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次の日、部室でみんなにプロットを見てもらう。
みんな真顔で読んでいる。緊張の瞬間である。
なんだか自分の全裸姿でも見られているようで妙な気分であった。
「い、いかがでしょうか…?」
1番最初に感想を述べたのは先輩だった。
「クソみたいなストーリーね」
バッサリ言い切った!渾身の出来だったつもりだが…ダメだったか…。
「なんかすっげー話のスケール小さくなったな」
と安藤。
2人の感想はあんまりよくないみたいだが。
そして白百合はというと…。
「うん!これすっごくいい!」
と言って笑った。
「私、これやりたい!」
白百合が興奮気味に勧めてくれた。
「まぁ、主演がこうも乗り気だったら、乗らないわけにいかないな!」
安藤も快諾してくれた。
「こんな薄っぺらいストーリーには文学性の高いシナリオライターが必要ね、私も腕が鳴るわ」
先輩がニヤリと笑う。先輩の趣味嗜好は程々にして欲しいが、ともかく部員全員の承諾は得た。
いよいよ、俺達の映画製作が本格始動することになった。
タイトルは『デッドエンドは終わらない』
死んだ恋人の面影を求めて旅をする女性が、立ち直るまでの姿を書いた物語である。