘職ですと受けられるクエストが少ないんですよ。それも踏まえて、ギルドの説明をしますね。」
「冒険者ギルドではクエストの成果によってF〜Sランクで評価されます。ランクが上がるさらにこなせるクエストが増えていくのでランク上げはして行った方がいいでしょう。そしてここからなんですが。」
すると、受付嬢はカウンター下から色々記載された紙を取り出した。
ーギルドの規則ー
1.クエストが失敗してしまった場合、違約金が発生する。
2.一定の期間に1度必ずクエストを受けなければならない。
3.冒険者は一般人を傷つけてはならない。場合によっては資格剥奪。
etc.
「ということなので、占星術師ですと少し厳しいかもしれません。パーティーに入れば別なのですが。もし、身分証が欲しいのであれば役所に行けば発行してもらえますよ。結構なお金がかかってしまいますけど。」
んー。そんなお金持ってないしなあ。それに今後のことも考えるとお金も必要になるから登録しておきたいんだけど。
「一応、これ使えるのでなんとかなると思います。それにここにくるまでにモンスターも倒してきましたし。」
「確かにトオルさんはお強かったですけど….。」
その目疑ってるな。
そう思ったトオルはマジックポーチに手を入れ、さっき倒したゴブリンたちを全部取り出した。
「う、うそ!?」
そこにいた全員がその光景に驚きの表情と声を上げた。
「ゴブリンキングじゃないですか!これをトオルさんが!?」
「え、ええ。そうですけど。まだ幼体でしたし問題ありませんでした。」
信じがたい光景に驚きを隠せない受付嬢は唖然としていた。
「すいません。上のものに相談してくるので少しお待ちください!」
慌てて奥の部屋に入っていった受付嬢は数分後に帰ってくると中から屈強で大柄な男の人を連れてきた。
「君がゴブリンキングを討伐したトオルか?」
その顔に萎縮してしまうトオルだった。
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