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第三話

 現状を整理するにつれ、ユーリは事が簡単では無いことに焦り始めてきた。最初、創造神に文明を上げてくれと言われた時には、ラノベによくあるリーバーシを作って大儲け、その資金で大商人に成り上がると言うのを漠然と考えていたのだが、どうやら、考えが甘かったようだ。それに、神様は無理はしなくても構わないとも言っていた。


 そこでユーリは考え方を変えて、まずは魔法を使いこなせるようになるという選択肢を選んでみた。


(ところで魔法ってどうやって覚えるんだろう?)


 ユーリのラノベ知識は享年40歳と言う事からも分かる通り、あまり高くない。どうしようと、記憶を探っていると、この屋敷には図書室があり、かなり豊富な蔵書がある事が分かった。まずは本で勉強しようと誓うユーリであった。


 メイドのアイリーンを呼び出し、本が読みたい事を伝える。図書室には勝手に入れないらしく、どんな本が読みたいか、アイリーン伝えて持って来てもらう事になった。


「初級の魔法書が読みたいんだけど。」


 ユーリのその言葉にアイリーンが一瞬目を剥く。


「あの、ユーリ様ではまだ魔法は使えませんよ?」


 アイリーンは申し訳なさそうにボソリと言った。


「いや、実践する訳じゃないよ。知識として知っておきたいんだ。」


 その言葉にアイリーンはホッとした様であった。


「そう言う事なら、何冊か解り易い物を選んでまいります。」


 アイリーンは礼をして部屋を出ていく。


(6歳では魔法は使えないのか?この作戦も駄目かな?)

 

 ユーリは音もなく閉まったドアを眺めながら呟いた。確か、ユーリはアイリーンに読み書きを教わってるはずだから、本は読めるだろう。それにしても6歳児ってのは意外に面倒なものだな。


 10分も掛からずにアイリーンが2冊の本を抱えて戻ってきた。


「こちらが生活魔法の教本で、厚い方が初級の魔法書です。読めますか?」


「え?そんなに難しいの?」


「そうですね、ユーリ様は読み書きは問題ないと思いますが、内容がかなり高度になっています。特に初級の魔導書は12歳になって学院に入学してから読み始める人が多いですね。」


 やはり魔法の道も険しいようだ。ユーリは生活魔法の本を手に取りめくってみる。いや、ユーリは6歳だが、自分にはそれ以前の40年の経験がある。パラパラと生活魔法の本を斜め読みしてみたが、思ったより難しくはない。ならばと、初級の魔導書を手に取ってみる。


「理解できますか?」


 アイリーンが何時の間にか後ろへ回って覗き込んでいる。不思議な事に魔導書に書かれている内容がスラスラと頭に入ってくる。


(これって、神様効果って奴かな?)


「使う事は無理だろうけど、理解は出来るよ。」


 そうユーリが答えると、アイリーンは驚愕の表情を浮かべていた。


「私でも生活魔法がやっとまともに使えるようになったばかりなのに、ユーリ様は凄いです!」


「そうかな?でもアイリーンは生活魔法が使えるんだね。そう言えば、なんで6歳だと魔法が使えないの?」


 ユーリは疑問に思っていた事を口にしていた。


「それはですね、魔力量の問題なんです。子供の魔力量は年齢に比例すると言われています。1歳なら1、6歳なら6ですね。学院に入学して魔力操作を覚えると魔力量は劇的に上がると言われています。生活魔法なら最低20、初級魔法なら最低50は魔力量が無いと危険だと言われています。魔力が渇乏すると最悪死の危険性があるからです。」


「つまり僕は6歳だから魔力量が6しかない。使う魔法によっては1回で魔力量を使い切ってしまう可能性があると言う事だね?」


「そうです。ユーリ様は小さいのに理解力が高いですね!」


 アイリーンが喰い気味に顔を近づけ喜んでいる。自分が6歳なのを忘れていたようだ。


(そう言えば、神様が創造魔法の為に多めに魔力をくれるって言っていたけど、そればどうなんだろう?)


「アイリーン、魔力を測れる所って無いの?」


「測るだけなら教会に行けば無料ですよ。銀貨1枚払えば写しも貰えます。」


「測るだけで構わない、行けないかな?」


 アイリーンは頬に人差し指を押し付け顔を斜めにして、何か考えていた。


「ユーリ様は6歳になられました。近いうちに洗礼の為に教会に行くはずですよ。」

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