シーズン01 第096話 「白色疎体分類器」
「綿ってなんで食べられないの?」
「綿菓子で我慢しなさい」
「でも、綿って植物でしょ?」
「いろいろ由来はあるけど、綿花由来なら植物ね」
「ほら」
「ほらって何よ」
「植物なら食べられるはず」
「そんなはずないでしょ」
「でも綿菓子は存在するじゃん?」
「砂糖だから食べられるのよ」
「ということはさ、昔の人間は綿を食べられたけど食べられなくなってしまったからその大体に綿菓子を作ったと推察されるでしょ?」
「そんな歴史的経緯はないわよ」
「じゃあなんで綿菓子なんて生まれたんだ!」
「ふわふわしてておいしそうだったからじゃないの? 食べてみたいと思った人が頑張って作ったのよ」
「私も食べたい!」
「綿菓子なら今ならコンビニでも売ってるわよ」
「綿を」
「だから綿は無理です桜の枝食べさせるわよ」
「なんで桜?」
「桜っぽくないかしら、枝の形のチョコレート」
「いや、枝は食べないから」
「だから言ってるでしょうが」
「桜はほら、桜桃が食べられるからいいの!」
「おうとうって結局桃とサクランボどっちなのかしら」
「どっちもあるっぽい」
「紛らわしいわね」
「だから、綿と綿菓子も」
「あれは出自が全然違うわよ」
「まあ、それは許してやろう」
「何で管理者視点なのよ」
「消費者なので」
「今流行りの面倒な客ってやつね」
「で、なんで綿は食べられないの」
「だから消化できないのよ。こんにゃくは食べられるけどコンニャクイモは食べられないのと同じよ」
「ということは綿を加工すれば綿菓子に!」
「なりません」
「どうしても?」
「……まあ、調べてないから詳しいことは言えないわね」
「よし、綿から綿菓子を作ろう!」
「でもこんにゃくがコンニャクイモの形とは全然違うのと同じで綿は少なくともあの形では消化できないわよ」
「飲み込まない綿菓子を作ればいいのでは?」
「どういうこと? 見るだけ?」
「それはお菓子じゃないでしょ」
「食品サンプルを食品と認めるかどうかという問題ね」
「いや、認めないでしょ」
「さすがにこれは言いながら私もおかしいとは思ったわ」
「綿ガム!」
「なるほど」
「これなら飲み込まないから消化の問題は解決でしょ」
「綿の繊維に味付けができればOKってことになるわね」
「綿と綿菓子を混ぜる」
「罠菓子ね」
「いや、そもそも綿花から綿菓子が生えてくればいいのでは!?」
「サトウキビと遺伝子を混ぜるとか?」
「いや、造花のつもりだったけど、それもありだね」
「でしょう」
「……じゃあ食べられるじゃん! 普通に!」
「綿菓子の動力源は不明です!」
「まさか……ありえん……! 重力波だと!!」