シーズン01 第086話 「農業が失われた社会」
「お祭り、何で夏なんだろうね」
「冬だと寒いからじゃないかしら」
「夏は暑いじゃん」
「寒いよりは暑い方が都合がよかったんじゃない?」
「例えば?」
「お祭りといえばお神輿だけとを、お神輿は暑い方が寒いより担ぎやすい……かしら?」
「そんなことなくない?」
「そんなこと……いや、あるかもしれないわ。持ち手が暑いと膨張して掴みやすいとか」
「設計ミスでは。っていうか木ってそんなに膨張する?」
「しないわね」
「はい次」
「うーん」
「思い付き方おかしくない?」
「うるさいわね」
「逆に冬だとダメな理由を考えよう」
「お祭りといえばお神輿だけとを」
「却下」
「待った!」
「さっきのでしょ?」
「さっきのじゃないから」
「ほう」
「冬だと雪が降るのでお神輿が担ぎにくい!」
「あー」
「どう?」
「でも困難に立ち向かってこその宗教行事じゃない?」
「そんなぶらっくゴッドは社会じゃやっていけないわよ」
「神に社会を説くな」
「これからはスピリチュアルも社会性が重要なのよ。スピリット社会主義よ!」
「全く別の限界突破した地獄思想に聞こえる」
「私も言いながら思ったわ」
「何だかんだで利便性なのかもしれない」
「そうね。雪が降ってたら屋台のテントも張れないもの」
「テントは古代社会にはない」
「そうだった」
「でも雪は確かに邪魔だよね」
「逆に夏の雨は涼しいからお得ね」
「夕立ならね」
「あと、夏の暑さは夕方に気温が下がればなんとかなるけど、冬の寒さは夕方に気温が下がると悪化するってところもあるわね」
「それは昼にやればいいのでは」
「昼はお仕事」
「古代社会には冬に仕事はない」
「なるほど」
「いや、冬に仕事がないからむしろお祭りができない……?」
「見えてきたわね」
「見えてきたか?」
「まとめると、やっぱり夏の方が気候的に冬より優位ってことね」
「でもさ、秋祭って言うのもあるよね」
「雪がなければいいわけだから秋でもOKなんじゃないかしら」
「じゃあ春祭は?」
「桜祭ね」
「冬祭」
「雪まつり」
「あるじゃん」
「あれは……異界の戦士だから」
「異界の戦士なら仕方ない」
お神輿で祭る神様不在地区
「代わりにパピコ担ぎませんか?」