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11話 憤怒の竜

「そっちに行ったぞ!」


「任せろ!」


 開戦から数時間が経った頃、冒険者の奮闘があって3割近いモンスターの殲滅に成功した。


「うわああ。」


「くっそ!怪我人は早く門の中に連れて行け!」


 それに伴い多くの冒険者が負傷、数人の死者も出してしまった。

 あたりは暗く、うまく連携が取れずに苦戦を強いられていた。


「なんとか持ち堪えろ!夜明けごろには王都から援軍がやってくる!それまで死守しろ!」


 ギルドマスターのガウマンも戦場に降り立ち冒険者に混ざって交戦している。

 そして、ガウマンの向ける視線の先には高ランクモンスター、竜種と交戦する冒険者たちの姿があった。


「おらおらおら!こんな奴ら俺だけで十分だ!」


 モンスターを次々と薙ぎ倒すトリスターの戦いぶりは圧巻だった。


(言うだけの実力はあるみたいだな。ただ、あの調子じゃあすぐに潰れるぞ。)


 一方、トオルとステラたちもモンスターたちと交戦をしていた。


「トオル様!次来ます!」


 よそ見をするトオルに向かって大きなカマキリ型のモンスターが突っ込んでくる。


ー鑑定ー

○キラーマンティス Lv4


 キラーマンティスは自慢のカマを振り上げトオルへ向けて勢いよく振り下ろす。トオルはその攻撃を交わし、後方へ回ると背中に一撃を入れると怯み態勢を崩す。


「ステラ!今だ!」


 その瞬間にキラーマンティスの頭部目掛けてステラが矢を放つ。攻撃が命中したキラーマンティスはその場に倒れ込んだ。


(こっちはなんとかなるがあっちは...。)


 トオルの視線の先には黒く大きなドラゴンとそれに立ち向かう二組のパーティーの姿が見える。


「はああ!」


 小麦色の長髪に緑眼の女性がドラゴンの前足に切り込んだ。双翼の鷹リーダーフレンダだ。

 しかし、当てた攻撃はドラゴンの硬い鱗にかすり傷程度のダメージしか当てることができなかった。


「硬い!」


 その瞬間、ドラゴンの尾がフレンダ目掛けて振り上げられる。振り下ろされた尾を間一髪、フルプレートの大男が自分の体ほどある大盾で防ぐ。紅蓮の刃リーダーカインだ。

 カインは尻尾の攻撃の威力で後方へと押し返された。


「攻撃も一つ一つが重い。ここまで強い竜種と戦うのは初めてだ。」


 二組のパーティーメンバーも各々連携をとりながら攻撃を仕掛けるが大したダメージは通っていない。


 そして何より、ドラゴンの様子に違和感を覚える。どこか力を抜いているようなそんな感覚が見て感じられる。無気力で大した反撃をしてこない。


「では、これはどおだ!『ブレイドスラッシュ』!」


 職業『剣士』フレンダの攻撃スキルがドラゴンに放たれる。命中した攻撃でドラゴンは一瞬怯みダメージを与えることができた。

 しかし、ドラゴンは攻撃を受けたにも関わらず大した反撃をしてこない。二組のパーティーはいけると思いたたみかける。


「流石は竜種。やはり、そう簡単に言うことは聞いてくれませんねえ。やはり使うしかありませんか。」


 後方に黒いローブを被った男が闘いを遠くから見物していた。そして、右腕をドラゴンに向けると手から魔力がドラゴンに向け放たれる。


 すると、ドラゴンが突然の咆哮を放った。ドラゴンと戦闘をしている冒険者たちは攻撃を止めざるおえなかった。

 ドラゴンの体から禍々しいほどのオーラが溢れ出す。そして、先程までとは違い表情は怒り狂っていた。


「何かおかしい。明らかに先程までの様子と何か違う。」


「カイン殿。一度距離を取って様子を...。」


 その瞬間ドラゴンが二組のパーティー目掛けて勢いよく突っ込んできた。

 冒険者たちは攻撃を受けて大ダメージを受けてしまった。


「あのドラゴン様子が急に変わったぞ。」


ー鑑定ー

ブラックアーマードラゴン Lv7(狂化)


(あれは前のオーガキングと同じ状態!?)


 前の戦ったオーガキングと同様のステータス異常になっているのが鑑定で表れた。我を忘れて凶暴になってしまっている。


 すると、二組のパーティー目掛けてブラックアーマードラゴンは口に炎を溜めていた。


「まずい!あのままじゃ全滅してしまう!」


 目の前のモンスターを急いで倒し、ドラゴンの元へと勢いよくはしりだした。


「ステラ!援護してくれ!」


「はい!」


 トオルの言葉で共にドラゴンの元へと走り出したステラ。


「くそ。ここまでか....。」


 先程の攻撃でボロボロになったカインたちは死を覚悟した瞬間、一人の少年がブラックアーマードラゴンへと突っ込んでいく。


 ドラゴンは貯めた炎を吐き出そうと口を開いた瞬間、トオルが携えた剣でドラゴンの顔目掛けて振り上げるとダメージを与えることは出来なかったが吐き出せなかった炎が不発に終わった。その勢いでドラゴはよろめき後退りした。


「大丈夫ですか!?」


「あなたは確か占星術師の...。」


「俺が相手をしている間に体勢を整えてください!」


 その言葉と共にブラックアーマードラゴンへと駆け出す。


「ま、待て!君ではあいつには...!」


 フレンダの静止の言葉も聞かず駆けて行ってしまったトオル。

 しかし、フレンダたちは自分よりレベルの低い少年の戦う姿を見て自分たちの目を疑ってしまった。


「まさか自分のレベルよりも圧倒的に上の相手と対等にやり合えるなんて。それに彼は戦闘スキルを持たない占星術師じゃなかったの?」


「ギルマスの、ガウマンの目に止まるわけだ。」


 唖然とトオルとドラゴンの戦う姿を見ていたフレンダになんとか立ち上がってきたカインが話しかけてきた。


 暴れるブラックアーマードラゴンの攻撃を綺麗に交わしながら攻撃を着実に当てていく。そして次の瞬間、一部の鱗が砕け攻撃を直撃させた。


「ステラ!」


 攻撃で怯んだ隙を狙ってドラゴンの目を目掛けて渾身の一撃を放ったステラ。

 そしてステラが放った矢がドラゴンの左目に直撃し、声を上げながら大きく怯むドラゴン。トオルのその瞬間ドラゴンへと斬りかかった。


「これで終わりだ!」


 次の瞬間振りかざした剣がドラゴンの硬い鱗に阻まれ砕け散った。


「な!?」


 今までの戦いとドラゴンへの攻撃で剣のダメージが蓄積した結果こんンなタイミングで砕けてしまったのだ。

 そして次の瞬間、ドラゴンのドラゴンの前足がトオルへ繰り出され、宙にいたトオルに攻撃が直撃してしまった。

 トオルはそのまま弾き飛ばされ遠くへ転がっていった。


「トオル様!!」


(く、くそ...。こんな時に。)


 トオルを弾き飛ばした後、自分の目を奪ったステラ目掛けて怒り狂ったブラックアーマードラゴンが勢いよく駆け出した。

 トオルが倒れた衝撃と恐怖で足がすくんで動けないステラ。


「ス、ステラ...。に、逃げろ...。」


 その瞬間トオル視界が真っ黒になった。


お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございます!


いかがでしたでしょうか?


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読者の方が満足できるお話を書けるように頑張ります。

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