始業式
桜舞う、校門の前に着いた。
時刻は9:30頃。
始業式はいつもの時間より遅く行われる。
「よぉ、迅!」
「あ、おはよう裕二」
「今年も、同じ学年らしいぜ!」
「よかった、そっか裕二がいると心強いよ!」
「へへ、今年もよろしくな!」
名前と名簿の貼られた黒板を見る。
そこにははっきりと
『2組』と『ふたり名前』が書いてあったのだった。
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「そういえば迅今年あたらしい靴に変えたんだな。」
「そうなんだよ、リタ姉がしつこくて。」
「そっか、まぁリタ姉が言ったら断れないからなぁ…そういえば、まだ居候してたのか。」
「『そういえば』じゃないよ。家族同然なんだから。」
リタ姉は外国と日本人のハーフで、日本に旅行した時に迷子になり、
その頃、僕のお母さんに拾われて、今も居候している。
「リタ姉の仕事探しはどうなんだ?」
「あ〜それなんだけど、絵の依頼が来る時以外部屋に引きこもるようになっちゃったんだ。
連れ出そうとしても、異常に強いし連れ出せないんだよ。」
「あちゃ〜、こりゃまずいね。話してる間に教室の前に着いたな。」
「そうだね。」
「今年から新入生が来るって言ってたけど、うちのクラスなのかな?男、女?女だったら初日でナンパしてやるぜ。」
「あはは…裕二は相変わらずだね。」
「おうよ。」
ガラガラーーーーー
「あ、迅くんおはよう!」
「…おはよう」
「おはよう、輝、奈子」
「あれ!?俺にあいさつは!?」
「…部屋から一生でて来なければいいのに」
「奈子それはねえよ!!」
裕二は泣いている真似を豪快に始める。
「そうだ、迅くん、新入生どっちなのかな!?」
「さっき、裕二と同じ話をしていたんだよ。裕二、初日にナンパするって。」
「…またやるの?去年1回も成功してないんでしょう?」
「うるせぇ!今年こそは成功して、彼女を作るんだ!」
キーンコーンカーンコーン…
「鐘がなったな。」
「そうだね。」
「んじゃ、また休み時間話そうね」
「うん」「おう」
『いまから始業式を始めます。本校の生徒は体育館で整列をしてください。』
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始業式がおわった教室。
今年の担任になった先生(メガネをつけている老人)が教壇にいる。
「えー、今年から担任になった、前田です。宜しくお願いします。
それと、今年から転校してくる生徒は明日このクラスに来ます。
ちょっと早いですが、仲良くするように。」
『『『はーい』』』
「これから、HRを始めます。」
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校門を出る。
「なぁ、迅ゲーセン寄らね?」
「さっき、先生が『始業式だからって遅く帰らないように』って言ってたじゃん。」
「でもさ、『行くな』とは言ってないじゃないか!」
「…分かったよ。ついて行かないと、黙らないだろうし。」
「よっしゃあ!わかってくれると思ってたぜ!」
「…やっぱり、行かないでおこうかな」
「あ〜、止めてくれよ〜、行こうぜ~〜??」
僕達はゲーセンに向かって歩き始めた。