シーズン01 第092話 「ジャンピングアイディア」
「気づいたんだけど、豚の角煮って雑なだけじゃない?」
「どういう気付きよ」
「豚の角煮という料理がありますね?」
「あるわね」
「雑じゃん?」
「だからなんで」
「角状にして煮ただけって」
「それじゃあ豚の丸焼きはどうするのよ」
「オラウータン」
「豚だって言ってるでしょうが」
「知能が低い人間のことを俗にオラウータンと呼称」
「しません」
「えー」
「そもそもオランウータンよ」
「はっ」
「知能の低さを露呈してしまったわね」
「オラウータンだ」
「だからオランウータンだって言ってるでしょ」
「別に良くない? 香港的なやつでしょ?」
「いや、オラウータンだとgどころかnまで合わせて省略してるでしょ」
「はっ!」
「まあ豚なのだけれど」
「豚っていうか料理なんだけどね」
「なんか前にも焼肉に対して似たようなこと言ってなかったかしら」
「そうだっけ」
「そうだったわよ」
「そんな気がしてきた」
「あの時はどういう帰結になったんだったかしら」
「焼肉はおいしい」
「そうじゃなくて」
「思いついたアイディアは記録する必要はないという説がある。なぜなら本当に良いアイディアならもう一度思いつくことができるはず」
「要するに忘れたのね」
「忘れたんじゃなくて再構成できるから忘れた」
「忘れたんじゃないの」
「そうともいう」
「そうとしか言ってないわよ」
「で、なんだっけ」
「これは完全にダメパターンね」
「豚の角煮か」
「そうそう。少なくとも焼肉よりは手間はかかってるわよ」
「そもそも豚の角煮が何なのかよくわかってないんだよね」
「何……って思ったけど私もそんなに食べたことないわね、豚の角煮」
「食べたことあるの?」
「どうかしら」
「……よし! じゃあ夕食で」
「夕食で?」
「焼肉に行こう!」
「行きましょう!」
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