シーズン01 第095話 「大仏建立のおことわり」
「大仏建立の機運が高まってる」
「どこでよ?」
「私の中で」
「勝手に建てなさい」
「えー、家に置くスペースないじゃん」
「どこに建てるつもりなのよ」
「しかるべき場所」
「家はしかるべき場所じゃないでしょう」
「仏壇ならしかるべき場所では?」
「五階建ての仏壇を作る気?」
「最近のビルならいけるのでは」
「どこを目指してるのよ」
「正方形で回りが家で、真ん中がエントランス的な感じで空いてるビルって結構あるじゃん」
「そうなの?」
「見たことない?」
「余り他の人の家に行ったことがないから」
「あー」
「あーって何よ」
「いやなんでも」
「とにかく、そういうのがあるわけね」
「そうそう。で、そこに仏壇を建てれば万事解決!」
「邪魔でしょ」
「なんと! 通路を通せば大仏に乗れる!」
「だから邪魔でしょ」
「大仏の体内に通路を通せば体内巡りに」
「ありなの、そういうの」
「たぶんなしだと思う」
「ダメじゃないの」
「いいと思うけどなー、エントランス大仏」
「そもそも真ん中にあったらエントランスじゃないでしょうが」
「そこはこう、大仏は当然下にある座の方が大きいわけだから、その辺をこういい感じにやってエントランスとつなげれば」
「あと、住んでる人にしか見られない大仏じゃちょっともったいなくないかしら」
「守護神だから」
「仏でしょ」
「あ、仏像じゃなくて神像の方がいい?」
「いやそうじゃなくて」
「……ああ! ホテルにすればいいのか!」
「どんどんよくわからなくなってきたわね」
「これからは大浴場じゃなくて大仏の時代!」
「住むタイプのビルならともかく、真ん中が空白になってるホテルってある?」
「いや、ホテルの場合はみんなに見てもらった方がいいので、外から見える壁に埋め込む形で大仏を建立する」
「完全にお寺だと思われるね」
「書いておけば問題ない」
「大仏に?」
「大仏に書くと怒られるから、大仏の手にホテル名が書かれた垂れ幕を持ってもらう」
「それもダメだと思うわよ」
「じゃあむしろお寺にしてしまえばいいのでは」
「ホテルはどうしたのよ」
「お寺ってホテルみたいなところあるし」
「ないわよ」
「じゃあ、泊まれる大仏!」
「中に?」
「中に。太陽の塔みたいに」
「泊まらないわよ。あと太陽の塔も泊まれはしないわよ」
「センスがある人は泊まるから」
「センスとはいったい」
「a sence of……」
「of……?」
「nonsence」
「意味がありそうでないフレーズってやつね」
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立方メートルある偉人像