シーズン01 第008話 「雨にも晴にも」
「晴耕雨読っていいよね」
「あれは畑を持つ古代人だからこそできる優雅な暮らしなのよ。畑がない現代人が実行したらただの社会不適合者よ」
「酷い言われよう」
「そもそも旧時代の農民にとっても雨の日の読は休暇じゃなくて内職よ内職。農業だけで生きていけるほど世の中楽にできてないわよ」
「世知辛い」
「社会なんてそんなもんよ」
「え-。雨の日ぐらい休ませてほしい」
「逆に考えてみなさい。雨の日にみんなが休んだらどうするのよ」
「最高」
「店も開いてないから何もできないのよ」
「そしたら一日中寝てれば良いのでは」
「天井に潰されなさい」
「天井が降りてきてもクイズに答えれば脱出できることが一般に知られている」
「そのクイズを出題する人もお休みよ」
「つまり答えなくても脱出できる」
「脱出させる鍵を開ける人もお休みね」
「……となると天井を動かす人もお休みなのでは?」
「全てのインフラが崩壊してるわね」
「雨だから仕方ないね」
「もはや災害よ」
「じゃあ完全に仕方ない」
「仕方なくないわよ」
「そもそも、雨で休むを採用するなら晴れの時は働き続けないといけないのよ」
「その辺は適宜安息日を設けるということで」
「人間の都合でうまく畑は動いてくれません」
「やっぱ米はダメだな。これからは麦の時代」
「麦は米より生産できるカロリー量が三分の二ぐらい少ないわよ」
「米が最強。時代は白米。全国民一致団結一生米派」
「罪のない国民を巻き込むんじゃないわよ」
「そんな米食が罰であるかのような!」
「いや、食べられる物制限されるのは普通に暴力でしょ」
「それもそうか」
「逆に現代でも許される晴耕雨読を考えてみよう」
「晴れの日は外回り営業、雨の日は事務仕事」
「夢がない。徹頭徹尾夢がない」
「稲作の体験会さ、梅雨じゃない?」
「残念ながら雨天決行」