シーズン01 第093話 「ポリマー重合本質エッセンス」
「ポリ袋の本質ってポリじゃないんだよね」
「袋ね」
「袋じゃないほう」
「エチレン?」
「そうそう!」
「でもポリエチレンはポリでもエチレンでもないのよね」
「じゃあ本質はどこにあるんだ」
「ポリエチレン袋」
「正しいのに聞いたことない」
「エチ袋」
「もう一声」
「エチケット袋」
「OK!」
「いや、何がOKなのよ」
「やはりエチ袋か」
「まあ、ポリ袋よりはまだ本質に近いわね。ポリエチレンはエチレンの重合だから」
「一号から九号はいったいどこに」
「重なり合いのこと」
「はい」
「でも言いにくくはないけど字面がちょっとあれよね、エチ袋」
「慣れてるだけでポリ袋だって大概じゃない?」
「確かに、日本語としてのポリ感は全然ないね、ポリ袋」
「日本語じゃないから仕方なくはあるのだけれど」
「つまり、エチ袋に日本語のエチ感を見いだせれば普及させることができるのでは」
「日本語のエチって何よ」
「愛知」
「愛知と書いてエチ?」
「そう」
「どういう意味?」
「愛知県という意味です」
「そんなわけないでしょ」
「お、名古屋県派かな?」
「そんな派閥はいません」
「為せば成る!」
「為すな!」
「エチ、他には依知や恵智などがあるね」
「恵智って知恵のこと?」
「たぶん」
「ってことは知恵袋ね」
「おお!」
「いや、ポリ袋は知恵袋じゃないから」
「ポリ袋に知恵をどんどん詰め込んでいこう」
「知恵ってそういう袋に詰め込めるタイプのものじゃないでしょうが」
「いや、本とか」
「本当よ」
「本当じゃなくて、本」
「なるほど」
「本が入ったら恵智袋、愛が入ったら愛知袋、虚無が入ったら依知袋ということで」
「依知って虚無なの?」
「いや、デフォルト」
「そもそも依知ってどういうことよ」
「知恵に依存するんじゃないの? 字面的に」
「まあそうでしょうけど、具体的にはどういう局面で使う用語なのかしら」
「『依知がある』とか」
「いや、どういう状況よ」
「知恵に依存しているような状況があること」
「だからそれがよくわからないのよ」
「冷房をつけと涼しいので暑いところでも暮らしていける、とか」
「なるほど。ということはポリ袋も」
「依知袋!」
「依知村は神奈川県の厚木市に
合併された」(Wikipediaより)