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不良少女白書4


 渚は沢田を連れてアパートに帰ってきた。かんかんと金属製の階段を上がり、狭い通路を抜けて奥へと入った。重い金属音で鍵が開けると、ちょっと待ってね、と沢田を制して渚は家に入っていった。母親も最近はあまり掃除をしなくなっていた。酒瓶が何本も転がっていることが気にかかった渚は、少しでも片づけておきたかった。


 二人で勉強することは決まったが、場所がなかった。沢田はバスで通学しているということで、図書室か渚の家ということになった。渚はあまり学校にいたくなかったので、自分の家で了解したが、家の中が荒れていることを思い出した。歩いて十分ほどの距離だったが、先まわりして掃除するのも変だと思い、沢田を案内しながら帰ってきたが、気持ちの上では部屋の様子ばかりを気にしていた。


 幸い今日は母親が片づけをしてあったので、酒瓶を隠すだけで済んだ。ほっとして、どうぞと沢田を招き入れた。おじゃましまぁす、と沢田は楚々と入ってきた。好奇心を抑えているような様子だったが、それでも借りてきた猫のようにおとなしくテーブルの前に座った。渚は沢田の様子を見て安堵した。軽い印象のある沢田だったが、余計な詮索はしないでいてくれそうな、そんな雰囲気が渚の緊張感を緩めた。


 渚は、紅茶を入れてテーブルに運んだ。

「うちは、お母さんが働いてるから、夜遅くまで帰ってこないの」

「そうなの。お父さんは?」

「死んじゃった。あたしが4年の時」

「ごめんなさい、変なこと訊いて」

「いいよ、別に。それより、どうする、勉強」

「今日は作戦を立てよ。アタシィ、数学がダメなの。教えてくれるゥ?」

「ちょっと待ってよ。あたし、しばらく勉強してないから、全然何にもできないわ」

「ウソウソ。中間テスト、何番だった?」

「あたしは……」

小さく沢田に耳打ちすると、沢田は嬉しそうに叫んだ。

「ほぉら、アタシよりいいじゃぁない。あたし一五六番だから、ギリギリなのよ」

「あんまり、変わらないじゃない」

「十番も違えば充分ヨ。よろしくお願いします、先生」

「もう、やめてよ」

 そう言いながら、渚の表情は崩れていた。夜遊びとは違う楽しさが、沢田と一緒だと感じられた。


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