第三十七話
魔法学院は9時に始まり、15時には終わる。4人は放課後に冒険者ギルドへと向かった。冒険者ギルドは学院からは歩いて10分程度だ。
4人は早速ギルドに登録する。12歳ならば身分証さえあれば無料で登録できる。身分証が無い場合は銀貨5枚取られる。
ギルドに登録した4人は依頼の貼ってあるボードを眺める。依頼には2種類あって、受注依頼と言って、早い者勝ちで受ける依頼と常時依頼と言って常に受けられる依頼だ。受注依頼はランクにより受けられる物が決まる。常時依頼はランクに関係なく受けられるが報酬が低い。
通常ギルドに登録したばかりの場合Gランクになる。受注依頼を受ける事が出来るのは一個上のFランク依頼までだ。このランクの依頼はお使いや薬草採取の様な簡単な物が多い。
常時依頼で一番儲かるのはゴブリン退治だ。だがGランクでゴブリン退治を受ける者は少ない。特に女性には危険な依頼だ。
ユーリたちは薬草採取の常時依頼を受ける。常時依頼なので失敗してもペナルティが無い。しかし、これは表向きだ。冒険者登録して依頼を受ける事で王都の外へ出る権利を得たのだ。そして、外へ出たなら、適当な魔物を探して魔法を思いっきり打つのが目的だ。
王都を出て10分程歩くと穀倉地帯に入る、所々に森が見えて来る。
「ここまで来れば大丈夫ね。早く魔物出て来ないかな?」
「こんな所に魔物が出たら大変ですよ。森に入らないと。」
と言う事で森へと分け入る。森に出るのはフォレストラビットと言う魔物位だ。この魔物は弱いのでGランクでも狩れる。常時依頼で5匹で大銅貨1枚だ。ユーリの魔法感知にも時々小さな反応が引っかかる。
「フォレストラビットが居るみたいだよ。あ、森で火魔法は禁止ね。ウインドカッターかストーンバレットを使ってね。」
「「「はい!」」」
最初に獲物を見つけたのは意外にもユーカだった。
「ウインドカッター!」
魔法を放つがフォレストラビットが素早過ぎて当たらない。
「こういう時は、まず補助魔法を使うんだよ。」
ユーリがそう言ってスロウとバインド(拘束)の魔法を使う。フォレストラビットが動けなくなる。
「ほら、今だよ!」
「はい、ウインドカッター!」
ユーカの魔法の威力が高すぎて、フォレストラビットが爆砕した。かなりグロい。
「ん~、このクラスの魔物じゃオーバーキルね。」
イルミが口を押えながら呟く。
「もう少しランクの上の魔物となると、ゴブリンか、フォレストウルフになるけど、大丈夫かな?」
「攻撃力は問題無いけど、防御力に不安があるね。」
ルーカスがユーリの言葉に返す。女性2人は既にやる気だ。
「防御は僕が受け持つよ。3人は攻撃に集中して。」
更に森の奥へと進む4人。フォレストラビットは無視だ。
歩く事15分程でフォレストウルフのテリトリーに入った事をユーリが告げる。今の所ゴブリンの気配は無い。
フォレストウルフは基本群れで行動する魔物だ。だが、ウルフと名が付くが野犬の様な魔物だ。討伐ランクはF、5匹の群れでも大銅貨2枚にしかならないのでランクの高い者は相手にしない。
最初に見つけたのはイルミだった。
「いたわ!」
「僕が拘束するまで攻撃は待って!」
そう言って、フォレストウルフにバインドを掛けて行くユーリ、群れは全部で6匹だ。
「OK、攻撃して良いよ。」
「ウインドカッター」
「ストーンバレット」
「ウインドカッター」
3人が攻撃を仕掛けるとウインドカッターを受けたフォレストウルフは真っ二つになる。ストーンバレットを受けた個体は頭が爆砕する。6匹の群れは瞬殺だ。
「まだ、オーバーキルだね。」
「ゴブリン行く?」
「いや、ゴブリンでも同じ結果でしょう。」
「どうする?」
3人の能力値は既に宮廷魔導士クラスだ、こうなるのも当然と言えば当然。
「今日は引き上げよう。そして、学院の休みの日に準備して朝からオークを狩に行こう。もしくはオーガでも良いし。」
「そうね。なんか余計ストレス溜まりそうだし。」
こうして、4人の冒険者デビューは終わった。一応冒険者ギルドに戻って、大銅貨1枚と銅貨3枚を貰った。討伐した魔物は冒険者カードが記録しているらしい。どう言うテクノロジーかは分からないが、変な所だけハイテクなんだなとユーリは思った。
学院の休みの日。ユーリは商会関係の仕事を済ませた後。待ち合わせの9時に冒険者ギルドへ来ていた。既に他の3人も待っていた。
「あれ?僕が最後?結構早く来たつもりなんだけど。時間に遅れてないよね?」
「大丈夫よ。みんな楽しみで早く来ちゃっただけだから。」
今日は遠出するので皆荷物が少し多めだ。食料だけはユーリが持つと言って置いたので他の者は持って来ていない。
「じゃあ、ギルドで常時依頼のゴブリン討伐を受けよう。イルミ頼めるか?」
「解ったわ、私が受けて置く。」
イルミが依頼を受けている間に、他の2人の荷物のうち重そうな物を、ユーリのアイテムボックスに仕舞う。
すぐにイルミが走って戻って来る。
「依頼受けて来たわ。」
「ありがとう。じゃあ、早速行こうか!」
王都を出て45分程歩いた場所で一旦休憩を取り、そこから横道にそれて、森へと入る。そこからまた30分程度歩いた所で、ユーリの魔力探知に大型の魔物が引っかかった。オーガよりでかい。
「何か大きい物が来るぞ。気を付けて!」
「「「はい!」」」
「前回と同じく、僕が防御を担当するから、皆は攻撃を。」
魔物はゆっくりと確実にこちらへ向かっている。向こうもこちらを捉えているのだろう。




