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不良少女白書12

 狭間東銀座のアーケードを抜けると公園に出る。その向かいに、オートバイがたくさん並んでいる喫茶店がある。それが白薔薇だった。ぼんやり夕方の公園をぶらぶらしているときに、小学校の同級生だった梶原に会った。梶原は走り屋の下っぱをしていて、時々白薔薇に来るからということで、一緒に入った。そこには梶原の先輩グループと恭子らのグループがたむろしていた。その時、渚は紹介されたのだった。


 それからは、学校をさぼって公衆トイレで着替えた後、ここで時間を潰し、暗くなってからあちこちへと繰り出したのだった。当時、恭子は渚を妹のようにかわいがってくれて、渚をナンパしてきた男を全部追い払いもした。恭子は女のグループのボス的存在で、男に媚びることなく対等に遊んでいた。女同士のグループということで渚も随分気楽に遊ぶことができた。


 これまでは入ることが楽しみだった扉を開いた。がらんがらんとベルが鳴り、一瞬渚は怯んでしまった。ゆっくりと店内に足を踏み入れた。渚の視線はいつも恭子がいるテーブルに向けられた。そこには、いつもと同じく何人かの女が座っていて、その中の一人が手を振った。それを認めた渚はゆっくりと近づいた。

「やっほお。久しぶりね。髪、切ったの?何か、中学生みたいだよ、そんなの」

「この子、中坊だよ」

「あぁ、そうだっけ。でも、なぎさは、大人びた顔してるんだから、もったいないよ。そんなの」

渚は何も言わず立ったままだった。

「どうしたの?変なのぉ。ガッコでしぼられたのぉ?いいじゃない、気にしなくったって。どうせ義務教育なんだから、退学にもなんないしさ」

「きょうこぉ、なぎさのガッコって私学だよ」

「あぁ、そうか。まぁ、いいじゃない。公立のほうが安いよ。やめさせられてもちょうどいいじゃない」


 渚は思い出した。前にも、こう言われたことがあった。その時は、その通りだと思った。今は、渚は自分が学校を辞めることは全く考えることができなかった。渚の決心は一層強くなっていった。

「あの」

「何?どうしたの、なぎさ」

「もう、呼び出さないでください」

「それって、どういうこと?」

言葉の調子は変わらなかったが、恭子の目の色は冷たく鋭くなっていた。

「もう、呼び出さないでください」

「あたしたちの、仲間を抜けるってこと?」

「そうです」

「いいの?みんな、バラしちゃうよ。あんたが、やってきたこと、全部、ガッコに」


 渚は、園長先生の顔を、沢田の顔を、坂井の顔を、思い出した。そして、大丈夫だと思った。

「どうぞ、ご自由に」

顔色ひとつ変えずに答える渚に、恭子以外の連中は圧倒されていた。それに気づいた恭子の表情には刺々しい陰が現れていた。

「抜けるってことは、覚悟はできてるんだな」

「はい」

 間髪入れずに渚は答えた。


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