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不良少女白書8

 渚は眠れなかった。今日という一日は、一生で一番長い日だった。

 呼び出されて教室に戻った。まわりの目が急によそよそしくなった。沢田はいつまでもうつむいたままで、鼻をならしている。妙な空気の中で、坂井だけが声を掛けてくれた。ただ、坂井は事情を把握していなかったようで、何があったんだと問い掛けてきただけだった。話したくない内容を無神経に訊いてきたことに渚はむっとしたが、運動部の男なんてこんなもんだと思い、今は話したくないの、今度ね、と言ってかわした。坂井は沢田にも聞こうとしたが、沢田の様子に圧倒されて引き下がった。


 その後は、淡々と時間が流れた。といっても、いつまでも時間は滞っていた。渚の頭の中には、今朝の園長室での光景と昨日の野上のうずくまっている姿が何度も交錯し、絶望の気分だけがずっと居座っていた。


 何の呼び出しも受けないまま下校時間を迎えた。沢田とも力なく挨拶しただけで別れた。家に帰っても電気を点けるのを忘れたまま何時間も座っていた。全く空腹感もなく、布団を敷いて寝た。いつまでもいつまでも、昨日と今日の光景が繰り返し繰り返し現れては消えた。


 ガチャリという音で扉が開いた。母親が帰ってきてしまった。もうそんな時間かと思って時計を見た。母は静かに部屋に入って着替えると、渚に気を使うようにそっと布団に入った。

「お母さん…」

渚は思わず声を掛けてしまった。

「まだ起きてたの?」

「ん…、眠れなくて……」

「昨日も起きてたろ。学校で、眠くないの」

「知ってたの?」

「わかるよ、寝息じゃないもの」

「ん……、そうだね」

「早く寝なさい」

 渚は嬉しくなった。そして、どうしても今言わなければならないと思った。

「お母さん……、あたし、学校辞めさせられるかもしれない」

「そう」

「怒らない?」

「しかたないだろ」

「ごめんね」

「何が?」

「無理して入れてもらったのに」

「無理してたのは、あんたのほうだろ?あの学校は、あんたには合わないんだからしかたないよ」

「ごめんね…」

「いいよいいよ。早く寝なさい」

 渚はようやく眠れる気分になった。明日はララに謝らなければ、と思いながら眠りについた。


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